紐帯
「…ぅ、うん…?」
目が覚めたら、何故か僕は自室のベッドの中にいた。
あれ…?僕…、ベッドにたどり着く前にぶっ倒れて…。
ゴゾゾ…
…ポテ
「?」
起き上がった時、額から何かが落ちてきたと思ったら湿ったタオルだった。
どうやら、誰か僕を看病してくれた人がいるみたいだ。…誰だろ?
ワルイージかな?それともご近所の人がたまたま家に来て助けてくれたのかも。
そのお陰で熱はかなり下がってる。頭もクラクラしてない。
「…こうしちゃあいられないな」
まだやり残している家事があるんだ。それに、誰かは分からないけど看病してくれた人に何かお礼をしなくちゃ!
僕はベッドから立ち上がり、自室の扉を開けた。
ガチャ
「…あれ?」
ジャーー…
カチャンカチャ…
それは、僕には予想もできなかった光景が目の前に広がっていたのだ。
「あ!?ルイージ!」
「に、兄さん…!?;」
そう、兄さんが。兄さんが家に帰ってきて台所で洗い物をしてくれていたのだ!
「具合はどうだい?」
「うん、大丈夫;」
「ふぅ、良かった…、お腹減ったろう?お粥作るから座ってて」
「分かった…」
何だか現実味が湧かないけど、凄く嬉しいのは分かる。
「ええー!?僕丸一日寝てたのーー!?;」
(ご飯粒がこっちにまで…;)
「あ、あぁ;…流行り病のせいでね」
「流行り病!?;」
「知らなかったのかい!?僕よりも家にいるのに」
「兄さん、さりげなく小馬鹿にしてないか?;」
「最近王国で蔓延していてね。初期段階はくしゃみや鼻水、次の段階に高熱といった普通の風邪とは変わらない症状が表れる。…だけど」
「だ、だけど?」
「それらの症状の後、黒と緑の波模様が皮膚に浮き出てきたら最後。一生スイカを食べたくてしょうがない体になってしまう」
「な、なんだってー!?;」
「…というのは冗談なんだけど」
ドタタン!!
ルイージは勢い良く椅子から落ちた!
「兄さん!そういう冗談はよしてくれよ!!;;」
「分かった分かった。…この病の特徴は、菌が体内に入ってからの潜伏期間が短く、病が進行するスパンも早いこと。菌が体内に入ってから1、2日で初期段階の症状が表れる、初期段階から最短約一日で症状が悪化。最悪死に至ってしまう病気なんだよ」
「…。その話も冗談であってほしかったよ…;」
「ふふ、早めにお医者さんにかかって薬を処方して貰えば大丈夫みたいだよ」
「そうか、…はぁ、本当生きてて良かった;」
兄さんが帰ってきたら僕が死んでましたなんて洒落になんないからね;
「本当だよ;何だか妙に胸騒ぎがしてね、体調も少し悪くなったし。それで帰ってきたらお前がぶっ倒れていて本当に驚いたよ;」
…あぁ、そうか。
「兄さん、もしかしてワープ土管使ったの?」
「ま、まぁね…;」
兄さんね、冒険での移動手段は殆ど自分の足なんだよ。だからワープ土管なんて滅多に使わない(なんかポリシーがあるみたい)。
本当に、僕の為に…
遠い所から飛んで帰ってきてくれたんだ…。
「ごめんね、使わせちゃって;」
「いや、僕だって悪いんだ;いつも留守番を任せている身だからね。それに…」
「?」
「たった一人の、かけがえのない弟だからね;」
そう言う兄さんは少し照れ臭そうだった。
あぁ、やっぱり繋がってるんだなぁって思った。
兄弟という繋がり、それだけじゃなくて、何か、深い所で繋がってる…そんな気がした。
世間ではそれを"絆"って呼ぶのかもしれないね。
「折角帰ってきてくれたんだからさ、これから3週間位は家にいてくれよ」
「えぇ!?そんなに!?;」
「いいじゃないかぁ、たった一人の可愛い弟の為だと思ってさ」
「…はぁ、分かったよ;」
「やったぁ!!」
ふと空を見ると、一昨日の雨とは打って変わって清々しい青空だ。
これなら洗濯物もカラッと乾くだろう。
おわり
次、あとがきとおまけ
目が覚めたら、何故か僕は自室のベッドの中にいた。
あれ…?僕…、ベッドにたどり着く前にぶっ倒れて…。
ゴゾゾ…
…ポテ
「?」
起き上がった時、額から何かが落ちてきたと思ったら湿ったタオルだった。
どうやら、誰か僕を看病してくれた人がいるみたいだ。…誰だろ?
ワルイージかな?それともご近所の人がたまたま家に来て助けてくれたのかも。
そのお陰で熱はかなり下がってる。頭もクラクラしてない。
「…こうしちゃあいられないな」
まだやり残している家事があるんだ。それに、誰かは分からないけど看病してくれた人に何かお礼をしなくちゃ!
僕はベッドから立ち上がり、自室の扉を開けた。
ガチャ
「…あれ?」
ジャーー…
カチャンカチャ…
それは、僕には予想もできなかった光景が目の前に広がっていたのだ。
「あ!?ルイージ!」
「に、兄さん…!?;」
そう、兄さんが。兄さんが家に帰ってきて台所で洗い物をしてくれていたのだ!
「具合はどうだい?」
「うん、大丈夫;」
「ふぅ、良かった…、お腹減ったろう?お粥作るから座ってて」
「分かった…」
何だか現実味が湧かないけど、凄く嬉しいのは分かる。
「ええー!?僕丸一日寝てたのーー!?;」
(ご飯粒がこっちにまで…;)
「あ、あぁ;…流行り病のせいでね」
「流行り病!?;」
「知らなかったのかい!?僕よりも家にいるのに」
「兄さん、さりげなく小馬鹿にしてないか?;」
「最近王国で蔓延していてね。初期段階はくしゃみや鼻水、次の段階に高熱といった普通の風邪とは変わらない症状が表れる。…だけど」
「だ、だけど?」
「それらの症状の後、黒と緑の波模様が皮膚に浮き出てきたら最後。一生スイカを食べたくてしょうがない体になってしまう」
「な、なんだってー!?;」
「…というのは冗談なんだけど」
ドタタン!!
ルイージは勢い良く椅子から落ちた!
「兄さん!そういう冗談はよしてくれよ!!;;」
「分かった分かった。…この病の特徴は、菌が体内に入ってからの潜伏期間が短く、病が進行するスパンも早いこと。菌が体内に入ってから1、2日で初期段階の症状が表れる、初期段階から最短約一日で症状が悪化。最悪死に至ってしまう病気なんだよ」
「…。その話も冗談であってほしかったよ…;」
「ふふ、早めにお医者さんにかかって薬を処方して貰えば大丈夫みたいだよ」
「そうか、…はぁ、本当生きてて良かった;」
兄さんが帰ってきたら僕が死んでましたなんて洒落になんないからね;
「本当だよ;何だか妙に胸騒ぎがしてね、体調も少し悪くなったし。それで帰ってきたらお前がぶっ倒れていて本当に驚いたよ;」
…あぁ、そうか。
「兄さん、もしかしてワープ土管使ったの?」
「ま、まぁね…;」
兄さんね、冒険での移動手段は殆ど自分の足なんだよ。だからワープ土管なんて滅多に使わない(なんかポリシーがあるみたい)。
本当に、僕の為に…
遠い所から飛んで帰ってきてくれたんだ…。
「ごめんね、使わせちゃって;」
「いや、僕だって悪いんだ;いつも留守番を任せている身だからね。それに…」
「?」
「たった一人の、かけがえのない弟だからね;」
そう言う兄さんは少し照れ臭そうだった。
あぁ、やっぱり繋がってるんだなぁって思った。
兄弟という繋がり、それだけじゃなくて、何か、深い所で繋がってる…そんな気がした。
世間ではそれを"絆"って呼ぶのかもしれないね。
「折角帰ってきてくれたんだからさ、これから3週間位は家にいてくれよ」
「えぇ!?そんなに!?;」
「いいじゃないかぁ、たった一人の可愛い弟の為だと思ってさ」
「…はぁ、分かったよ;」
「やったぁ!!」
ふと空を見ると、一昨日の雨とは打って変わって清々しい青空だ。
これなら洗濯物もカラッと乾くだろう。
おわり
次、あとがきとおまけ