バッジ ‐その1‐

~公園公衆便所~



キュッ



ジャアー!



「はぁ…」






ピーチは水道で手を洗っていた



そして濡れた手をハンカチで拭き、ポケットにハンカチを戻そうとした





その時







ガッ!



「!?」




後ろから突然布を鼻と口に押し当てられた!



「ん!?」



ピーチは突然の事にかなり驚きながらも、咄嗟に押し付けている手を両手で払いのけようとした




だが




相手もかなりの力で押し付けているのかその手を払いのけられない!




段々、意識が遠くなっていくのを感じる…





(マ、マリオ…)
















手に持っていたハンカチが、タイルにハラリと落ちた








~公園~



マリオはふと時計を見ると、こども達とキャッチボールをし始めてからもう30分が経過していた



「え!?もうこんな時間?…あれ?ピーノさんは?」




どこを見渡してもピーノさんらしき人は見当たらない



「トイレにしては遅いよね…」



女性でも、相手を待たせているのだから、そこまで長くは居座らないだろう





では何故いないのか?








…!?公園のトイレって…!しまった!あの噂が…!








嫌な予感がしてきたマリオはこども達と別れトイレに向かうことにした





~公園公衆便所前~



トイレの周りを見渡してもやはりピーノは見当たらない



「いない…まだトイレなのかな…?……それとも…;」




最悪な事態がよぎる




いや、それだけはないであってほしい…





すると




2人の女の子のキノピオがトイレから出て来た






「ぁ、ねぇ!」



「?あ!マリオさんだ!」
「なぁに?マリオさん?」


「あのさ、このトイレに女の人見なかった?僕その人を待ってるんだ」



「女の人?」


「うん、頭のかさはピンクの水玉で、黄色い髪のキノピオなんだけど…」




するとマリオにとってあってほしくなかった答えが返ってきた











「そんな人いなかったよね」




「…え!?」



「うん、私たちの他には誰もいなかったよね」



「誰も…そうか…;」



それじゃあピーノさんは…




頭の中を嫌な予感が更によぎる




最悪な事態が徐々に確信へと変わっていく、嫌な予感




「あ!あのね」


「?」



「これ、交番に届けようと思ってたんだけど…」



そう言って女の子がマリオに渡してきたのは





1枚のハンカチだった




「これは?」


「落ちてたの、そこのトイレの中に」


「え!?」



ハンカチは淡いピンク色で、よく見ると、端の方にPのイニシャルが刺繍されてあった




きっとこれはピーノさんの物だろう



ということは…







事態は、もしかしたらとてつもなく悪い状況になっているのかもしれない…!!







当たってしまった嫌な予感…





早くあの噂を思い出していれば…



そして自分があまりにも不注意過ぎた




後悔と焦りがマリオの頭の中を駆け巡る




でも








このハンカチ…




どこかで見たような…?





そんなこともマリオは感じていた




「ありがと」



「どういたしまして」




マリオは女の子達にお礼を言い、その場を後にした





とにかく探そう!



ピーノさんも、奴らのアジトも…!






早く探さなければ手遅れになる!!






マリオは手に持ったハンカチを更に握りしめ、街へと駆けていくのだった


































ケロケロ…


ピョン



公園の草むらから、1つの小さな影がマリオを追うように飛び出していったのだった…



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