マリサム話
~スマブラ館台所~
午前の試合も終わり、訪れた穏やかな午後の一時。この時間帯はお昼を食べた後だからか一際微睡む時間だ。
(眠いなぁ…)
僕はそう思い伸びをしつつ、コーヒーのソーサーを見つめていた。
《勘違い》
前まではインスタントのコーヒーを飲んでたんだけど、「どうせ皆飲むし、こっちの方が旨いだろ?」って、マスターが設置してくれたんだ。
ボコボコと沸騰しているお湯がコーヒーになってゆく様を見るのが、僕の最近の小さなブームだ。何より、コーヒーの芳醇な薫りが、これから飲むコーヒーの美味しさへ期待を持てるような気がするんだよね。味は変わらないのにね。
丸い硝子の中のお湯が全てコーヒーとなって、マグカップの中へと収まった。僕はそれを確認すると、マグカップを持ち居間へと歩いていった。これからアイクやクッパ達が練習試合をするみたいでね、居間のテレビで見ようと思ってるんだ。マスターにより、スタジアムでのこうした試合を居間のテレビで見れるようにしてもらってる。
黒く濁ったコーヒーから立ち上る薫りに、何とも一口飲みたいという欲が沸き立つ。
そういえば、いつからこんなにコーヒーを飲むようになったんだっけ?
ここに来る前は、こんなに毎日コーヒーを飲む習慣は無かったのになぁ…。
そんなことを思いながら、僕は居間のテレビの電源を入れて、チャンネルを試合中継に合わせた。どうやら今から試合が始まるようで、カウントダウンの声が聞こえてきた。
「良かった。間に合ったみたいだ」
僕はいつも座っているお決まりのソファーに腰を下ろし、コーヒーを飲みながら試合を観戦することにした。
「クッパ…アイクに押されてるなぁ…」
試合も中盤に差し掛かり、ズズ…とコーヒーを飲みつつこの試合はアイクが勝ちそうだなと予想を立てていると…
「あら、試合始まってたのね」
僕の後からとても聞きなれた声が聞こえたのだった。
「やぁサムス」
僕は彼女の方に顔を向けると、サムスはニコリと微笑み僕の隣に腰掛けた。
「どうなってる?」
「あぁ、今アイクとクッパ、ファルコン、オリマーが試合してるよ。今のところアイクが1位になりそうかな」
そう言い僕は一口コーヒーを飲もうとした…が
「あ、もう飲み終わっちゃった」
いつの間にか空にしてしまったみたいだ。あららと頭をかく僕にクスリとサムスは笑いながら…
「私もコーヒー飲みたいし、ついでに淹れてきてあげましょうか?」
そう言うものだから
「本当かい?じゃあお言葉に甘えようかな」
なんて、いつも彼女に甘えてしまう。まぁ、彼女の淹れたコーヒーは美味しいから、それ飲みたさもあるかも。
「じゃあ淹れてくるわね」
彼女は僕のマグカップを持ち、台所へ向かった。それを見届けると、視線を試合の方へと向けた。
試合はいよいよ佳境を向かえ、このままだとサドンデスに持ち込みかもなぁとぼんやりと思った。微睡んできているぶん、まだまだ眠気が飛んでいないようだ。
そういえば、ここに来てからというもの、体力仕事よりも事務仕事が増えたっけ(書類の名義とかも何故か僕の名前だったりするし)。
リーダーだからってのもあって、色々な仕事が立て込んじゃってあまり眠れない日もあって…。隙あればこうやってうとうとしちゃったりして…。
「マリオ」
「?」
微睡みの中から救い上げてくれるような優しい声に僕は振り向くと、ふわりと良い薫りを纏わせたサムスが自分と僕の分のコーヒーを持って隣に腰掛けた所だった。
「どうぞ、熱いわよ」
「ありがとう」
僕はそう返し、サムスからマグカップを受け取った時…ぁ…と小さく声を漏らしてしまった。
そういえば…、こうやって眠い時はいつも、君は気遣ってコーヒーを淹れてくれていたんだよね。「お疲れ様」とかって言葉を添えながら…。
「?、どうしたの?」
「いや、その…、君にはいつも感謝してもしつくせないなって…」
「いっ…いきなり何言ってるのよ!?;//」
もしかして僕は、大きな勘違いをしていたのかもしれない。
コーヒーを好きになったのではなくて、コーヒーを淹れてくれていた君のことを好きになっていたんだ。きっと…。
当たり前が崩れた瞬間。
おわり
マリオさんが、自分自身の思いに気付いた瞬間を書いてみました。
この後2人して顔を赤めてればいいよ!←
午前の試合も終わり、訪れた穏やかな午後の一時。この時間帯はお昼を食べた後だからか一際微睡む時間だ。
(眠いなぁ…)
僕はそう思い伸びをしつつ、コーヒーのソーサーを見つめていた。
《勘違い》
前まではインスタントのコーヒーを飲んでたんだけど、「どうせ皆飲むし、こっちの方が旨いだろ?」って、マスターが設置してくれたんだ。
ボコボコと沸騰しているお湯がコーヒーになってゆく様を見るのが、僕の最近の小さなブームだ。何より、コーヒーの芳醇な薫りが、これから飲むコーヒーの美味しさへ期待を持てるような気がするんだよね。味は変わらないのにね。
丸い硝子の中のお湯が全てコーヒーとなって、マグカップの中へと収まった。僕はそれを確認すると、マグカップを持ち居間へと歩いていった。これからアイクやクッパ達が練習試合をするみたいでね、居間のテレビで見ようと思ってるんだ。マスターにより、スタジアムでのこうした試合を居間のテレビで見れるようにしてもらってる。
黒く濁ったコーヒーから立ち上る薫りに、何とも一口飲みたいという欲が沸き立つ。
そういえば、いつからこんなにコーヒーを飲むようになったんだっけ?
ここに来る前は、こんなに毎日コーヒーを飲む習慣は無かったのになぁ…。
そんなことを思いながら、僕は居間のテレビの電源を入れて、チャンネルを試合中継に合わせた。どうやら今から試合が始まるようで、カウントダウンの声が聞こえてきた。
「良かった。間に合ったみたいだ」
僕はいつも座っているお決まりのソファーに腰を下ろし、コーヒーを飲みながら試合を観戦することにした。
「クッパ…アイクに押されてるなぁ…」
試合も中盤に差し掛かり、ズズ…とコーヒーを飲みつつこの試合はアイクが勝ちそうだなと予想を立てていると…
「あら、試合始まってたのね」
僕の後からとても聞きなれた声が聞こえたのだった。
「やぁサムス」
僕は彼女の方に顔を向けると、サムスはニコリと微笑み僕の隣に腰掛けた。
「どうなってる?」
「あぁ、今アイクとクッパ、ファルコン、オリマーが試合してるよ。今のところアイクが1位になりそうかな」
そう言い僕は一口コーヒーを飲もうとした…が
「あ、もう飲み終わっちゃった」
いつの間にか空にしてしまったみたいだ。あららと頭をかく僕にクスリとサムスは笑いながら…
「私もコーヒー飲みたいし、ついでに淹れてきてあげましょうか?」
そう言うものだから
「本当かい?じゃあお言葉に甘えようかな」
なんて、いつも彼女に甘えてしまう。まぁ、彼女の淹れたコーヒーは美味しいから、それ飲みたさもあるかも。
「じゃあ淹れてくるわね」
彼女は僕のマグカップを持ち、台所へ向かった。それを見届けると、視線を試合の方へと向けた。
試合はいよいよ佳境を向かえ、このままだとサドンデスに持ち込みかもなぁとぼんやりと思った。微睡んできているぶん、まだまだ眠気が飛んでいないようだ。
そういえば、ここに来てからというもの、体力仕事よりも事務仕事が増えたっけ(書類の名義とかも何故か僕の名前だったりするし)。
リーダーだからってのもあって、色々な仕事が立て込んじゃってあまり眠れない日もあって…。隙あればこうやってうとうとしちゃったりして…。
「マリオ」
「?」
微睡みの中から救い上げてくれるような優しい声に僕は振り向くと、ふわりと良い薫りを纏わせたサムスが自分と僕の分のコーヒーを持って隣に腰掛けた所だった。
「どうぞ、熱いわよ」
「ありがとう」
僕はそう返し、サムスからマグカップを受け取った時…ぁ…と小さく声を漏らしてしまった。
そういえば…、こうやって眠い時はいつも、君は気遣ってコーヒーを淹れてくれていたんだよね。「お疲れ様」とかって言葉を添えながら…。
「?、どうしたの?」
「いや、その…、君にはいつも感謝してもしつくせないなって…」
「いっ…いきなり何言ってるのよ!?;//」
もしかして僕は、大きな勘違いをしていたのかもしれない。
コーヒーを好きになったのではなくて、コーヒーを淹れてくれていた君のことを好きになっていたんだ。きっと…。
当たり前が崩れた瞬間。
おわり
マリオさんが、自分自身の思いに気付いた瞬間を書いてみました。
この後2人して顔を赤めてればいいよ!←