初試練
「「!!?」」
パルテナが叫ぶ中彼女の拳銃から銃弾が放たれた。その爆音に周りのメンバーは嫌でも不穏な状況であると察知し、元凶である2人の様子を見る。
「わわわわ!!」
「あら、しぶといわね」
だが魔女の言う通り、眉間に撃たれた筈のピットはいきなりの出来事に焦っているようではあるが何故かピンピンしていた。
「何とか、間に合ったようですわね…」
咄嗟の出来事ではあったが、パルテナが瞬時にバリアを張ってくれていたようだ。突然の事で当然ピットは魔女に腹を立てた。
「何故攻撃してくるんですか!!僕何もしてないですよね!?」
「ウフフ、それは貴方が天使だからよ」
「え?」
(それってどういうこと…?)
「精々楽しませて頂戴」
そう言うや否や魔女はピット目掛け銃で攻撃を仕掛けてきたのだ。
「わわわわ!!り、理不尽だーー!!」
「ピット!」
誰かがピットの脳内に直接話しかけてきた。だがピットにとっては身近な人物だった。
「は!その声はパルテナ様⁉」
「彼女の言動で分かりました。彼女はアンブラの魔女です。生き残りがいたなんて…」
「成程、とりあえず…彼女は危険って事ですか?」
「とりあえずそうですね。心してかかりなさい!私も奇跡で援助します」
「分かりました!」
意を決したピットは神弓を構え矢を引いた。
そして放たれた光の矢は軌道を修正しながら魔女に迫る。
だが魔女もこれを難無くかわす。
「まだまだ!」
ピットはこれが朝飯前だとばかりに光の矢を何発も放った。
連続で放たれた矢を見切ったのか、魔女はひらりひらりとかわしていく。
だが、その最中…
「ラッシュアッパー!」
「!」
かわすのに夢中になっている魔女へピットが一気に詰め寄り近接攻撃を仕掛けたのだ。
ピットの攻撃が彼女に当たるまで後3秒もない。
これは確実に当たる!…そうピットが確信した次の瞬間…
「フフ…」
「⁉」
(あれ…視界が…ボヤけて…)
魔女の笑い声が聞こえてきたのだ。それと同時にピットの目の前がぼんやりと歪み始めたのだ。
不思議に思い始めたピットだが、その感情はそう思った直後に来た腹の衝撃と痛みによってすぐにかき消されたのだった。
「ぐっ!」
ピットが気付いた時には、いきなりの衝撃で壁に向かって強く吹っ飛ばされていた。
「ピット!」
パルテナが叫ぶも、今のピットでは体制を立て直すのは難しく、後少しで壁にぶつかる位置まで吹っ飛ばされていたのだ。
ピットもぶつかると悟り身構えた瞬間…
ガシッ!
「⁉」
誰かがピットを受け止めてくれたのだ!
驚いたピットは後ろを振り返ると、そこにはグローブをはめた小柄な男、リトルマックがいたのだった。
「大丈夫か?」
「は、はい!大丈夫です!」
「そうか!…!、来るぞ!」
マックが知らせた通り、魔女はピットに何発も追い撃ちを仕掛けてきた。
ピットもそれを危なげなくかわしつつ、マックに疑問になってた事を聞いてみた。
「僕は一体何があったんですかね?」
「俺から見てもよく分からなかった。あんたが攻撃を仕掛けた時、急にあんたの動きが止まったんだ」
「え⁉僕止まってたんですか⁉」
「おそらくですが…」
「パルテナ様⁉」
「彼女は貴方の周りの時間を止めていたようです」
「時間を⁉成程、だから視界がグニャってなってたのか…」
「なぁ、あんた今誰と喋ってんだ…?」
そんな中、魔女は更に攻撃を仕掛けようとした瞬間、ピット達とは違う方向から魔女に目掛け光の矢が飛んできたのだ。
それに魔女は一瞬驚いたようで、ピットへの攻撃を止め安全に矢をさけた。
魔女を含め、ピット達は矢を放った人物を見ると、そこには見慣れた人物が立っていた。
「ブラピ!」
「ちげぇよ!ブラックピット様だ!」
「あら?黒い天使もいるのね?」
「ふん、だったらなんだ?」
「ウフフ、貴方も一緒に昇天させてあ・げ・る」
「⁉…ほざけ!」
激昂したブラピはものすごい勢いで魔女に駆け寄り神具を構える。
「電気ショッカー!」
「あらあら勇ましいわね、良いわぁ。それ位激しくしてくれなきゃつまらないもの」
「このぉおお!」
ブラピの攻撃をかわしつつもおちょくる様な魔女の言葉に、ブラピは更に激昂し光の矢を何発も放つ。
「ウフフ、ムキになっちゃって。可愛いからもうちょっと遊んであげるわ。2匹纏めてかかってらっしゃい」
「そこまで言うだったら僕もお言葉に甘えて行かせてもらう!行くぞ!ブラピ!」
「俺に向かって指図するな!」
これにより争いは更に激しさを増し、先程まで穏やかな時間が流れていた居間は、たった数分で弓や銃弾が飛び交い最早戦場と化してしまったのだった。