イカ

〜スマブラ館地下マスターの部屋〜


ドスン!


「あいたー!?」


何故ルイージがマヌケな声を出してしまったのかというと、いきなり水中から空中に移動させられたルイージは対処が間に合わず尻もちをついてしまったようだ。

「イテテ…、何だよいきなり…」

そう愚痴るルイージはお尻をさすりつつ目を開けると、そこは水中ではなくよく見慣れたマスターの部屋だと気付いた。


「ルイージ!」

「ルイージさん!」

「?」


そして彼の周りには先程まで一緒だったリンクやピットを始め、パルテナやロゼッタ、マスター、騒ぎを聞きつけたスマメンが様子を見守っていた。

「なんだ、ピンピンしてるじゃねぇかつまらん。まぁマリオが戻ってきたし良しとするか」

「そうですわね。ルイージは結構悪運だけは強いですしね」

「私の奇跡があったんですもの、これくらいは想定内です。ですがマリオさんがフィギュア化したのは心配しました」

「そうですねパルテナ様!本当心配したんですよ!でも良かったー!!マリオさんと一緒でー!もしルイージさん1人だけだったら張り倒してましたよ!」

「ねぇなんか僕だけ扱い酷くないっ!?」


皆にルイージがいじられている中、マスターはゴホンと咳払いをし話しだした。

「本当にお前達はー、私の言いつけも守らないで!心配したんだぞ!」

「う…」

「す、スミマセン…」

「反省シテマス…」

「なぜ目をそらすのだ…」
(絶対反省してないだろ…)

3人の言動にイラッときたマスターであったが、ぐっと堪え代わりに深い溜息を吐き、喋り始めた。

「はぁ…。無事にマリオも行方不明者も、そしてことの主犯もこちらに戻ってきたことだし、"今回は"大目に見るが。次はこういう事は無いように!」
(今回スマッシュボールの力の影響でパソコンの座標だけではマリオの居場所を特定するのは難しかったし、ルイージがいなかったら大変だったかもしれないな…)



今回、イカの彼女によるマリオと自分を隠したいという想いが取り込んでいたスマッシュボールの力と合わさり、神の力をも上回ってしまったのだ。それ程スマッシュボールの力は絶大なのだ。

その為マスターは中々マリオのいる位置を特定できないでいた。

マリオ救出の為にはルイージは必要不可欠だったのだ。リンクの考えは間違えではなかったのである。



「…ねぇ」

「?」

ポツリと一言声をかけられたルイージはその声のする方へ顔を向けると、そこにいたのは彼等のやり取りをじっと見ていたイカの彼女であった。

彼女はジトリとした目でこちらを見つめている故ルイージはどう声をかけていいのか分からないでいた。

(怒ってるのかなぁ…?)
「ど、どうしたの?」



「…貴方達は私を生かしてここまで連れてきてくれた。そこには感謝しているわ。でも…」



「?」



「貴方達のせいで、私はもう今までの生活を送れないの。還る場所すらもう、私には無いの」



「私はこの先、どうしたらいいの…?ねぇ…?」


彼女の言葉にその場にいるスマメンは言葉を詰まらせる中、ルイージは…


「確かに、僕達のせいで君は今までの生活を送れなくなってしまったのは本当に申し訳なく思ってるよ。だから…」

「?」


「もし君が良かったら、ここに住んでみない?」


「え?」

「ここには色んな人達がいて面白いし、マスターが君の体を創ってくれると思うから、きっと君にとって新しい生活を送ることができるんじゃないかな…」

「…」

「て、思うんだけどなぁ…」と一言最後に付け加え冷汗を流しているルイージをマジマジと見つめるイカの彼女であったが…


「本当に兄弟ね…」


そう一言ポツリと呟くと、フッと小さく笑ったのだった。


「本当に私の体と新しい生活を保障してくれると言うの?」

「あぁいいぞ。全てはこっちの不手際のせいだからな。」

彼女の問いに対しマスターは快く引き受けてくれたことにルイージは少しだけほっとしたのであった。

「ならいいわ。ここに住んであげる」

「よし、じゃあ、えーと、名前はあるのか?」

マスターの問いに彼女は一言、「マイよ…」と呟くように答えた。


((マイって名前だったのか…))


「じゃあマイ。今日からここの住人になる事を認めよう。」

そのマスターの言葉に

「良かったー!」

「歓迎しますよ!」

皆口々に歓迎の言葉を伝えていく。そんな歓迎ムードの中…


「さて、じゃあマリオを元に戻すか」


…。


「「あっ…」」

マスターが言うまで皆忘れていたようだ。

「そ、そういえば話のタイミングで全然戻せなかったね…ごめんね兄さん;」

「マリオさんには申し訳なかったですね;」

「長々話してたしな、悪いことしたな;」

(兄弟でこの差よ…)
「…じゃあ戻すぞ」

そう言うとマスターはパチンッと指を鳴らすと、マリオのフィギュアは光だし、光が戻ると、マリオは無事元の姿に戻っていた。


「ううーん…」


マリオはムクリと起きると大きなのびをした。

「兄さん!」

「マリオ!」

「マリオさん!」

皆が口々に声をかける中、当の本人はのんびりとした口調でただいまと皆に声をかけ、駆け寄って来てくれたマイにも無事を喜ぶ中…

「あー…、流石に今回は死ぬかと思ったよー」

と、苦笑いを浮かべながらそう言ったのだった。

「まぁフィギュア化してる時点で1回死んでるようなもんだからな」

リンクの言う通りである。これには全員から呆れとツッコミが入ったのであった。

「もう、兄さんは…、ホントに自分のことをもっと大事にしてよね!」

そうプンスコ怒るルイージにマリオは苦笑いをした。

「あはは…ごめんねルイージ。…でも」

「でも?」

「フィギュアになって眠ってる間、ルイージが僕のことを呼んでる気がしたんだ」

「え…?本当?」

「うん、で、その声を聞いたらさ、僕が無茶できるのは、やっぱり…

ルイージがいてくれるんだって、心の何処かで思ってるからなのかなって…思うんだ」


そう言いマリオは微笑んだ。


(そうか、兄さんは僕がいるから頑張るのか!)
「兄さん、僕、兄さんが無茶しないように、頼れる男になるよう頑張るよ!」

「うん、僕も頑張る」



やっぱり兄さんには僕が必要だよね!



だって



2人でマリオブラザーズなんだから!








「それってマリオさんがやられてもルイージさんが後から何とかしてくれるってことですかね?」ヒソヒソ

「いいように使われてるって訳だな」ヒソヒソ

勿論これはルイージには内緒の話なのである



おわり


次、あとがきとおまけ
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