ケンカ

~森の奥~

ドドドーーーン!!!

「!?」

森に入り、奥へ奥へと心のままに進んでいた最中、異様な静けさの中のいきなりの爆音に、マリオは心底驚いた。

「一体何が…?」

周りは枯れ果てた木々…生命がまるで感じられない森の先での爆発音。

その音がした先と、心の目的地が一致したことに、マリオは焦り出していた。

「ルイージ…!」

ダダッ!

マリオは走らずにはいられなかった。心臓が五月蠅い位身体を打ち鳴らす。予想される最悪な事態…


(ルイージ…!お願いだ…!無事でいてくれ…!!)

ダダダッ!

頭を過る不安を振り払うかのように、マリオは全速力で静寂な森を駆けた。


~森の中心~

夢中で走ると、開けたところに出た。ここは湖になっていたはず…が…


「!?…

…フォックス!リンク!ルカリオ!」

彼の目の前には、干上がった湖と何かの爆発でやられたであろう3人が地面に横たわっていたのだった。

マリオは3人に駆け寄ると、皆息はしているがもう戦闘不能な程のダメージを受けているのが分かった。

「何故こんなことが…」


そして顔を上げた先には…


「!?…ルイージ…!?」


湖の真ん中で宙に浮き、禍々しい紫のオーラを放っているルイージの姿があった。


「やぁ…兄さん…!」

「!?」ゾクッ


ルイージと目が合った瞬間、マリオは思った、いや確信した。

今のルイージは、ルイージではないと。


「見て兄さん!僕こんなにすごい力を手に入れたんだよ!」

そう言いながら弟の皮を被った何者かは上機嫌に話し始めた。
予想していた最悪の事態を上回る、最悪過ぎる事態にマリオはただただ後悔していた…。

(ルイージは、僕のせいで…)

「兄さんにも見せてあげるよ!僕の力を…!!」

そう言いルイージは紫のオーラを右手に集め、紫色の鋭い爪となった!


(だから…

だから僕がルイージを呼び起こさなくちゃいけないんだ…!)


「こんなに強くなったんだよおおおおおお!!!」

ルイージはそう叫びながらマリオの元へ急降下し間を詰め右手の爪を振り上げてきたのだ!

だが…


「……すぅ…」


マリオは逃げることもせず息を深く深く吸った…。


「ヒャハハハハハハハハハハ!!!」


甲高く笑うルイージの爪がマリオ目掛けて振り下ろされようとした…その時…!


マリオは大声でルイージに聞こえるように叫んだ!!





「ルイージ!!起きなさーい!!!」


「!!?」
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