タンポポ
後日
~街の郊外~
「あぁ~、重い;」ゼイゼイ
「そうかな?」
「あぁ…、なんでだろうな~ほんと、誰かさんの分も持たされてるからかなあー。自分の分位持てばいいのになぁーほんと!」ゼイゼイ
「おやロイ、なんで僕の方に向けてそんなに声を荒げてるんだい?」
「そりゃ荒げたくもなるわ!!見てみろこの量を!!」ゼイゼイ
そう言うロイは、両手に大きな買い物袋。そして背中には買った物が沢山入った大きなリュックサックをしょっており、歩くのがやっとの状況である。
「何言っているんだい?僕はちゃんと自分の分を持っているじゃないか」
「ほう、その袋一つだけがあんたの分だと言いたいのか!?あ!?」
「あぁ勿論。王子がそんな汗だくになって荷物を運ぶものではないよ」
「てめぇ!!いい加減にしろよ!!!」
「まぁまぁいいじゃないですか、こうしてなんとか荷物運べている訳だし」
「そんなこと言うんだったらお前持てよ」
「やだなぁ、それとこれとは話が違うじゃないですか、頑張って下さい」
「おめぇら…」イラッ!
彼等の会話の通り、ロイ、マルス、ピットは買い物を終え、帰る途中だ
そしてしばらくして…
「…はぁ、…しんど…;」ゼイゼイ
「おーい、大丈夫ですか~?早く来ないと置いてきますよ~!」
「全く君は…、そんな量もろくに運べないなんて。それでも男かい?」
「てめぇら…ろくに荷物も運んでないで…ざけんなよ…!」ゼイゼイ
ロイは二人から遅れを取っていた
ロイの体力はもう限界に近いようだ
「え?何です聞こえない!?もう一回言って下さい!」
「あぁもういい!!もうお前等先行け!!後から行くから!!」イラッ
「何をあんなに怒ってるんでしょう?」
「さぁ?まぁロイがあぁ言っているし、僕達は先に帰ろう」
「はい!」
「ということでロイ!僕達は先に行くよ!」
「頑張って下さい!」
そう言い残し、マルスとピットは先に行ってしまった
「くそ…あいつら…、本当に薄情な奴らめ…!」ゼイゼイ
そう愚痴をこぼしながら進んでいくと、目の前に公園が見えてきた
「しめた!公園だ…!あそこで一回休んでこう;」
ロイは公園に寄ることにしました。
~公園~
公園に入ったロイは休める所を探し始めた
キョロキョロ
「えっと…座れる所h…」
ピタ…
急にロイの動きが止まり固まった
そんなロイの視線の先には一つのベンチ
そしてそのベンチには見たことのある人物がいた…
(あれって…ポケトレ…
…だよな?;)
そう、ポケトレが一人ベンチに腰かけていたのだ
(あの後マルスの野郎に教えてもらったが…)
『あぁ、彼はポケトレ君だよ。君という人は…そんなことも知らないのかい?あ!すまなかったねぇ。君リストラしてるからあまりこっちに来ていないのだったね』
(あの野郎…!思い出すだけで腹が立ってくる!!…だが、何してんだあいつ?本当にポケトレでいいのか…?)
まぁ、そんな名前を覚えたてのロイが分からなくなるのも無理はない。
ポケトレはベンチに座ってはいるが、何故か座ったままベンチの下を覗いており、そのままずっと動いていないでいた
端から見ると異様な光景である。
(はぁ、他に空いてるベンチ無いし、声かけてみるか…;)
意を決したロイはポケトレに声をかけることにした。
「よ、よぅ;」
「!?」バッ!!
「!?;」ビクッ
ポケトレは突然声をかけられたのに驚き、弾かれたように顔を上げた
それにはロイも驚く。
(ビビったー;)
「ょ、よぅ、隣座っていいか?;」
「…」コクン
(ホッ…;)
ポケトレはロイの問いに静かに頷いた
ロイはそれを見て安心し、荷物を下ろしベンチに腰掛けた。
「…」
「…;」
(コイツ、こんなに喋らない奴だっけ…!?;)
そうますます戸惑いつつもさっきの行動が気にかかっていた為ロイは尋ねてみた
「なぁ、なんでベンチの下を見てたんだ?」
「…」
ポケトレは質問を聞くと、またベンチの下を覗き込んだ
「?」
(なんかあんのか?)
そう思ったロイはポケトレと同様にベンチの下を覗き込んだ
ベンチの下には…
(たんぽぽ…?)
そう、ベンチの下には一輪のたんぽぽが咲いていたのだ
「なんでこんな所に咲いちゃったんだろうね」
「?」
ポケトレがいきなり喋りだした
「あっちの日の当たる所に咲けばいいのにさ」
そう言って座り直したポケトレの見る先には、日の当たる場所があった。そこにはいくつものたんぽぽが咲いている。
「仲間外れにならなくてすむのに…」
「…確かにな。だが、こんな所に咲くたんぽぽに悪気はないさ。」
「?」
「たんぽぽであれ、生物は生まれる環境を自分で決めることはできないからな」
「…そうだね。…なんか」
「?」
「なんだか、不平等だよね、世の中って。植物も、人も…」
「…」
びっくりした。
まさか、ポケトレがそんな事を考えているなんて…
人は見かけによらないな。
…だが
「確かに世の中は不平等かもしれないな。…だが、そのどんな状況においても、生きる事を諦めてはいけない。その状況でどう生きるかが大切なんだ。」
「?」
コイツのそういう考え、嫌いじゃねぇ。
「見ろよ、このたんぽぽ。ベンチの下で一日のほとんどがほぼ日陰だけどよ、ちゃんと花を咲かせてるだろ?」
「うん」
「それはな、より日光を取り入れようと葉を大きくしてるからなんだ。生き残る為に精一杯努力してるって証拠だ。」
「ぁ、本当だ。日なたにあるやつより葉が大きいね」
「だろ?…俺は、温室で育った綺麗な花よりも、こうやって不利な状況でも咲く事ができた花の方が素敵だと思うぜ?勿論、人に置き換えたってそうだと思う。どんな家に生まれようが、それからの人生をどう頑張って生きるかが大事なんだ。」
「そうか…。生まれた環境どうこうじゃなくて、どう頑張って生き抜くか、か…。…このたんぽぽは凄いんだね、僕も頑張らなきゃ」
そう言いながらポケトレはたんぽぽを見つめる
「ありがとう、えっと…」
「ロイだ。ロイって呼んでくれ」
「じゃあ、ロイ、ありがとう。こんな話に付き合ってくれて;」
「いや、別に楽しかったぞ?」
「僕、一人でいるとついついどうでもいいこと考えちゃうんだ。なんでこうなってるんだろう?とか」
「いや、そういう事を考えるの俺は良いと思うぞ。そういう些細なことに疑問を持つという事は中々真似出来ないことだ」
「そう、言ってくれると嬉しいな…」
そう言うとポケトレは照れながらニコッと笑った
面白い奴だな…
「なぁ」
「?」
「もし良かったらでいいが、友達になんねぇか?」
コイツの考え、もっと聞いてみたくなった
「うん!よろしくロイ!知ってるかもしれないけど、僕はレッド」
「え?;」
「?」
「俺てっきり、ポケトレが名前だと思ってた;」
・・・。
「…フフフ、本当に?w」
「あ!笑うなよな!//;」
「イヤイヤ、ゴメン、ププw」
「おい!//;」
その公園には柔らかな風が吹き抜け、たんぽぽ達が微笑むように揺れているのだった。
おわり
次、あとがきとおまけ
~街の郊外~
「あぁ~、重い;」ゼイゼイ
「そうかな?」
「あぁ…、なんでだろうな~ほんと、誰かさんの分も持たされてるからかなあー。自分の分位持てばいいのになぁーほんと!」ゼイゼイ
「おやロイ、なんで僕の方に向けてそんなに声を荒げてるんだい?」
「そりゃ荒げたくもなるわ!!見てみろこの量を!!」ゼイゼイ
そう言うロイは、両手に大きな買い物袋。そして背中には買った物が沢山入った大きなリュックサックをしょっており、歩くのがやっとの状況である。
「何言っているんだい?僕はちゃんと自分の分を持っているじゃないか」
「ほう、その袋一つだけがあんたの分だと言いたいのか!?あ!?」
「あぁ勿論。王子がそんな汗だくになって荷物を運ぶものではないよ」
「てめぇ!!いい加減にしろよ!!!」
「まぁまぁいいじゃないですか、こうしてなんとか荷物運べている訳だし」
「そんなこと言うんだったらお前持てよ」
「やだなぁ、それとこれとは話が違うじゃないですか、頑張って下さい」
「おめぇら…」イラッ!
彼等の会話の通り、ロイ、マルス、ピットは買い物を終え、帰る途中だ
そしてしばらくして…
「…はぁ、…しんど…;」ゼイゼイ
「おーい、大丈夫ですか~?早く来ないと置いてきますよ~!」
「全く君は…、そんな量もろくに運べないなんて。それでも男かい?」
「てめぇら…ろくに荷物も運んでないで…ざけんなよ…!」ゼイゼイ
ロイは二人から遅れを取っていた
ロイの体力はもう限界に近いようだ
「え?何です聞こえない!?もう一回言って下さい!」
「あぁもういい!!もうお前等先行け!!後から行くから!!」イラッ
「何をあんなに怒ってるんでしょう?」
「さぁ?まぁロイがあぁ言っているし、僕達は先に帰ろう」
「はい!」
「ということでロイ!僕達は先に行くよ!」
「頑張って下さい!」
そう言い残し、マルスとピットは先に行ってしまった
「くそ…あいつら…、本当に薄情な奴らめ…!」ゼイゼイ
そう愚痴をこぼしながら進んでいくと、目の前に公園が見えてきた
「しめた!公園だ…!あそこで一回休んでこう;」
ロイは公園に寄ることにしました。
~公園~
公園に入ったロイは休める所を探し始めた
キョロキョロ
「えっと…座れる所h…」
ピタ…
急にロイの動きが止まり固まった
そんなロイの視線の先には一つのベンチ
そしてそのベンチには見たことのある人物がいた…
(あれって…ポケトレ…
…だよな?;)
そう、ポケトレが一人ベンチに腰かけていたのだ
(あの後マルスの野郎に教えてもらったが…)
『あぁ、彼はポケトレ君だよ。君という人は…そんなことも知らないのかい?あ!すまなかったねぇ。君リストラしてるからあまりこっちに来ていないのだったね』
(あの野郎…!思い出すだけで腹が立ってくる!!…だが、何してんだあいつ?本当にポケトレでいいのか…?)
まぁ、そんな名前を覚えたてのロイが分からなくなるのも無理はない。
ポケトレはベンチに座ってはいるが、何故か座ったままベンチの下を覗いており、そのままずっと動いていないでいた
端から見ると異様な光景である。
(はぁ、他に空いてるベンチ無いし、声かけてみるか…;)
意を決したロイはポケトレに声をかけることにした。
「よ、よぅ;」
「!?」バッ!!
「!?;」ビクッ
ポケトレは突然声をかけられたのに驚き、弾かれたように顔を上げた
それにはロイも驚く。
(ビビったー;)
「ょ、よぅ、隣座っていいか?;」
「…」コクン
(ホッ…;)
ポケトレはロイの問いに静かに頷いた
ロイはそれを見て安心し、荷物を下ろしベンチに腰掛けた。
「…」
「…;」
(コイツ、こんなに喋らない奴だっけ…!?;)
そうますます戸惑いつつもさっきの行動が気にかかっていた為ロイは尋ねてみた
「なぁ、なんでベンチの下を見てたんだ?」
「…」
ポケトレは質問を聞くと、またベンチの下を覗き込んだ
「?」
(なんかあんのか?)
そう思ったロイはポケトレと同様にベンチの下を覗き込んだ
ベンチの下には…
(たんぽぽ…?)
そう、ベンチの下には一輪のたんぽぽが咲いていたのだ
「なんでこんな所に咲いちゃったんだろうね」
「?」
ポケトレがいきなり喋りだした
「あっちの日の当たる所に咲けばいいのにさ」
そう言って座り直したポケトレの見る先には、日の当たる場所があった。そこにはいくつものたんぽぽが咲いている。
「仲間外れにならなくてすむのに…」
「…確かにな。だが、こんな所に咲くたんぽぽに悪気はないさ。」
「?」
「たんぽぽであれ、生物は生まれる環境を自分で決めることはできないからな」
「…そうだね。…なんか」
「?」
「なんだか、不平等だよね、世の中って。植物も、人も…」
「…」
びっくりした。
まさか、ポケトレがそんな事を考えているなんて…
人は見かけによらないな。
…だが
「確かに世の中は不平等かもしれないな。…だが、そのどんな状況においても、生きる事を諦めてはいけない。その状況でどう生きるかが大切なんだ。」
「?」
コイツのそういう考え、嫌いじゃねぇ。
「見ろよ、このたんぽぽ。ベンチの下で一日のほとんどがほぼ日陰だけどよ、ちゃんと花を咲かせてるだろ?」
「うん」
「それはな、より日光を取り入れようと葉を大きくしてるからなんだ。生き残る為に精一杯努力してるって証拠だ。」
「ぁ、本当だ。日なたにあるやつより葉が大きいね」
「だろ?…俺は、温室で育った綺麗な花よりも、こうやって不利な状況でも咲く事ができた花の方が素敵だと思うぜ?勿論、人に置き換えたってそうだと思う。どんな家に生まれようが、それからの人生をどう頑張って生きるかが大事なんだ。」
「そうか…。生まれた環境どうこうじゃなくて、どう頑張って生き抜くか、か…。…このたんぽぽは凄いんだね、僕も頑張らなきゃ」
そう言いながらポケトレはたんぽぽを見つめる
「ありがとう、えっと…」
「ロイだ。ロイって呼んでくれ」
「じゃあ、ロイ、ありがとう。こんな話に付き合ってくれて;」
「いや、別に楽しかったぞ?」
「僕、一人でいるとついついどうでもいいこと考えちゃうんだ。なんでこうなってるんだろう?とか」
「いや、そういう事を考えるの俺は良いと思うぞ。そういう些細なことに疑問を持つという事は中々真似出来ないことだ」
「そう、言ってくれると嬉しいな…」
そう言うとポケトレは照れながらニコッと笑った
面白い奴だな…
「なぁ」
「?」
「もし良かったらでいいが、友達になんねぇか?」
コイツの考え、もっと聞いてみたくなった
「うん!よろしくロイ!知ってるかもしれないけど、僕はレッド」
「え?;」
「?」
「俺てっきり、ポケトレが名前だと思ってた;」
・・・。
「…フフフ、本当に?w」
「あ!笑うなよな!//;」
「イヤイヤ、ゴメン、ププw」
「おい!//;」
その公園には柔らかな風が吹き抜け、たんぽぽ達が微笑むように揺れているのだった。
おわり
次、あとがきとおまけ