他社マリ2本立て
現在21時頃、マリオは寮の浴室にて、のんびりと湯船に浸かっていた。
先程までルイージもいたが、早々にのぼせてきたので先に上がってしまい現在一人きり。大人数でも対応できる様、広めに作られた湯船が貸し切り状態になっている事にテンションが上がったマリオは、ここぞとばかりに一人風呂を堪能していた。
(ふぅ…何だかのぼせてきたな…だいぶ浸かったし、そろそろ出ようかな…)
ルイージが上がってからかれこれ30分は経過している。日頃の疲れからか、ぼーっとしていたのもありあっという間に時間が経っていた。
マリオがそう思い湯船から出ようとした時、リュウが浴室に入ってきたのである。
《触ってみたくて…》
「お疲れリュウ」
リュウは「あぁ」と簡単に返すと手早く身体を洗い始めた。
(そういえば、ここ数日リュウと話していないな…)
マリオはゴシゴシと頭を洗っているリュウの背中を見ながらそう思っていた。
リュウ含む新規ファイター達が来てから早一ヶ月。スマブラファイターも大所帯になりとても賑やかになった。だがその反面、どうしても一日話をしていないファイターも出てくる。特にリュウは自分から話しかける様な性格ではない為意識しなければ尚更話などしないであろう。
マリオはファイター達の中のリーダーだ。それ故にできるだけファイター達と話をし、気を配るのも役割だと思っている。特に新規ファイター達にはできるだけ話をして、不安や不満などを解消する助けになりたいとも思っていた。
(慣れたのかなぁ、ちょっとリュウと話をしてから出てもいいか…)
そうマリオが思っている中、身体を洗い終わったリュウが湯船に入ってきた。
「一人でトレーニングしてたのかい?」
「いや、今日は俺一人で百人組み手をしていた」
「それは凄いね!難しくなかったかい?」
「手強かったな。だが、今日の特訓でコツは掴めた気がする」
「流石だね。ここにもだいぶ慣れた?」
「あぁ、皆よくしてくれて助かっている」
「そうか、困ったことがあったらいつでも聞いてくれ」
「あぁ、分かった」
リュウの返事を聞いたマリオが良かった良かった…と思いながらうんうんと頷き少し安心している中、リュウはまじまじとマリオを見ながら問い掛けたのだった。
「なぁ、マリオ」
「ん?」
「あんた、どうやって鍛えているんだ?」
「んー、いや特に鍛えているとかは無いよ?」
「本当なのか…?じゃあ、何故あんなにも高くジャンプが…」
リュウはそう独り言の様に呟きながら考え込んだ。リュウやケンを見るに、彼等の世界ではマリオの様な高いジャンプ力や攻撃力を得る為には相当な鍛錬を積まなければならないのであろう。
普段から修行を怠らないリュウだからこその観点なんだろうなぁ…と、しみじみ思うマリオである。
「まぁ、冒険にもよく行くし、仕事も力仕事だからさ。それでちょっとは鍛えられているのかもね」
マリオはそう言って笑うも、リュウは相変わらず考え込んでいる様子。
「正直、アンタの強さの理由が分からないんだ」
「そ、そうかい?」
「修行やトレーニングをしている訳でも無いのに何故あんな威力の攻撃ができる…?」
「な、なんでだろう、考えたこともなかったな」
「すまないが、ちょっと、身体を見てもいいか?」
「うん、いいよ」
リュウはマリオの返事を聞くと、マリオの腕を優しく掴みモミモミしながら触っていく。それがマリオにとってくすぐったく、「ふ…ふふ…」と声が出てしまうのであった。
「ふむ、やはり筋肉量はそこまでか…すまん、ちょっと失礼して…」
リュウはそう断りを入れると、両手をマリオの両脇に差し入れマリオを持ち上げた。
「え…?」
そしてリュウは胡座を描いていた自らの膝の上にマリオを座らせ、今度はマリオの脚を持ち上げた。
リュウの胸板のお陰で体勢が崩れ溺れるということは無いが、中々この格好は恥ずかしい。
「ちょ、リュウ…?」と、マリオが尋ねるも、リュウは真剣な様子でマリオの脚をモミモミしながら触っていく。
「あ…まって…はは…!ひゃ…ははは…!くすぐった…ははは…!」
マリオがくすぐったくて笑っている中でも、リュウは「ふむ、骨が太くて丈夫なのか、だがこの筋力でどうしたらあそこまでジャンプが…何処か特別に発達している筋肉が…」とぶつぶつ喋りながらモミモミと脚全体を触っていたのである。
「ひ…はは!…まって…ひゃはは…!そんな揉ま…っ…はひゃひゃ!おかしくな…ん…っはは…!」
マリオは笑いながらも声を掛けるが、リュウは筋肉の付き方を真剣に見ているのか、話をさっぱり聞いていない様である。
まさか自分がここまで脚に弱かったとは…、と思わぬ場での思わぬ発見に、了承したことを若干後悔したマリオなのであった。
そして笑うことはかなり体力がいることの様で。体力を使い果たしたマリオは最早笑う事すらも難しくなってきていた。
「はは…は…やだ…リュウ…もう…やめ…は…は…」
「…は!?す、すまん!大丈夫か…!?」
我に帰ったリュウが見た時には遅かった。
「ん…はぁ…あ…目が…まわる…」
今までの長風呂と笑い過ぎにより涙目でゼーハーと息も絶え絶えになっていたマリオであったが、視界がぐるぐると回り意識が朦朧としてきていたのである。
「ま、マリオ!?おい!しっかり!マリオ!!」
「…ちょっと…む…り…」
「ま、マリオー!!」
リュウの叫びも虚しく、マリオはリュウの腕の中で意識を飛ばす事になってしまったのだった。
・・・。
「"風呂場で組織のトップの身体を揉みしだく"って…字面だけでもう大事件じゃねぇか…」
ケンは心底呆れたような口調で目の前に正座し反省しているリュウに話しかける。
あの後リュウはのぼせて目を回しぶっ倒れたマリオを慌てて医務室に連れていった。それに気がついた他のファイター達の尽力によりマリオは無事快方に向かったのである。
だがこの事で思った以上にこの騒動が広まることとなってしまったのだった。
リュウは目の前にいるケンとロックマンに、「申し訳ない…」と一言謝ったのだった。
「いや、俺らに謝ったってしょうがねぇよ!」
「リュウさん、僕たちは一応参加させてもらっている身なので…もう少し気を付けていただきたいです。マリオさんには謝れましたか?」
「それが…あの後からルイージが遮ってきて会わせてもらえず…」
「確実に警戒されてるじゃねぇかっ」
「致し方ないことをしましたからね…」
「俺はただ…どうしたらあんな身体で高くジャンプできたり威力の高い攻撃ができるのか確かめたかっただけで…」
「だからといって限度というものがあるだろうがっ!」
「…面目無い…」
そう言って項垂れるリュウを見ながら、ロックマンはケンに話し掛ける。
「兎に角会って話さない事にはこの誤解は解けそうにありませんね」
「そうだな、俺達も付き添った方が良いのか?」
「そうしましょうか。正直彼だけでは不安なので」
「確かに」
「そうだ、菓子折りを持って行きましょう。僕の博士も何かやらかす度そうしてましたから」
「…そうか、じゃあ菓子折りは俺が手配しておく」
「お願いします」
その後二人の手助けにより、無事リュウはマリオに謝ることができたのでした。
おわり
リュウ初参戦の時のお話。ゲーム性が違うと常識や身体の造りとかも違ってくるし色々ギャップがあるよね。リュウや兄さんもそういうのに戸惑ってたら可愛いよね。
おまけ
「…てなこともあったよねぇ…」
あれから数年後、マリオとリュウは再び風呂場で鉢合わせたのであった。湯船に浸かりながら、マリオはあの時のことを思い返しふふ…と笑った。
それに対し、リュウは困った様に眉を下げた。
「すまん…」
「い、いやごめん、からかいたかった訳じゃないんだ。今となってはもう笑い話…みたいにしたかったというか…っ」
「俺にとっては笑い話というより黒歴史だな…」
「そ、そう…?」
「思い出すだけで心が抉られるような思いだ…」
「ぁ、そんなに?」
「あぁ、アンタに謝るまで生きた心地がしなかった。特にルイージには笑顔で小言を言われるし…」
「それは…悪かったね…」
「できたら、忘れてもらえると嬉しいんだが…」
そう言い困り顔のリュウに、マリオは「分かった」と言う事しかできなかったのであった。
「だが…」
一言そう言ったリュウはじっ…とマリオの身体を見ていた。マリオが不思議に思っていると、リュウは何か確信したように話し始めた。
「マリオ、あの時よりも筋肉量が増えたな」
「ぇ?そうかな」
「あぁ、初めて会った時よりも蹴りやパンチの威力が増しているしな」
「そうかぁ!何か君にそう言われると嬉しいな!」
「そんなにか?」
「うん、君やケン達のトレーニング方法や価値観に感銘を受けたんだ。これからも沢山ファイター達は増えていくと思うし、対抗できる力をつけたいって思ったんだ。だから君達のトレーニングを参考にして僕もトレーニングしてみてたんだよね」
「そうだったのか」
「うん、君達が来るまでには無い感覚だったね。トレーニングのお陰で筋肉がついた気もするし、自分でも頑張ったって思ってるんだよねぇ。…どう?触ってみる?筋肉」
「いや、まぁ…気にはなるが、遠慮しておく」
「はははは、そうだよね」
そこからトレーニング談義に花を咲かせる二人なのでした。
おわり
マッスルボディの持ち主は見せたがるし触ってもらいたがるのは、筋肉が自分の成果物だからなんだろうね。作品を発表するみたいな。