バッジ ‐その1‐

それから2人はキノコタウンのあらゆる所を見て回った



有名な所からマイナーな所までいろいろな所をマリオに案内をしてもらった



それを頼んだのはピーチ本人であり、その方がピーチにとっては都合が良かった




街のあらゆる所を見て人々がどんな暮らしぶりをしているのか分かるし…






そして何よりもマリオとずっと喋りながら歩けることが嬉しくて仕方がなかったのだ






だが






そんな彼女にマリオは、地下は勿論のこと、街の中では唯一路地裏にだけは案内するのを避けていた





実は、地下の者達の行動時間帯は夜なのだが、最近は昼でも人通りのあまり無い路地裏には出て来ているという噂が街中に広がっていた





それ故街の者は近づかなくなっていて、警察もよく巡回に行く





路地裏に行ってもマリオなら、地下の者何匹相手にしてもきっとピーチを守りきれるであろう





けれど…







折角の観光なのだから、怖い思いなんてしなくていいし、させたくない





彼の、彼女に対しての優しさ故なのである







「あそこに公園がありますので、一旦休みますか?」

「そうですね、そうしますわ」





~公園~



2人は空いていたベンチに腰掛けた



「ふぅ~、かなり歩いたわ;」


「そうですね、最初から今まであちこち歩き回りましたからねぇ」


「えぇ、…でも楽しかった!キノコタウンにはこんなにも素敵な所が沢山あって、いろんな方々が暮らしていて、見ていてとても興味深くておもしろかったですわ」


「そう言って頂けて、僕もとても嬉しいです」





それから暫くの間、話が弾んでいた2人なのだが






「ぁ、あの…」


「?」





突然ピーチが話を変えマリオに尋ねた



「どうしました?」





「ぁ、あの…そのお手洗いに行きたくて…」




「お手洗いですか?そういえばあっちの方にあると思いますよ」




マリオが指差した先にはトイレらしき小さい建物が見えた




「あらほんと、じゃあちょっと失礼しますわ」



そう言いピーチはトイレへとかけていった…





丁度その時



「あ!マリオさんだ!」


「あ、本当だ!マリオさーん!」



「?」



マリオの名を呼んだのは、公園で遊んでいたこども達だ



「どうしたんだい?」


「マリオさん!一緒にキャッチボールしようよ!」


「キャッチボール?」

「うん!やろ!」


「ゴメン、今人待ってるんだ;」


「えぇー!?じゃあさ、その人が来るまででいいよ!」

「うん!そうしてよ!お願い!」



「うーん…;」




(…まぁ、ピーノさんが来るまでならいいかな)




「分かった、いいよ」



2人「ヤッター!!」










この時






「はい、ボール!最初は僕取るね!」



「分かった」






彼は、もう1つの噂をうっかり忘れていたのである







そして











「…」
「…」








彼は気付けないでいた










事が起き、それが大きくなる前触れを










もう1つの噂












地下の者達が現れるのは、路地裏だけでなく






公園のトイレにも現れるという…








昼でも夜でも…








一人でトイレに入った者は皆帰って来なかったそうだ…











そう、彼は忘れていたのだ








「「…」」ササ…






「おっとっと…とれた!」

「ナイスキャッチ!」







公園のトイレは







もう1つの危険区域であることに!
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