マリサム話
僕が皆を守るんだ…
それはこういう戦いの場においての彼の信念であり口癖。
例え…その戦いがどんなに熾烈な場合であったとしても…
≪ほっぺ≫
「はぁ…はぁ…」
「いてて…」
「大丈夫?」
タブーからの猛攻によりメンバーは散り散りになり、今いるメンバーはほんの数人しかいない。
ここにいるのは私ことサムス、フォックス、ピット、ポケトレ、そしてマリオ…。
亜空軍からの追撃から身を守るため、そしてこれからの動向を練る為、とある研究所の一室の物陰に身を潜めている状況だ。
物陰から敵の様子を伺っていたマリオはこちらの方に視線をよこし声をかけた。
「皆、怪我は…?」
「私はまだ大丈夫だ」
「あぁ、俺も問題ない」
「すみません、ピットが腕と羽を…;」
そう言い申し訳なさそうな顔を浮かべているのはポケトレことレッド。そしてその隣にいるピットの左腕と羽には、先程のタブー戦でつけたであろう無数の切り傷が見えた。
「ごめんピット。僕を庇ってくれたばかりに…」
「だ、大丈夫だよレッド!僕はこういうの慣れてるから!…いつつ;」
「やっぱり痛むんじゃないの!やせ我慢はなしよ」
「す、すみません…;」
「さて…これからどうするか…だが」
そう言いフォックスはマリオの顔を見る。一応私たちに気遣いの声をかけてはいるものの、彼の顔は青ざめているような、焦りの表情が見て取れていた。
「どうするのマリオ?」
「・・・。」
彼は人差し指を唇に軽く当て、必至に考え込んでいるようだ。焦りからか額から汗が落ちる。
「…。」
彼がこんなに焦るのも無理はない。タブーのオフ波動によりメンバーは散り散りに。その時に、敵からの猛攻により、彼にとって1番守らなければならない人、ピーチが他のメンバーと共に逸れてしまったのも大きい。
仲間の安否が定かではない今、彼の不安は募る一方なのだ。
「ごめん、皆…」
「「?」」
暫しの沈黙の後、マリオからのいきなりの謝罪に全員疑問に思ったが、その後の一言でそれが衝撃に変わった。
「君達はここで待機していてくれ」
「「!?」」
「い、いきなり何を言い出すんだ!?ここだって安全とは言い切れないんだぞ!?それにまだ俺たちは戦える!」
「フォックスさんの言う通りです!僕だって、まだ右腕は使えます!」
「僕も、まだ戦えるよ!ポケモン達もさっき傷薬をあげたから大丈夫さ!」
「すまない皆…。もう君たちが傷つく所なんて見たくない」
「マリオ…」
皆が納得いかない心境の中、マリオは、まるで自分に言い聞かすようにブツブツと呟いていた。
「僕が…守らなきゃ…、僕が…皆を守るんだ…」
それを聞いた時…
「…っ!!」
私は思わず…、いや、迷わず…
その手を彼の頬へ…
パシンッ!!!
振り下ろしていた。
「「!!!?」」
周りもそして彼も一体何が起きたのか頭が追いついていない様子。
だが、私はそんなのお構いなしで彼の両頬を両手でつかみ、グイッと彼の目が私の目に合うようにした。
彼に、彼の心に私の声が届くように。
「いいマリオ!貴方はリーダーなんだ!私たちの!だからもっと、私たちを信じてくれ…!」
「!?」
「僕がみんなを守る?もう皆が傷つくのを見たくない?甘っちょろい事言わないで!これでも私たちは幾戦の修羅場を潜り抜けてきたスマッシュブラザーズよ!そして貴方はそのリーダー。私たちのこと1番分かっているはずでしょ?」
「サムス…」
「他のメンバーも、ピーチもきっと大丈夫。貴方や私たちの事を信じて動いてくれているはずよ。貴方も彼女達を信じてあげなきゃ駄目」
そう言って私は彼の目をじっと見た。先程の動揺して落ち着きの無かった、青くて綺麗な瞳は、次第に落ち着きを取り戻し、いつもの彼らしい光の宿った瞳に戻ってきたようだった。
「仲間を信じる…か…」
フワッ
「!?」
彼は私の頬に軽く手を当て、ニコリと私に微笑みかけた。いきなりのそれに思わず驚き赤面してしまう…。
「ありがとう、サムス。僕もリーダーとしてまだまだだね…」
そうして彼は私から離れ、未だ唖然としているメンバー達に
「すまない、皆。僕の意見を押し付けてしまって」
「い、いや…。もう、大丈夫なのか?」
「あぁ、悪かったフォックス。もう大丈夫だ。ピット、まだ動けそうかい?」
「はい!まだまだ大丈夫です!」
「分かった。ピットを援護しつつ皆で他のメンバーを探そう。フォックス」
「あぁ、分かってる。いいか、よく聞け。これからここを抜け、メンバーと合流を図る。まずは…」
フォックスはスマメンの参謀だ。リーダーであるマリオは物事の大まかな事を決定し、その細かな流れを参謀のフォックスが決める。
「…そういう訳だ。いいか?」
「はい!」
「任せてください!」
「OKよ」
「よし、じゃあ皆。行こう!」
その後は何とか敵陣を突破し、メンバーとも無事合流。見事タブーも倒すことができたのだった。
もし、あの時、マリオが私の声を信じてくれなかったら、きっとあのようにはいかなかったかもしれない…。そのことに恐怖を覚える反面…私は…
「サムス?」
「?、何?マリオ」
「どうしたんだい?さっきからボーっとして。コーヒー冷めちゃうよ?」
「いえ、ちょっと…。タブーと戦った時の事を思い出していたの」
「タブーかぁ、色々あったよねぇ」
「えぇ、本当によく皆生きて戻ってこれたと思うわ」
「うん。…あの時君に怒られてなかったら、僕は君達を信じることが出来ずに、もっと皆が傷ついてしまっていたかもしれない」
「マリオ…」
彼は私の手を取りギュッと握った。
「だから、本当に…ありがとう。僕を信じてくれて」
「いえ…私こそ、その…ありがとう…;」
「ふふ」
「…//;」
…私は…本当に、本当に嬉しかったんだ。
貴方が私を、私の声を信じてくれて…。
私はそっと、握られたその手を握り返したのだった。
おわり
亜空編での一コマのつもりで書いてみました。
マリオさんはサム姉さんにこんな感じで喝を入れられてたらいい。
それはこういう戦いの場においての彼の信念であり口癖。
例え…その戦いがどんなに熾烈な場合であったとしても…
≪ほっぺ≫
「はぁ…はぁ…」
「いてて…」
「大丈夫?」
タブーからの猛攻によりメンバーは散り散りになり、今いるメンバーはほんの数人しかいない。
ここにいるのは私ことサムス、フォックス、ピット、ポケトレ、そしてマリオ…。
亜空軍からの追撃から身を守るため、そしてこれからの動向を練る為、とある研究所の一室の物陰に身を潜めている状況だ。
物陰から敵の様子を伺っていたマリオはこちらの方に視線をよこし声をかけた。
「皆、怪我は…?」
「私はまだ大丈夫だ」
「あぁ、俺も問題ない」
「すみません、ピットが腕と羽を…;」
そう言い申し訳なさそうな顔を浮かべているのはポケトレことレッド。そしてその隣にいるピットの左腕と羽には、先程のタブー戦でつけたであろう無数の切り傷が見えた。
「ごめんピット。僕を庇ってくれたばかりに…」
「だ、大丈夫だよレッド!僕はこういうの慣れてるから!…いつつ;」
「やっぱり痛むんじゃないの!やせ我慢はなしよ」
「す、すみません…;」
「さて…これからどうするか…だが」
そう言いフォックスはマリオの顔を見る。一応私たちに気遣いの声をかけてはいるものの、彼の顔は青ざめているような、焦りの表情が見て取れていた。
「どうするのマリオ?」
「・・・。」
彼は人差し指を唇に軽く当て、必至に考え込んでいるようだ。焦りからか額から汗が落ちる。
「…。」
彼がこんなに焦るのも無理はない。タブーのオフ波動によりメンバーは散り散りに。その時に、敵からの猛攻により、彼にとって1番守らなければならない人、ピーチが他のメンバーと共に逸れてしまったのも大きい。
仲間の安否が定かではない今、彼の不安は募る一方なのだ。
「ごめん、皆…」
「「?」」
暫しの沈黙の後、マリオからのいきなりの謝罪に全員疑問に思ったが、その後の一言でそれが衝撃に変わった。
「君達はここで待機していてくれ」
「「!?」」
「い、いきなり何を言い出すんだ!?ここだって安全とは言い切れないんだぞ!?それにまだ俺たちは戦える!」
「フォックスさんの言う通りです!僕だって、まだ右腕は使えます!」
「僕も、まだ戦えるよ!ポケモン達もさっき傷薬をあげたから大丈夫さ!」
「すまない皆…。もう君たちが傷つく所なんて見たくない」
「マリオ…」
皆が納得いかない心境の中、マリオは、まるで自分に言い聞かすようにブツブツと呟いていた。
「僕が…守らなきゃ…、僕が…皆を守るんだ…」
それを聞いた時…
「…っ!!」
私は思わず…、いや、迷わず…
その手を彼の頬へ…
パシンッ!!!
振り下ろしていた。
「「!!!?」」
周りもそして彼も一体何が起きたのか頭が追いついていない様子。
だが、私はそんなのお構いなしで彼の両頬を両手でつかみ、グイッと彼の目が私の目に合うようにした。
彼に、彼の心に私の声が届くように。
「いいマリオ!貴方はリーダーなんだ!私たちの!だからもっと、私たちを信じてくれ…!」
「!?」
「僕がみんなを守る?もう皆が傷つくのを見たくない?甘っちょろい事言わないで!これでも私たちは幾戦の修羅場を潜り抜けてきたスマッシュブラザーズよ!そして貴方はそのリーダー。私たちのこと1番分かっているはずでしょ?」
「サムス…」
「他のメンバーも、ピーチもきっと大丈夫。貴方や私たちの事を信じて動いてくれているはずよ。貴方も彼女達を信じてあげなきゃ駄目」
そう言って私は彼の目をじっと見た。先程の動揺して落ち着きの無かった、青くて綺麗な瞳は、次第に落ち着きを取り戻し、いつもの彼らしい光の宿った瞳に戻ってきたようだった。
「仲間を信じる…か…」
フワッ
「!?」
彼は私の頬に軽く手を当て、ニコリと私に微笑みかけた。いきなりのそれに思わず驚き赤面してしまう…。
「ありがとう、サムス。僕もリーダーとしてまだまだだね…」
そうして彼は私から離れ、未だ唖然としているメンバー達に
「すまない、皆。僕の意見を押し付けてしまって」
「い、いや…。もう、大丈夫なのか?」
「あぁ、悪かったフォックス。もう大丈夫だ。ピット、まだ動けそうかい?」
「はい!まだまだ大丈夫です!」
「分かった。ピットを援護しつつ皆で他のメンバーを探そう。フォックス」
「あぁ、分かってる。いいか、よく聞け。これからここを抜け、メンバーと合流を図る。まずは…」
フォックスはスマメンの参謀だ。リーダーであるマリオは物事の大まかな事を決定し、その細かな流れを参謀のフォックスが決める。
「…そういう訳だ。いいか?」
「はい!」
「任せてください!」
「OKよ」
「よし、じゃあ皆。行こう!」
その後は何とか敵陣を突破し、メンバーとも無事合流。見事タブーも倒すことができたのだった。
もし、あの時、マリオが私の声を信じてくれなかったら、きっとあのようにはいかなかったかもしれない…。そのことに恐怖を覚える反面…私は…
「サムス?」
「?、何?マリオ」
「どうしたんだい?さっきからボーっとして。コーヒー冷めちゃうよ?」
「いえ、ちょっと…。タブーと戦った時の事を思い出していたの」
「タブーかぁ、色々あったよねぇ」
「えぇ、本当によく皆生きて戻ってこれたと思うわ」
「うん。…あの時君に怒られてなかったら、僕は君達を信じることが出来ずに、もっと皆が傷ついてしまっていたかもしれない」
「マリオ…」
彼は私の手を取りギュッと握った。
「だから、本当に…ありがとう。僕を信じてくれて」
「いえ…私こそ、その…ありがとう…;」
「ふふ」
「…//;」
…私は…本当に、本当に嬉しかったんだ。
貴方が私を、私の声を信じてくれて…。
私はそっと、握られたその手を握り返したのだった。
おわり
亜空編での一コマのつもりで書いてみました。
マリオさんはサム姉さんにこんな感じで喝を入れられてたらいい。