イカ


一瞬何が起こったのか分からなかったルイージだが、咄嗟に受け止めたカイーナと、いつまで経っても上昇してる海面に浮き上がってこない兄にようやく事の深刻さに気付いたのか次第に顔が青ざめていく。

「マリオっ!!」

そう叫ぶイカの彼女も青ざめているようだ。



(やっと見つけたのに…
また、僕は兄さんを守れないのか…?)



走馬灯のように流れるのは、海に投げだされていく兄の姿…

そして何もできずにいた自分…



(このままではまた僕は…同じ事を繰り返してしまう…



またあんな思いをするなんて、そんなの…





絶対に嫌だ!!)





「おい!」

「⁉︎」

ルイージの叫びに気付いたリンクが戻ってきた。



「マリオはどうした⁉︎」

「そ、それが…!
落ちてきた天井が兄さんに!まだ兄さんが上がってこなくて…!」

「何⁉︎急がないとマリオ本当に死んじまうぞ!」



そう、マリオは海の中に、しかも天井の下敷きなっている。
絶体絶命のピンチなのだ!



(今度こそ、今度こそは…!)
「リンク!カイーナさんをお願い!」

「⁉︎」



「今度は、僕が兄さんを守る番だ…!」



そう言うルイージの目は光をおび、動揺しつつも真っ直ぐリンクの目を見ていた。
臆病な彼が強い意志と覚悟を持った表れなのだとリンクは感じた。



「…分かった」



リンクはそう言うとカイーナを受け取り、一言だけ「頼むぞ」と呟くように吐き捨て転送装置へと泳いでいった。



それと同時にルイージは大きく息を吸い、兄がいる海の中へ潜っていくのであった。
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