紐帯

~次の日~


ザーーーーー…



相変わらずの雨。



『えー、この低気圧は、現在キノコ王国上空を移動しており、今日一日は雨が続く模様です。そして…』


テレビから聞こえる、天気予報を読み上げるアナウンスの声が、一人しかいない家に響き渡る。


「はぁ、困ったなぁ…」



今日もまた、部屋干しじゃないか。



そう思いながら僕はテーブルにグデ~と腕を投げ出した。


部屋の中がジメジメしてると、なんか元気も失くなっていくような気がして、なんか僕は好きじゃない。


それに今日は、兄さんは帰ってきそうにない。悲しいかな願いは見事に砕け散ったのだ。



…何故か、頭がぼーっとするんだ。昨日からの鼻水といい、花粉症かな?;



ヒタ…


頬を触ってみると、顔が熱いことに気付いた。



は、はは…、まさか…



…いや、寝不足だろう。


でも、昨日は21時前には寝たし…



…。




はっ…!まさか!?







兄さんが風邪引いたのかもしれない!!





「そうか…」


僕等、双子だからか知らないけど、どちらかの調子が悪いともう一方にも何かしらその影響がでるんだ。



例えば、何か調子悪いなぁと思ったら、兄さんが風邪引いてたとか。どっちかが大怪我とかヤバい状態になった時、もう一方はゾクッて寒気がしたり、何かしらの痛みを生じたりとか。



そのお陰で何度助けに行くことになったか…。まぁ、それはお互い様なんだけどさ。



「だから熱っぽいんだ…」

そうと分かったら、何としてでも帰ってくるように説得しなければ!

どんな冒険でも、身体が一番の資本なんだから!


ガタッ!


そう思った僕は勢い良く立ち上がった。






だけど








クラッ…



「ぅ…。ぁ、あれ…?;」


立ち上がっただけで頭がクラクラした。それに、一番驚いたのは…



「な、なんで…?


…兄さんのいる方角が分かんない…!;」



い、いつもなら、兄さんがピンチの時や調子の悪い時、兄さんのいる方角がなんとなく分かるのに!なんでだ!?;



え?…あれ?



じゃあ今兄さんは…




調子が悪くないってことなのか…?





…ていうことは



「嘘…、や…」




…やっぱり…







「僕が…風邪引いてるのか…?;」



あぁ、マジかよちきしょう


ていうかなんで!?さっきまで頭がぼーっとしてただけなのに。こんなにも急に…



「ぐ…まだ、食器洗ってないのに;」


まだ終わってない家事があるのに。や、やれるかな…?



そう思い一歩二歩と台所へ向かってみるけど



グララ…


「ぐ…;」


どうしよう。さっきよりも頭がグラグラする。これは…ちょっとヤバいかも…;

「ちょ、ちょっと休もう;」


風邪ならちょっと休めば大丈夫だろう。やり残したのは休んだその後にやればいいさ、そうしよう。


とにかく家事は切り上げて、僕は寝室に向かうことにした。






だが





フラ…



「ぇ…;」




あ、足が…からまって…!



ドデン!!!


「あだっ!!!?;」



こけた…。




グワワワン…



やべぇ、視界が…ぐるぐる回って…。



フワワワン…



うわぁ…

段々…



…意識が薄れて…







…に…







兄…さん……



……。













「」
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