バッジ -その2-

「…どういうこと?」




「それは…、話が長くなるんだけど…」





そう言うとキノーラは詳細を語り出した





「実験にされた時はあまり覚えてないんだけど…、気が付いたらこんな姿になっていたんだ。でもどうやら僕は最初の方に実験台にされたみたいで、後から次々と犬や猫やいろんな動物が檻に収容されてきていたんだ。皆僕と同じ被験者さ」



「酷いわね…」



「うん。僕はモグラにされたみたいだけど、実験が上手くいかなかったみたいで顔と手だけがモグラになってしまったんだ」



「だから地面も掘れたのね」



「そういうこと。でも、僕から後になるにつれて、実験も改良されてきているのか、段々完璧な動物や昆虫に近付いていったんだ。声もその動物の鳴き声でしかでない程に」



「そんな…!言葉も通じなくなってしまうなんて;」


「うん、でも…」



「?」




「何故か頭のキノコのかさだけはなくならないみたいなんだ」



「そういえば、貴方もかさはあるわね」



「そうだね、…奴らは今躍起になってかさを無くすように改良しているんだ」



段々明らかになってきた彼等の計画




だが何故そんなことをするのだろう?





そんなことを思っていたピーチをよそにキノーラは話を続ける



「だから、これ以上被害を出したくないし、奴らの実験を完成するのも気にくわなかったからさ、被験者達を集めて脱出しようと試みたんだ」



「成る程ね、それで脱出を…」


「あぁ、僕が穴を掘ってね。なんとか地下通路までは繋がって脱出したんだけど、地下通路に出たとたんほとんどが捕まってまた牢屋にぶち込まれたって訳。それで僕は首謀者だし、穴も掘れるからさ、ここに入れられたんだ」



「でも貴方穴掘れるんでしょう?また穴掘って逃げればいいじゃない」



「いや、それが…この牢屋の周りには何か分からないけどバリアみたいのが張ってあるみたいで…、ある程度の距離を掘り進めるといきなり土が固くなって掘れなくなってしまうんだ;」


「そう…、それじゃあ無理ね…;」



「うん…」




「…でも、ほとんどってことは、誰か捕まらずに脱出できた人がいるってことよね?」



「あぁ、一人だけまだここに戻ってきていないようなんだ。だから僕はそいつが無事誰かに助けを求める事ができることを祈っているしかないんだ」



「そうね…、






…ねぇ」




「?」










「ちなみに、脱出した人って何にされたの?」











「あぁ、その人はね」





















「カエルにされていたな。キノコのかさが付いたカエルにね…」
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