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他社マリ2本立て

ある昼下がり、廊下を歩いていたマリオに後から誰かが声を掛けた。
マリオが足を止め声のした方へ振り返ると、後からクラウドが此方に速足で歩いてくるのが見えた。

「あれ?クラウドじゃないか、どうしたんだい?」

「いや、その…」

「ん?…何かあった…?」

「いや、俺じゃない…。何かあったのは、その、アンタだろ…?」

「??、僕…?」

普段では中々見ない彼の言動にマリオは首を傾げる。何か厄介な事が起きたのでは…と少しだけ身構えていた分、まさか自分のことだとは思ってもおらず、(何かあったっけ…?)と、今までのことを振り返り始めるマリオなのだった。

「えと…先日はセフィロスが…その…大変な事をした…らしく…」

思い浮かばず首を傾げるマリオを見かねてのクラウドの言葉は、終わりになるにつれ小さい声になっていった。余程言いづらかったのだろう。
そしてその言葉にやっと彼の言動の意図に気付いたマリオはハッと彼を見る。彼は非常に申し訳なさそうな表情をしていたのであった。


《お詫びしたくて…》


数日前、セフィロスとカズヤによる特殊な襲撃事件が起きた。マリオはファルコンとファルコの策略(?)に嵌りそのトンデモ事件(ギリギリ未遂)の被害者になってしまったのである。渦中も良い所、最早渦のど真ん中だ。

彼の言う先日、セフィロスという単語から、その時の大変だった記憶が蘇り少しだけ身が震えるマリオなのであった。
だが正直その事に触れたくは無い故「あ、いや…うん」と何とも微妙な返ししかできなかったが、その返事に色々察してしまったのかクラウドはやっぱり…という顔付きになった。

「その…何だか申し訳なくて…俺からも謝らせてくれ。…すまなかった」

「や、いやいや、君が謝ることじゃないから、そんな思い詰めた顔しないでくれっ、ね?顔上げてっ」

悲痛な顔付きでぺこりと頭を下げるクラウドをマリオは慌てて止めた。彼が謝る理由なんてこれっぽっちも見当たらないが、生真面目で責任感の強い彼がここまでさせてしまう位には、今回の事件は側から見たら相当ヤバかったのだということをひしひしと感じられる。
思ったよりヤバかったんだな…と暢気に思っていたマリオであるが、クラウドの表情は未だ暗い。

「…だが俺がここの世界に来たから…」
「いやいやいや、それとこれとは全然関係ないよっ、そもそも呼んだのマスターだし!本当に僕は大丈夫だから、セフィロスもその件では謝ってるから、大丈夫だよっ」

兎に角これ以上は彼と自分の心労に関わると思ったマリオは早々にこの話題を切り替えることにした。

「そ、そうだ聞いた?今日の乱闘は条件付きなんだって」

「そうなのか」

「うん、特定のアイテム縛りとかあるとちょっと面白いよね」

「そうだな」

「ふふ、それでね、今日はモンスターボール縛りなんだよ。楽しみだねぇ」

「…もらった」

「へ?何て?」

「今日は休みをもらった」
「ええ!?そうなの!?何で!?」

「そしてマリオ、アンタの休みも取らせた」
「え!?ちょ、な!?えええ!?ほんとに何で!?」

あまりの話に理解と心が追いつかないマリオであるが、そんな彼を更に置いていくかの様にクラウドは話を進めていく。

「フォックス達には伝えてある。何なら菓子折りも一緒に持って行こうとも思ったが、フォックスにそこまでする必要はないと…」

「いや、本当にフォックスの言う通りだよ。そこまで思い詰めなくて大丈夫だから…」

フォックスナイス…!と心の中でフォックスに拝み倒す勢いで感謝しているマリオを他所に、クラウドは話を続けていく。

「その、落ち込んでいる時は、何か楽しい事をして忘れるのが一番だからな。今日は俺が案内しようと思ったんだ」

「その、気持ちは嬉しいけど、あれ、僕そんなに落ち込んでたかな…?」

「…風の噂で、アンタが被害にあった後、その、落ち込んでいたと聞いたから」

「え、そうなの…?その、因みに噂って…?」

「アンタがあの後一日休んだし、ファルコンとファルコがやっぱり腰が…とかハード過ぎてハートブレイクしたんだ…とかヒソヒソ話してたのを聞いたから…」

(本っ当にあの二人は…!!)

クラウドの言う通り、例の事件があった翌日にマリオが休んだのは事実。それはあまりの出来事に心配したルイージが強制でマリオを休ませたからである。
マリオ本人は色々と怖い思いもしたが(ぎりぎり)未遂であった故休む程では無いと思っていたものの、「お願いだから休んで…っ!」と涙目で肩を掴み揺さぶりながら訴えてくる弟の願いを無碍にすることはできなかった。

そう、だから、決してあの二人に掘られて休んだ訳ではないのだ。
イタズラはされているが掘られた訳ではない。その境界線は非常に大事である。

それ故にマリオはイラッとしていた。

人が休んで不在なのを良い事に無い事無い事人前で話しているのは些かいただけない。これまでの彼等の言動の集大成が今のこの状況である。

人に聞かれる様な所で何余計なこと話してるんだ…!そもそもあの二人のせいでこうなったんでしょうが…!後掘られてないし…!…と、扉を閉める寸前の二人の気持ちの良い笑顔を思い出しながら心の中で盛大に悪態を吐くマリオであった。

(今度乱闘で絶っ対に撃墜する…!)と、マリオは二人への私怨を燃やしつつも、目の前にいるクラウドの誤解をどう解くか、という最重要課題に考えをシフトさせた。

「いや、その、それはね…」

マリオがあれこれ考えながら話しだそうとした時である。


「時間だ」


クラウドは一言ぽつりと呟いたのである。
唐突な一言にマリオも思わず「…へ?」と聞き返すが、当のクラウドは説明もせずマリオの手を掴み歩き出したのである。

「えっ!?ちょっ何!?どうしたの本当!?」

「すまない、時間が無いんだ」

「な、何の時間?」

「20分後には現地に到着している予定になっている」
「本当にどういうこと…っ!?」

これには流石に驚きを隠せない。思わず叫ぶ様に言ってしまったマリオに対し、クラウドはマリオの方を見ずに歩きながら話を進める。

「アンタを元気づけるためにはどうしたらいいのか他のファイター達に聞いてみたんだ。そうしたら色々な案が出てきてどれがアンタに最適なものか分からなかった。だから出てきた案の大半を採用しスケジュールを組んでおいた」

クラウドはそう早口に言いながら、一枚のメモを取り出しマリオに渡す。マリオは受け取ったメモを見ると、それは彼の言った通り今日一日のスケジュール表であった。
お店や施設など幾つもの場所の名前の隣に分刻みの時刻が記載されている。まるでレシートの様な長さのスケジュール表に愕然とするマリオなのであった。

「ちょ、ちょっと、これ、今日一日で…?」

「そうだ。だから少し急ごうと思う」

「いや、ちょ、待って、クラウド、待って、一旦落ち着こう」

「俺は落ち着いているが?」

「いやちが、ちょ、ちょっと一旦止まろうか」

そんなマリオの慌てふためいた言葉に訝しげな表情をしながら、クラウドは立ち止まりマリオの方を見る。

「どうしたんだ」

「いやそれこっちの…まぁいいや…あのさクラウド、こうやって僕の為にスケジュールを組んでくれた事は凄く嬉しいし、感謝してる。でもちょっと、これじゃあ詰め込み過ぎて一つ一つが楽しめなくなっちゃうよ」

「そうか?」

「うん、流石に一箇所滞在十五分は何も出来ないって…」

「すまない…何がアンタにとって良いのか分からなかったから…」

「そうか、だったら僕に直接聞いてくれても良かったかもね」

「そ、そうか…そうだな。…すまない、色々先走っていたようだ…」

「ううん、大丈夫だよ。こうやって僕の為に色々計画してくれた事には感謝しかないから」

そう言ってマリオはにこりと微笑む。
その笑顔と感謝の言葉を聞いたクラウドは「いや…そうか…」と呟いた。余程切羽詰まっていたのであろう、先程までの強張った表情が次第に緩まり、いつものクラウドに戻っていくのをマリオは感じていた。

そんなクラウドは先程よりも落ち着いた口調でマリオに問いかけた。

「じゃあ聞くが、アンタは何処に行けば元気が出るんだ?」

「うーん、そうだねぇ…何処でも楽しいけど…取り敢えず近くの山に登れば元気になる気がするね!」

「成程、山か…」



・・・。



「…山…っ!??」


その後クラウドは、マリオの要望通り近くの山への登山を決行し、無事登頂したのであった。


おわり

セフィカズ×マリオの後日談。
冒険好きな兄さんは、日頃ストレス発散にふらっと手頃な山とか一人で冒険してそう。


おまけ

近隣の山登頂から数日後、大乱闘の休憩中、のんびりしていたクラウドのもとにマリオが声を掛けてきたのでした。


「あ!おーい!クラウド!」

「…マリオか、どうした」

「あのさ、来週のお休みって予定空いてるかな?」

「来週?」

「うん」

「その日は特に予定は無い」

「そっか!良かった!じゃあ何処か一緒に出掛けないかい?」

「何処か?」

「うん!この間のお礼にと思って。何処かクラウドの行きたい所って無いかな?」

「いや、そこまでしてもらう義理は無いと思うのだが…」

「いやいや、一緒に山を登ってもらったし、これは僕からの感謝の気持ちだよ」

「いや、あれはセフィロスの件での詫びのつもりで…」

「うん、そうなんだけど、やっぱり山登りに付き合ってもらったしさ」

「い、いやそれはそうなんだがやっぱりお詫びのお返しというのも…」

「いや、中々ハードな事に付き合ってもらったしやっぱりこのままじゃ悪いよ」

「いやいや…」
「いやいや…」

「ヤァ!何か楽しそうダネ!」

明るい声に気付いた二人が振り返ると、パックマンとロックマンが此方に歩いてきていた。

「やぁパックさん!ロックマン!」

「ヤァ!」

「お疲れ様です」

「お疲れ様」

三人が笑顔で挨拶を交わす中、クラウドの表情は困惑気味である。

「別に俺たちは楽しい話をしていた訳ではないのだが…」

「そうだったノ?」

「何のお話しをしていたのですか?」

「実は…」

マリオが経緯を話すと、それを聞いたパックマンは「だったら!」と嬉しそうに話し始めた。

「ボク達と一緒にフルーツのスイーツを食べに行かないカイ?」

「フルーツ?」

「はい!この間街に新しいカフェがオープンしたみたいで、そこのイチオシがフルーツをふんだんに使ったスイーツなんです」

「そうか…」

「パックさん、フルーツ好きですもんねぇ」

「そうなんダヨ!だから二人も一緒にどうカナ?」

「僕はロボットなのでフルーツが食べられなくて…お二人が来てくれると僕も嬉しいです」

「スイーツ美味しそうですね!クラウドはどうする?」

「いや、俺はそういうのに興味は…」
「ありがとうマリオクン!さあ!クラウドクンも一緒に行こうヨ!」

無い、と言い切ろうとしたクラウドの言葉を、パックマンは勢いよく遮ってきた。余程嬉しいのだろう。

「な、いや、俺は本当にそういうのは…」
「一緒に食べてくれたらとっても楽しいヨォ!」

そう言いながらパックマンはたじろぐクラウドの手をガシッと両手で握る。そしてキラキラとした目をクラウドに向けながら、「一緒に食べヨ!」と嬉しそうに言ってきたのである。

「うぐ…!」

パックマンの純粋で強烈な押しと曇りなき眼に思わず動揺の声を上げるクラウドへ、パックマンは追い込みを掛けるように小首を傾げた。

「クラウド…ダメ…カナ…?」

不安そうに尋ねるその言葉に、とうとうクラウドは陥落した。

「…いや、大丈夫だ。行こう」

その後パックマンはぱぁああ…!と目を輝かせ、それはそれは凄い勢いでクラウドに感謝したのであった。

結局次の休みは四人でカフェに行くことになり、店内の場違い感で恥ずかしがっていたクラウドであったが、ワイワイ楽しんでいる三人を見てこういうのもたまには良いのかもな…と、なんだかんだ楽しんだのであった。

おわり

マリオ、パックマン、ロックマンの三人が会話すると、凄く穏やかな空間が出来上がりそう。そしてその空間に当てられた人もほんわかしそう…。
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