ケンカ

~森の奥~

リンク、フォックス、ルカリオの3人は、ルイージの波動の痕跡を追い森の奥深くまで来ていた。

「なぁフォックス、やっぱりマリオに言っておいた方が良かったんじゃないか?」

リンクの言う通り、ルイージが魔物に憑りつかれたことは、ここにいる3人と両手しか知らないことであった。

「…。今のマリオは、色々と雑務をこなした後で疲労している。それに加えてあの怪我だ。教えてやりたい気持ちもわかるが、もし教えたら、どんなに深手を負っていようが奴は必ずついてくる。今のアイツには休息が必要だ」

「…」

確かに彼の言った事は想像に難くない。フォックスのその言葉に、リンクは黙るしかなかった。

「要は…我々だけでやらねばならん…ということだな?」

「そういうことだ、ルカリオ」

彼に秘密にするということは、他のメンバーにも極力秘密にしなければならないことなのだ。そうしなければ、彼にばれてしまう。

戦況は、思ったよりも芳しくは無い。そのことをひしひしと3人は感じざるをえなかった。

3人は更に森の奥へと進んでいく…。

「なぁ、なんだか…ここら辺こんなに木が枯れてたっけっか…?」

「!?…確かに…」

走っている3人の周りにある木々は、まるで生命のエネルギーを奪われたかのように、葉を落とし枯れ果てていた。

その状況を見て、フォックスはマスターに話を聞きに行った時のことを思い出しながら話し始めた。

「あの封印していた魔物は、自然の生命エネルギーを吸い上げ、強大な魔力を得たらしい…」

「何!?…てことはアイツ」

「もうかなりの量のエネルギーを吸い上げているようだな…。段々、禍々しい波動が強大になってきた」

「ということは、もうすぐだな。2人共いいか?今から封印の仕方を教える。ちゃんと聞けよ?」

「あぁ」

「分かった」

フォックスは、マスターに教えてもらった封印の仕方を説明し始めた。

「まぁ大まかに言うと、奴の身体を取り押さえ、この貰ったお札で奴の霊体を拘束。ルイージから霊体を引きはがした後、この瓶にまた詰める。分かったか?」

「本当に大まかであったな…」

「そのお札って言っても、墨で書いたただの紙切れじゃねぇか。本当にそれで大丈夫か?」

「しょうがないだろ。この際、あのぐうたら神を信じるしかない」

マスターは一度、魔物を封印している。その封印した手順を踏めば確実なはずだ。

今の3人には、この方法しか封印する術がないのである。

「もうすぐだ。あの開けた所にルイージはいるぞ…!」

ルカリオがそう言いながら指差した先には、森が開けているのが見えた。

「よし。2人共、心してかかれ。いいな!」

「言われるまでもねぇよ!」

「承知!」

「よし!行くぞ!!」


~森の中心~

この森の中心には小さな湖がある。そのお陰でこの森は潤いを保ち続けている。

だが3人が目にした湖は…

「…な…に…?」

「湖が…無くなっている…?」

「奴は…魔物は、水をもエネルギーとして吸っているのか…」

予想以上の魔物の強大さに唖然としている3人の目の前には…


「…やぁ…皆…」


禍々しい紫のオーラを放っているルイージの姿があった。

そのオーラはいくつもの触手のように伸ばし、今でも無数の木々たちの生命エネルギーを吸い続けていた。

「やい魔物!!今すぐルイージから離れやがれ!!」

「おやぁ…その様子だと…俺様の正体を知っているようだな」

魔物はその正体を知られても尚せせら笑っている。
フォックスはお札を出し臨戦体勢に入った。

「魔物。お前をまた瓶に封印する。…抵抗は無駄だ」


「ほぉ…、やれるものなら…やってみろって話だ」


ズズズズズズズ…


魔物は触手として伸ばしていた紫のオーラを自身に戻し始めた。

そしてそのオーラが全て自身に集まると、魔物の身体から、今までとは比べものにならない威圧が3人を襲った。

「ググ…、なんて波動だ…。今までの奴等とは桁違いだぞ」

「相当な手練れって訳か」

「2人共、俺が奴にこのお札を貼り付ける。だから2人は貼り付けれる隙を作ってくれ」

そういうフォックスの額から汗がにじみ出る。それ程魔物から出る威圧感は凄まじいものなのだ。

「あぁ、まかせとけ!」

「承知した…!」


「いくぞ…!」


3人は魔物が憑りついているルイージ目掛け、全力で戦いを挑むのだった!




「フフ…」



ドドドーーーーン!!!
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