マリサム話
~スマブラ館中庭~
中庭では女性メンバー数人がお茶菓子を持ち寄りお茶会を開いていた。
「この紅茶、とても良い香りがするわね」
「えぇ、本当!桃の香りかしら?」
紅茶のとても良い香りにサムスとWii fitトレーナーが話していると、その言葉にピーチが嬉しそうに話しだした。
「そう!正解!私もこの香りが気に入ってこの茶葉を買ったの!この間マリオにも飲ませてあげたらとても気に入ってくれて、この紅茶が私らしいって褒めてくれたの!」
「まぁ!それは良かったですね!」
ピーチの言葉にルキナも嬉しそうに応えた。
そしてその隣でロゼッタが一口にしたパウンドケーキを優雅に口にしていた。
「あら、このケーキとても美味しいわ。貴方って何でも出来るのですね」
そう驚き賞賛の言葉を投げた先にはロックマンがいた。
「えへへ、元々ボクはお手伝いロボットなので、家事なら得意です」
「でもこんなに美味しく作れるなんて凄いわ!何かコツとかあるの?」
「あ、それ私も知りたいです!糖質控えめのレシピとかあれば嬉しいですね!」
「い、いやそんな、コツなんて…ただ材料を混ぜて焼いただけですよっ、でも糖質控えめのものはちょっと考えておきますね」
ピーチとトレーナーの質問にタジタジなロックマンを見つつサムスは穏やかに紅茶を口にした。
その時である
ドシーン!!
「「⁉」」
中庭の空から突如大きな影がものすごい勢いで舞い降りた。砂煙が舞う中、サムスには聞き覚えのある笑い声が聞こえてきた。
「ケハハハハハ…いるんダロォ?…サムス…」
「…」
その言葉で彼女の中の考えは可能性から確信に変わる。小さく舌打ちをし、私服の中に隠していたパラライザーを取り出し前に出て構えた。
「皆、ここから離れて。どうやら私に用があるようよ」
「で、でも…」
「お願い」
サムスが反論したルキナにそう言った瞬間、砂煙の中からリドリーが飛び出し鋭い爪を振り上げた。
サムスは一瞬驚きはしたが、素早く身をかわしパラライザーで応戦をしていく。
そしてリドリーも巨体の割に機敏で、辺りを飛び回りながらサムスの攻撃をかわしていき、彼女の隙を突くように鋭い爪や尻尾で攻撃を仕掛けていた。
お互い引けを取らない闘いの中、1人サムスはこの現状に焦っていたのだ。
(今は私服で動きづらい上に、武器はパラライザーのみ。…このままでは力負けしてしまう…パワードスーツに着替えられる隙さえ作れれば…)
そう思った瞬間、彼女の死角からまるで槍のように鋭く尖った尻尾が彼女に迫っていた。
(しまった…⁉)
尻尾が彼女の心臓を射抜こうとしたその時…!
「リーフシールド!」
ザシュ!
「「!?」」
突如リドリーの尻尾に無数の葉の塊が飛んできたのだ。その攻撃は見事尻尾を捉え、リドリーの攻撃を阻止。サムスは間一髪のところで攻撃を逃れた。
「ありがとうロックマン!」
「援護するよサムス!メタルブレード!」
ロックマンは続け様に丸鋸型の刃をいくつもリドリーに投げた。
だがリドリーも黙ってはいない。
「邪魔をするナアアア!!ドケエエエ!!」
リドリーは投げられた刃をかわし、口から炎をロックマン目掛け放ったのだ。
ドンドンドンドン!
「ぐうぅ…!」
(なんて威力の炎だ…!)
炎に直撃はしなかったものの、その風圧は身体が吹っ飛んでしまう程凄まじく、爆風を受けたロックマンはその場でやり過ごすしかなかった。
その隙をつき、リドリーはロックマンの身体をガシッと掴んだ!焦るロックマンだが彼の身体は易々と持ち上がる。リドリーはそれを良いことに、ロックマンごと宙に舞い、そのままロックマンを地面にずるように飛行していく。
「ロックマン!」
サムスの叫びも虚しく、リドリーはそのままロックマンを遠くの方にぶん投げたのだ!
「うわぁあああ!!」
ドコオオオン!!
飛ばされたロックマンは勢いよく飛んでいきそのまま館の壁に衝突した!
リドリーは大きく旋回し、今度は本命であるサムスに向け更に速度を上げる。
サムスもそれに気付きパラライザーを撃つも、リドリーはそれをかわし攻撃態勢に入る。
その勢いは凄まじく、サムスも避けることに重きを置いてしまう程であった。
そしてリドリーは更に炎弾を混じえながら徐々にサムスの回避可能範囲を狭めていくのであった。
そして、遂に…
「…っ」
(しまった…、周りが火の海で逃げ道がない…)
激しい炎攻撃により周りが文字通り火の海と化し、噴煙があたり一面に巻き起こる。炎と煙で視界が遮られ、サムスにとって最悪のコンディションになってしまったのだった。
その時、煙の中から突如リドリーの尻尾が薙ぎ払いの形で攻撃を仕掛けてきたのだ。
ドゴォ!
「!!」
サムスはそれに反応しパラライザーを向けるも、リドリーの攻撃速度の方が勝り薙ぎ払いをもろに受けてしまったのだ。
攻撃を受けたサムスは吹っ飛び、地面に叩きつけられた。その際に運悪く唯一の武器パラライザーも手から離れ遠くに落としてしまった。
幸いにもダメージは浅く、起き上がろうとしたサムスのもとにリドリーはトドメの一撃を刺さんとばかりに一気に彼女のもとに詰め寄る。
「⁉」
その勢いに避け切る事が出来ないと判断したサムスは攻撃を受けることに覚悟した瞬間…
ドゴォ!!
「グアア!!」
一つの影がリドリーを攻撃をしたのだ!
上からの攻撃であったのか、リドリーは激しく地面に叩きつけられたのであった。
「⁉…マリオ⁉」
サムスが驚くのも無理はない。いきなり上からマリオが降ってきてしかも大きなハンマーでリドリーの頭を思いっきり殴りつけたなんて、想像すらしていなかったからだ。
「グ…コノ…ガハァ!」
「流石だね。軽く脳震盪を起こしている筈なのに。…大人しくするんだ。これ以上暴れるようだったら、僕にも考えがある」
動こうとするリドリーにマリオは更にハンマーで殴りつける。
「サムスー!」
「サムスさーん!」
周りの炎も収まり、退避していた女性陣とロックマンがサムスのもとへ集まってきた。
「大丈夫⁉」
「怪我は…⁉」
「えぇ、大丈夫よ」
サムスの言葉に皆がホッとしている中、マリオはリドリーから視線を離さずにピーチへ声を掛けた。
「姫、サムスは少し怪我をしているようです。ここにいる皆でサムスを医務室へ」
「分かったわ、マリオは?」
「僕は、まだ彼に用があるので残ります。ロックマン、姫たちを頼む」
「うん、分かった!」
女性陣とロックマンはサムスを連れ、中庭を離れた。それと入れ違いでフォックスが両手を引き連れて中庭に入ってきた。
「フォックス、ありがとう」
「おう、っていうか何だこの惨状は!中庭が焼け野原じゃないか!ったく!芝生は意外とコストかかるんだぞ!」
「うひゃー、コイツがやらかしたのか!やっぱり面白い奴だったな!」
フォックスとクレイジーが騒ぐ中、マリオがリドリーに声をかけた。
「言っておくけれど、ここで生死のやり取りはできない。この世界に来ている時点で僕等はフィギュアの身体になっている。生身に近い感覚ではあるけど、限界を迎えるとフィギュアに戻ってしまうだけだ。…僕の言っている意味は分かるね?」
「ググ…チッ…ワカッタ…から…その汚ねぇハンマーをドケロ…!」
「…」
マリオはその要望に応じハンマーを退けた。リドリーは起き上がり、イツツ…と呟きつつ叩かれた箇所をさすった。
「さてと、随分と暴れてくれたようだが、その理由を聞かせてもらおうか?」
マスターの問いにリドリーは渋々と答え始めた。
「…、理由は簡単ダ。サムス・アランをコロス。それだけダ」
その言葉を聞き、マリオのハンマーを握る手にも力が入る。マスターはそれを手で制しリドリーの言葉に応えた。
「成程な、残念ながら彼が言った通り、ここではメンバー同士の殺し合いはできない仕組みになっている。私も正直そういう血生臭いのは趣味じゃないのでな」
「…」
「その上で質問なのだが、どうだね?その力をそのまま大乱闘で発揮しないかね?」
「⁉、マスター!」
「勿論、こういうオフの場での場外乱闘は無し。だが大乱闘でなら君の宿敵であるサムス、そして様々な奴と飽きるまで闘えるぞ?私から見たら君は心身ともに戦いを望んでいると見受けられるのだが、違うかね?」
「…フフ、確かにオレはサムスを始め色々なヤロウを切り刻んでやりたいとは思っていル。イイだろう、その話ノッテヤル。だが、オレがツマランと思った時点でこの話はナシだ」
「充分充分!いいなマリオ?」
「…うん、分かった。…もし」
そう言いマリオはリドリーの目を見る。今にも食ってかかりそうな威圧のある目だと側から見たフォックスはそう感じていた。そしてリドリーもギロリとマリオを見つめ返す。
「…」
「もし、次もこのような事が起きたら…容赦はしない。その事は肝に命じておいてほしい」
「…フン、精々オレをそうさせないコトダナ」
「さて、話もまとまったようだし、これでお開きだな。リドリー、君は元の世界に戻りなさい。君が乱闘に出ることを楽しみに待っているぞ」
マスターはパチン!と指を鳴らすと、リドリーの足下が光り始めた。最終的に光はリドリーを覆いリドリー共々消えてしまった。彼の世界に帰ったのであろう。
この状況に胸を撫で下ろしたのはフォックスだ。
「はぁ、台風一過のようだったな。後で皆で中庭の片付けな。勿論、マスター、クレイジー、アンタ等もだぞ!」
「はぁ⁉なんで俺たちもやんなきゃなんないんだよ!」
「当たり前だ!そもそも!お前らがアイツを呼ばなけりゃこんな事になってなかったんだぞ!」
「「ええええええ!!?」」
「うるせぇ!逃がさないからな!」
「あ、フォックス、僕サムスとロックマンの容態が気がかりだから医務室行ってくるね」
こうしてサムス襲撃事件は幕を閉じたのだった。
~スマブラ館医務室~
リドリーの襲撃により負傷したサムスとロックマンであったが、E缶を飲んだロックマンはすぐに全快し先程医務室を後にしていた。
そしてサムスは尻尾の薙ぎ払いにより左腕を負傷、軽い打撲だった。
「はい、これで大丈夫。暫くは左腕は使わないようにね。一週間程は乱闘もお休みだね」
「…、ありがとう、マリオ」
「これ位の怪我なら治るのは余裕だよ。後で湿布と痛かった時の痛み止め出すから…」
「ううん、それだけじゃない」
「…」
「ふふ、私も迂闊だったわ。あのまま貴方が来なかったら、もっと酷い事になってたかもね。これからは私ももっと警戒して…」
「しなくていい」
「…⁉」
急に言葉を遮られ驚いているサムスに、マリオは続けて言葉を紡ぐ。
「ここは、戦士達の休息の場だ。皆にとって、心身共にリフレッシュできる環境にしていくつもりだ。だから君にもこれまで通り過ごせるようにしていくから…!だから…」
そう言っている時にサムスが急に笑い出したのだ。マリオは何故笑っているのか分らずポカンとしてしまう。
「…ふふふ、本当に貴方はお人好しね」
「か、からかわないでくれよ…」
「ふふ、正直ね、貴方があいつを殴ってくれて、なんかスカッとしたの。あいつが地面に伏せっているのなんて中々見れないから。面白かったわ」
「そ、そうか…」
「またあんな状況が見れるのだったら、貴方に頼んでもいいのかもしれないわね」
そう言い微笑むサムス。その微笑みを見て、マリオの中の緊張感も和らいだような気がした。
「…はは、じゃあその時はまたハンマー持ってすぐに駆けつけるようにするよ」
「お願いするわねリーダー」
「あぁ」
そう言って2人は微笑むのだった。
おわり
仲間のこと(特に子どもや女性陣)になると怒っちゃう兄さんと、仲間(特に兄さん)に頼ることを覚えてきた姐さんが書きたかったんだ。
この後、リドリーの紹介ムービーにてマリオは仕返しを受けるのでした←
中庭では女性メンバー数人がお茶菓子を持ち寄りお茶会を開いていた。
「この紅茶、とても良い香りがするわね」
「えぇ、本当!桃の香りかしら?」
紅茶のとても良い香りにサムスとWii fitトレーナーが話していると、その言葉にピーチが嬉しそうに話しだした。
「そう!正解!私もこの香りが気に入ってこの茶葉を買ったの!この間マリオにも飲ませてあげたらとても気に入ってくれて、この紅茶が私らしいって褒めてくれたの!」
「まぁ!それは良かったですね!」
ピーチの言葉にルキナも嬉しそうに応えた。
そしてその隣でロゼッタが一口にしたパウンドケーキを優雅に口にしていた。
「あら、このケーキとても美味しいわ。貴方って何でも出来るのですね」
そう驚き賞賛の言葉を投げた先にはロックマンがいた。
「えへへ、元々ボクはお手伝いロボットなので、家事なら得意です」
「でもこんなに美味しく作れるなんて凄いわ!何かコツとかあるの?」
「あ、それ私も知りたいです!糖質控えめのレシピとかあれば嬉しいですね!」
「い、いやそんな、コツなんて…ただ材料を混ぜて焼いただけですよっ、でも糖質控えめのものはちょっと考えておきますね」
ピーチとトレーナーの質問にタジタジなロックマンを見つつサムスは穏やかに紅茶を口にした。
その時である
ドシーン!!
「「⁉」」
中庭の空から突如大きな影がものすごい勢いで舞い降りた。砂煙が舞う中、サムスには聞き覚えのある笑い声が聞こえてきた。
「ケハハハハハ…いるんダロォ?…サムス…」
「…」
その言葉で彼女の中の考えは可能性から確信に変わる。小さく舌打ちをし、私服の中に隠していたパラライザーを取り出し前に出て構えた。
「皆、ここから離れて。どうやら私に用があるようよ」
「で、でも…」
「お願い」
サムスが反論したルキナにそう言った瞬間、砂煙の中からリドリーが飛び出し鋭い爪を振り上げた。
サムスは一瞬驚きはしたが、素早く身をかわしパラライザーで応戦をしていく。
そしてリドリーも巨体の割に機敏で、辺りを飛び回りながらサムスの攻撃をかわしていき、彼女の隙を突くように鋭い爪や尻尾で攻撃を仕掛けていた。
お互い引けを取らない闘いの中、1人サムスはこの現状に焦っていたのだ。
(今は私服で動きづらい上に、武器はパラライザーのみ。…このままでは力負けしてしまう…パワードスーツに着替えられる隙さえ作れれば…)
そう思った瞬間、彼女の死角からまるで槍のように鋭く尖った尻尾が彼女に迫っていた。
(しまった…⁉)
尻尾が彼女の心臓を射抜こうとしたその時…!
「リーフシールド!」
ザシュ!
「「!?」」
突如リドリーの尻尾に無数の葉の塊が飛んできたのだ。その攻撃は見事尻尾を捉え、リドリーの攻撃を阻止。サムスは間一髪のところで攻撃を逃れた。
「ありがとうロックマン!」
「援護するよサムス!メタルブレード!」
ロックマンは続け様に丸鋸型の刃をいくつもリドリーに投げた。
だがリドリーも黙ってはいない。
「邪魔をするナアアア!!ドケエエエ!!」
リドリーは投げられた刃をかわし、口から炎をロックマン目掛け放ったのだ。
ドンドンドンドン!
「ぐうぅ…!」
(なんて威力の炎だ…!)
炎に直撃はしなかったものの、その風圧は身体が吹っ飛んでしまう程凄まじく、爆風を受けたロックマンはその場でやり過ごすしかなかった。
その隙をつき、リドリーはロックマンの身体をガシッと掴んだ!焦るロックマンだが彼の身体は易々と持ち上がる。リドリーはそれを良いことに、ロックマンごと宙に舞い、そのままロックマンを地面にずるように飛行していく。
「ロックマン!」
サムスの叫びも虚しく、リドリーはそのままロックマンを遠くの方にぶん投げたのだ!
「うわぁあああ!!」
ドコオオオン!!
飛ばされたロックマンは勢いよく飛んでいきそのまま館の壁に衝突した!
リドリーは大きく旋回し、今度は本命であるサムスに向け更に速度を上げる。
サムスもそれに気付きパラライザーを撃つも、リドリーはそれをかわし攻撃態勢に入る。
その勢いは凄まじく、サムスも避けることに重きを置いてしまう程であった。
そしてリドリーは更に炎弾を混じえながら徐々にサムスの回避可能範囲を狭めていくのであった。
そして、遂に…
「…っ」
(しまった…、周りが火の海で逃げ道がない…)
激しい炎攻撃により周りが文字通り火の海と化し、噴煙があたり一面に巻き起こる。炎と煙で視界が遮られ、サムスにとって最悪のコンディションになってしまったのだった。
その時、煙の中から突如リドリーの尻尾が薙ぎ払いの形で攻撃を仕掛けてきたのだ。
ドゴォ!
「!!」
サムスはそれに反応しパラライザーを向けるも、リドリーの攻撃速度の方が勝り薙ぎ払いをもろに受けてしまったのだ。
攻撃を受けたサムスは吹っ飛び、地面に叩きつけられた。その際に運悪く唯一の武器パラライザーも手から離れ遠くに落としてしまった。
幸いにもダメージは浅く、起き上がろうとしたサムスのもとにリドリーはトドメの一撃を刺さんとばかりに一気に彼女のもとに詰め寄る。
「⁉」
その勢いに避け切る事が出来ないと判断したサムスは攻撃を受けることに覚悟した瞬間…
ドゴォ!!
「グアア!!」
一つの影がリドリーを攻撃をしたのだ!
上からの攻撃であったのか、リドリーは激しく地面に叩きつけられたのであった。
「⁉…マリオ⁉」
サムスが驚くのも無理はない。いきなり上からマリオが降ってきてしかも大きなハンマーでリドリーの頭を思いっきり殴りつけたなんて、想像すらしていなかったからだ。
「グ…コノ…ガハァ!」
「流石だね。軽く脳震盪を起こしている筈なのに。…大人しくするんだ。これ以上暴れるようだったら、僕にも考えがある」
動こうとするリドリーにマリオは更にハンマーで殴りつける。
「サムスー!」
「サムスさーん!」
周りの炎も収まり、退避していた女性陣とロックマンがサムスのもとへ集まってきた。
「大丈夫⁉」
「怪我は…⁉」
「えぇ、大丈夫よ」
サムスの言葉に皆がホッとしている中、マリオはリドリーから視線を離さずにピーチへ声を掛けた。
「姫、サムスは少し怪我をしているようです。ここにいる皆でサムスを医務室へ」
「分かったわ、マリオは?」
「僕は、まだ彼に用があるので残ります。ロックマン、姫たちを頼む」
「うん、分かった!」
女性陣とロックマンはサムスを連れ、中庭を離れた。それと入れ違いでフォックスが両手を引き連れて中庭に入ってきた。
「フォックス、ありがとう」
「おう、っていうか何だこの惨状は!中庭が焼け野原じゃないか!ったく!芝生は意外とコストかかるんだぞ!」
「うひゃー、コイツがやらかしたのか!やっぱり面白い奴だったな!」
フォックスとクレイジーが騒ぐ中、マリオがリドリーに声をかけた。
「言っておくけれど、ここで生死のやり取りはできない。この世界に来ている時点で僕等はフィギュアの身体になっている。生身に近い感覚ではあるけど、限界を迎えるとフィギュアに戻ってしまうだけだ。…僕の言っている意味は分かるね?」
「ググ…チッ…ワカッタ…から…その汚ねぇハンマーをドケロ…!」
「…」
マリオはその要望に応じハンマーを退けた。リドリーは起き上がり、イツツ…と呟きつつ叩かれた箇所をさすった。
「さてと、随分と暴れてくれたようだが、その理由を聞かせてもらおうか?」
マスターの問いにリドリーは渋々と答え始めた。
「…、理由は簡単ダ。サムス・アランをコロス。それだけダ」
その言葉を聞き、マリオのハンマーを握る手にも力が入る。マスターはそれを手で制しリドリーの言葉に応えた。
「成程な、残念ながら彼が言った通り、ここではメンバー同士の殺し合いはできない仕組みになっている。私も正直そういう血生臭いのは趣味じゃないのでな」
「…」
「その上で質問なのだが、どうだね?その力をそのまま大乱闘で発揮しないかね?」
「⁉、マスター!」
「勿論、こういうオフの場での場外乱闘は無し。だが大乱闘でなら君の宿敵であるサムス、そして様々な奴と飽きるまで闘えるぞ?私から見たら君は心身ともに戦いを望んでいると見受けられるのだが、違うかね?」
「…フフ、確かにオレはサムスを始め色々なヤロウを切り刻んでやりたいとは思っていル。イイだろう、その話ノッテヤル。だが、オレがツマランと思った時点でこの話はナシだ」
「充分充分!いいなマリオ?」
「…うん、分かった。…もし」
そう言いマリオはリドリーの目を見る。今にも食ってかかりそうな威圧のある目だと側から見たフォックスはそう感じていた。そしてリドリーもギロリとマリオを見つめ返す。
「…」
「もし、次もこのような事が起きたら…容赦はしない。その事は肝に命じておいてほしい」
「…フン、精々オレをそうさせないコトダナ」
「さて、話もまとまったようだし、これでお開きだな。リドリー、君は元の世界に戻りなさい。君が乱闘に出ることを楽しみに待っているぞ」
マスターはパチン!と指を鳴らすと、リドリーの足下が光り始めた。最終的に光はリドリーを覆いリドリー共々消えてしまった。彼の世界に帰ったのであろう。
この状況に胸を撫で下ろしたのはフォックスだ。
「はぁ、台風一過のようだったな。後で皆で中庭の片付けな。勿論、マスター、クレイジー、アンタ等もだぞ!」
「はぁ⁉なんで俺たちもやんなきゃなんないんだよ!」
「当たり前だ!そもそも!お前らがアイツを呼ばなけりゃこんな事になってなかったんだぞ!」
「「ええええええ!!?」」
「うるせぇ!逃がさないからな!」
「あ、フォックス、僕サムスとロックマンの容態が気がかりだから医務室行ってくるね」
こうしてサムス襲撃事件は幕を閉じたのだった。
~スマブラ館医務室~
リドリーの襲撃により負傷したサムスとロックマンであったが、E缶を飲んだロックマンはすぐに全快し先程医務室を後にしていた。
そしてサムスは尻尾の薙ぎ払いにより左腕を負傷、軽い打撲だった。
「はい、これで大丈夫。暫くは左腕は使わないようにね。一週間程は乱闘もお休みだね」
「…、ありがとう、マリオ」
「これ位の怪我なら治るのは余裕だよ。後で湿布と痛かった時の痛み止め出すから…」
「ううん、それだけじゃない」
「…」
「ふふ、私も迂闊だったわ。あのまま貴方が来なかったら、もっと酷い事になってたかもね。これからは私ももっと警戒して…」
「しなくていい」
「…⁉」
急に言葉を遮られ驚いているサムスに、マリオは続けて言葉を紡ぐ。
「ここは、戦士達の休息の場だ。皆にとって、心身共にリフレッシュできる環境にしていくつもりだ。だから君にもこれまで通り過ごせるようにしていくから…!だから…」
そう言っている時にサムスが急に笑い出したのだ。マリオは何故笑っているのか分らずポカンとしてしまう。
「…ふふふ、本当に貴方はお人好しね」
「か、からかわないでくれよ…」
「ふふ、正直ね、貴方があいつを殴ってくれて、なんかスカッとしたの。あいつが地面に伏せっているのなんて中々見れないから。面白かったわ」
「そ、そうか…」
「またあんな状況が見れるのだったら、貴方に頼んでもいいのかもしれないわね」
そう言い微笑むサムス。その微笑みを見て、マリオの中の緊張感も和らいだような気がした。
「…はは、じゃあその時はまたハンマー持ってすぐに駆けつけるようにするよ」
「お願いするわねリーダー」
「あぁ」
そう言って2人は微笑むのだった。
おわり
仲間のこと(特に子どもや女性陣)になると怒っちゃう兄さんと、仲間(特に兄さん)に頼ることを覚えてきた姐さんが書きたかったんだ。
この後、リドリーの紹介ムービーにてマリオは仕返しを受けるのでした←