イカ


「「!?」」


いきなり海面から大きい黒い影が飛び出してきた!黒い影は宙を高く舞い…


ドスン!!!


スマメンのいる崖の上に着地したのだ!
その正体に誰もが皆驚きの声を上げた。

「ぇ!?」
「な!?」
「うっそ!」

「ぃ、イカだあああああああ!!」


ルイージが絶叫した通り、イカだった。だがただのイカではない。体長は彼等の身長の2、3倍を遥かにゆく高さの巨大なイカなのだ。

「な、なんでこんな大きいのさ!?」

「ねぇ?アイツあの巨大イカの子どもかな?」

「そ、そんな筈はねぇ!あのイカはもとのちっせぇイカに戻った筈だ!」

「…何かが海で起きてる…。そういうことかな」


キシャアアアアアア!!!


話してる4人目掛けて巨大イカは足を大きく振り上げそのまま勢い良く振り下ろした!


ドゴーーン!!

4人はその攻撃を難なくかわす。

「アババババ!!!?」

「危ないなぁ、僕たちまだ何もしていないじゃないか!」

「コイツもしかしたら本当にあのイカの仲間なのか…?」

「雑談は後!他にも沢山来たよ!」

ヒューン…ドドドーン!!

マリオが叫んだのと同時に次々と巨大イカが海から跳んできたのである!

キシャーーーーー!!!


ドゴゴゴーーン!!


巨大イカ達のいくつもの足が4人を襲う!

だが彼らも攻撃を仕掛けられて黙って逃げるようなたまではない。

「ふん!エアアアア!!」

ズバズバズバッ!!

リンクはマスターソードを振り回し、イカの足をズバズバと切り落としていく。

「へっ!これっ位の太さなら巨大イカの解体ショーだって楽勝だな」

「PKサンダー!!」

バリバリバリ!!

ネスが繰り出す雷玉に沢山のイカがビリビリと感電していく。

「へへーん!サンダーとファイアー、どっちが美味しそうなイカ焼きになるっかなー!」

「ほっ!やっ!…ファイア掌底!」

ドドン!

マリオも体術と炎技で確実にイカにダメージを与え吹っ飛ばしていく。

だがそんな中…


「はぎゃああああ!!!」

「!?、ルイージ!」

マリオは叫び声を聞き振り返ると、イカの足に足をすくわれずっ転んだ所を今まさに攻撃されようとしていたルイージの姿が目に入ったのだ。

マリオは一心不乱に駆け軽く飛び上がり、攻撃を仕掛けようとしているイカに目掛けて力一杯蹴りを入れた。

ドゴン!!

キシャーーー!!

蹴りが入った部位は凹み、その衝撃でイカは叫び声を上げながら吹っ飛んでいった。ルイージは間一髪攻撃を受けずに済んだのである。

「ぁ、ありがと兄さん…!」

「ふぅ、良かった…」

弟が無事で安堵の溜息を吐いた…その時!


スパァアアアアン!!


「ぐっ…!?」

「!?」

それは彼等の死角からの攻撃だっだ。

内角低めから繰り出されたイカの足の薙ぎ払いがマリオの横っ腹に命中したのだ。

それは余りの力で、攻撃を受けたマリオはそのまま遠くまで吹っ飛んだ!その吹っ飛んだ先は…


…ジャボーーーン!!


崖を優々と越え、日が半分程沈み黒みを帯びだした海へと、落ちていったのであった。

ルイージはあまりにもあっという間の一瞬を、スロー再生でもしているかのようにぼんやりとそこから一歩も動けず見ることしかできなかった。頭が事実を反射的に拒絶し、事実に追いつけなかった。


「に…



兄さああああああああああん!!!!!」


ルイージは叫ぶと無我夢中で崖へと駆け出した。崖の縁に着くと急いで海面を見渡す…が、兄の姿は確認できない…。

「兄さん…兄さん…何処に…!?」

「ルイージ!危ない!!」

「!?」

ヒュオオオオ!!!

後ろから聞こえたネスの叫び声に振り返ると、巨大イカの足がルイージ目掛けて振り下ろされてくるのが目に入った!足はもうルイージのすぐ目の前まで迫っており、もう避けきれそうもなかった。

(しまった…!)

ルイージが諦めかけたその時…


ザシュ!!

キシャアアアアアア!!!

「!?」

突如イカの足が目の前でスパッと切れたのである。ルイージは間一髪攻撃を逃れた。

「リンク!」

「やるじゃん!」

「てめぇ!薄緑!何ぼさっとしてんだ!死にたいのか!?」

「に、兄さんが!僕を庇って海にっ!」

「嘘!?」

「何!?」

キシャアアアアア!!!

ドゴーーーン!!

3人が話をしている間にも巨大イカ達は攻撃を仕掛けてくる。3人はその攻撃をひらりとかわした。

巨大イカはまだ何匹もいる。早くマリオを救助に行きたいが、すぐには助けに行けない現状に対する歯痒さに、リンクは小さく舌打ちをし剣を構えた。

「まずはこいつ等をどうにかするのが先決だ。このままじゃ全員やられちまう」

「確かに」

その考えにネスも賛成のようだ。だが一人ルイージはその言葉に焦りの色を隠せないでいた。

「ちょ、待ってよ!兄さんはどうするのさ!?」

このままじゃ兄さんが…!そうルイージは続けて言おうとした時、リンクがその言葉を遮るように叫んだ!

「アイツがそんなことで簡単にくたばるようなたまか!それに…」

「?」


「アイツのことを一番知っているテメェが信じなくてどうする!」

「!?」


「でやあああああ!!!」

リンクはそうルイージに告げた後、叫び声と共にイカ達へ切りかかった。ネスもその後に続く。

だが、ルイージはリンクからの言葉に衝撃を受け一人立ち尽くしていた。
4/14ページ
スキ