イカ
~巨大貝の城最上部主の間~
大きな扉を開け入ると、ほんのり明るい光が3人を出迎える。その正体は赤、青、黄色など7色に淡く輝く光のオーブが、テントのような三角形の天井にいくつも漂っているからである。
思わず呆けて見とれてしまいそうになる目線を下に降ろすと、中庭にでも置いてお茶でも飲めそうなこ洒落た丸テーブルに椅子。そしてその奥にはフカフカして寝心地が良さそうな薄ピンク色の可愛らしいベッド。
どれも女の子らしい家具が置かれていて、入ってくるまでの緊張感が抜かれ唖然としている中、ルイージはベッドに寝かされている人物を見つけ驚愕した。
「兄さん!!!」
見間違えるはずもない。赤い帽子に青いオーバーオール。大きい鼻に口髭。会いたいと願っていた人物が、今目と鼻の先にいるのだ。
「マリオさん!」
「何故こんな所で…、寝ているのか?」
リンクのいう通り、マリオは本当に眠っているだけなのか?彼までの距離は3人のいる所から少し離れている為判別がつかない。3人は急いで彼のもとへ駆け寄ろうとしたとき。
「近づかないで」
その声により3人の行く手は塞がれたのだった。
「!?」
3人は走るのを止め、声のした方に視線を向けた。
そこにいたのは1人の女性。白い水着にマントを羽織り、腰に茶色い大きな布でロングスカートのように巻いている。男性にとってそれは少々目のやり場に困る刺激的な姿であった。整った顔立ち、茶髪にロングヘアー、緩やかにかかっているウェーブ…。
その顔にルイージは心当たりがあった。
「もしかして…一昨日行方不明になった…カイーナさん?」
「何!?」
「た、確かに‼写真で見た女性とそっくりです!!」
そう言いピットは彼女に指さす。その女性は気に食わんとばかりの嫌そうな表情を浮かべた。
「それが何?」
話し方もとても冷たい。早く帰ってほしいと言わんばかりの口調に、ルイージは質問という形で彼女に食い下がる。
「君は、カイーナさんじゃないのかい?」
「ええ、そうだったようね」
「"そうだった"?」
その彼女の言い方にルイージは思わず聞き返す。
「えぇ、それに…」
彼女はルイージから出る不意な焦りを見て取り微笑みを浮かべた。
「これからそこで寝ている彼と一緒にここで暮らすの」
「!?」
3人は彼女の一言に驚愕の思いを隠し切れないでいた。彼女はまるで愉悦を感じたかのように、楽しみね。と付け加える。
「そ、そんな勝手な…」
「いいえ、勝手なんかじゃないわ」
ピットの言葉に彼女は遮るように言葉を口にする。
「だって、約束したんですもの。マリオと」
「え!?」
「この娘の身体をズタズタにしない代わりに、ずっとここにいてくれるって」
「!?」
「そ、それってどういうこと…」
「もうこの話はおしまい。そういうことだから、早くここから帰ってくれる?」
「え!?」
3人が混乱する中、彼女は早々に追い出そうと決め込んでしまったようだ。その中で酷く腹を立てたのはリンクだ。
「どういうことだ!さっきから言ってること全て訳分かんねぇ‼結局お前は一体何者なんだ!?」
ビシッと音が立ちそう勢いで人差し指を彼女へと向ける。向けられた彼女ははぁと溜息をついた。
「正直、私はアンタ達の顔なんかこれっぽっちも見たくなかった」
そう言う彼女の目の奥にゆらゆらと殺気が見え隠れしているようにルイージは感じた。思わず唾を飲み込む。
「私はアンタ達のせいで日常を壊され、そして一度死んだの」
「…え?」
ルイージがキョトンとする中…
「…まさか…」
少し全容が見えたのであろうピットが、声を震わしていた。
「分かったのか?」
「えぇ…多分…」
「本当?」
「その…イカに…関係しているのでは…」
「いか…?…て、まさか…!?」
そのピットのヒントにルイージはハッとした。
巨大イカの襲撃。
襲撃後の女性行方不明事件。
そして今まで自分達を襲ってきたイカの大群。
そしてカイーナさんの身体を借りている謎の人物…。
何故こんなにもイカが襲ってくるのか疑問に思っていた。だがそんなはずはないとも思って深く考えていなかったのだ。それが今、点が1つの線となって答えとなった。
「君は町を襲った…あの…」
「そう私は…偶然飛んできた変な光るボールを食べて正気を失くし、町で大暴れした挙句、アンタ達に命を奪われたあのイカよ」
「そうか、だから君は…」
こんなにも僕たちを追い出そうとしていたのか。
一人納得していたルイージに彼女はそうよと答える。
「特に、とどめを刺したアンタ達2人は本当に会いたくなかったし、次あったときはコテンパンのイカフライにしてやろうと思っていた訳」
「何だよイカフライって!?僕たち揚げられるの!?」
「グルグルって足で締め"あげられる"んじゃないんですか?イカだけに」
「アンタ他人事だと思って!何不穏なこと言ってんの!?」
「ていうかそんなボコボコにしたい程憎い相手を見逃すって、俺には理解できないな」
そうリンクはほくそ笑みつつ挑発をかける。だが彼女もその答えをにこりと返す。
「マリオともう1つ約束したから。マリオがここにいる代わりに、彼の大切な人たちは殺さないって」
「…ふっ、甘く見られたものだな、俺たちも」
「えぇ、本当にマリオさんは僕等には甘い人ですね」
そういうリンクとピットはいつでも飛びかかれるよう、臨戦態勢に入っていた。
「あら?私を倒すの?」
「そうしない限りマリオやその女性が戻ってこないのならな」
「やむをえない選択です」
3人がいがみ合う。今にも戦いが始まってしまいそうな中…
「待って!!」
「「!?」」
突然ルイージが叫んだ。
3人は不思議に思う中、ルイージは1人彼女の前に歩み寄り…ぺコッと頭を下げたのだった。
「お願いします!兄さんを返して下さい!」
大きな扉を開け入ると、ほんのり明るい光が3人を出迎える。その正体は赤、青、黄色など7色に淡く輝く光のオーブが、テントのような三角形の天井にいくつも漂っているからである。
思わず呆けて見とれてしまいそうになる目線を下に降ろすと、中庭にでも置いてお茶でも飲めそうなこ洒落た丸テーブルに椅子。そしてその奥にはフカフカして寝心地が良さそうな薄ピンク色の可愛らしいベッド。
どれも女の子らしい家具が置かれていて、入ってくるまでの緊張感が抜かれ唖然としている中、ルイージはベッドに寝かされている人物を見つけ驚愕した。
「兄さん!!!」
見間違えるはずもない。赤い帽子に青いオーバーオール。大きい鼻に口髭。会いたいと願っていた人物が、今目と鼻の先にいるのだ。
「マリオさん!」
「何故こんな所で…、寝ているのか?」
リンクのいう通り、マリオは本当に眠っているだけなのか?彼までの距離は3人のいる所から少し離れている為判別がつかない。3人は急いで彼のもとへ駆け寄ろうとしたとき。
「近づかないで」
その声により3人の行く手は塞がれたのだった。
「!?」
3人は走るのを止め、声のした方に視線を向けた。
そこにいたのは1人の女性。白い水着にマントを羽織り、腰に茶色い大きな布でロングスカートのように巻いている。男性にとってそれは少々目のやり場に困る刺激的な姿であった。整った顔立ち、茶髪にロングヘアー、緩やかにかかっているウェーブ…。
その顔にルイージは心当たりがあった。
「もしかして…一昨日行方不明になった…カイーナさん?」
「何!?」
「た、確かに‼写真で見た女性とそっくりです!!」
そう言いピットは彼女に指さす。その女性は気に食わんとばかりの嫌そうな表情を浮かべた。
「それが何?」
話し方もとても冷たい。早く帰ってほしいと言わんばかりの口調に、ルイージは質問という形で彼女に食い下がる。
「君は、カイーナさんじゃないのかい?」
「ええ、そうだったようね」
「"そうだった"?」
その彼女の言い方にルイージは思わず聞き返す。
「えぇ、それに…」
彼女はルイージから出る不意な焦りを見て取り微笑みを浮かべた。
「これからそこで寝ている彼と一緒にここで暮らすの」
「!?」
3人は彼女の一言に驚愕の思いを隠し切れないでいた。彼女はまるで愉悦を感じたかのように、楽しみね。と付け加える。
「そ、そんな勝手な…」
「いいえ、勝手なんかじゃないわ」
ピットの言葉に彼女は遮るように言葉を口にする。
「だって、約束したんですもの。マリオと」
「え!?」
「この娘の身体をズタズタにしない代わりに、ずっとここにいてくれるって」
「!?」
「そ、それってどういうこと…」
「もうこの話はおしまい。そういうことだから、早くここから帰ってくれる?」
「え!?」
3人が混乱する中、彼女は早々に追い出そうと決め込んでしまったようだ。その中で酷く腹を立てたのはリンクだ。
「どういうことだ!さっきから言ってること全て訳分かんねぇ‼結局お前は一体何者なんだ!?」
ビシッと音が立ちそう勢いで人差し指を彼女へと向ける。向けられた彼女ははぁと溜息をついた。
「正直、私はアンタ達の顔なんかこれっぽっちも見たくなかった」
そう言う彼女の目の奥にゆらゆらと殺気が見え隠れしているようにルイージは感じた。思わず唾を飲み込む。
「私はアンタ達のせいで日常を壊され、そして一度死んだの」
「…え?」
ルイージがキョトンとする中…
「…まさか…」
少し全容が見えたのであろうピットが、声を震わしていた。
「分かったのか?」
「えぇ…多分…」
「本当?」
「その…イカに…関係しているのでは…」
「いか…?…て、まさか…!?」
そのピットのヒントにルイージはハッとした。
巨大イカの襲撃。
襲撃後の女性行方不明事件。
そして今まで自分達を襲ってきたイカの大群。
そしてカイーナさんの身体を借りている謎の人物…。
何故こんなにもイカが襲ってくるのか疑問に思っていた。だがそんなはずはないとも思って深く考えていなかったのだ。それが今、点が1つの線となって答えとなった。
「君は町を襲った…あの…」
「そう私は…偶然飛んできた変な光るボールを食べて正気を失くし、町で大暴れした挙句、アンタ達に命を奪われたあのイカよ」
「そうか、だから君は…」
こんなにも僕たちを追い出そうとしていたのか。
一人納得していたルイージに彼女はそうよと答える。
「特に、とどめを刺したアンタ達2人は本当に会いたくなかったし、次あったときはコテンパンのイカフライにしてやろうと思っていた訳」
「何だよイカフライって!?僕たち揚げられるの!?」
「グルグルって足で締め"あげられる"んじゃないんですか?イカだけに」
「アンタ他人事だと思って!何不穏なこと言ってんの!?」
「ていうかそんなボコボコにしたい程憎い相手を見逃すって、俺には理解できないな」
そうリンクはほくそ笑みつつ挑発をかける。だが彼女もその答えをにこりと返す。
「マリオともう1つ約束したから。マリオがここにいる代わりに、彼の大切な人たちは殺さないって」
「…ふっ、甘く見られたものだな、俺たちも」
「えぇ、本当にマリオさんは僕等には甘い人ですね」
そういうリンクとピットはいつでも飛びかかれるよう、臨戦態勢に入っていた。
「あら?私を倒すの?」
「そうしない限りマリオやその女性が戻ってこないのならな」
「やむをえない選択です」
3人がいがみ合う。今にも戦いが始まってしまいそうな中…
「待って!!」
「「!?」」
突然ルイージが叫んだ。
3人は不思議に思う中、ルイージは1人彼女の前に歩み寄り…ぺコッと頭を下げたのだった。
「お願いします!兄さんを返して下さい!」