口は災いの…
午後の部の大乱闘が始まり、スタジアム内の選手控室では自分達の番を今か今かと待っているファイター達で賑わいを見せていた。今回は4対4のチーム戦が行われている様で、チームになったファイター同士で固まりそれぞれフォーメーションや作戦を考えたり雑談をしていたりと、室内は多少の緊張感はありつつも和やかな雰囲気に包まれていた。
そしてその控室の一角には今回チームになったマリオ、フォックス、こどもリンク、ネスがおり、彼らも作戦タイムが一区切りしたのか雑談をし始めたのだった。
和やかに雑談をしている中「そういえばさぁ」とネスが話し出した。
「お昼ごろにガノンおじさんに会ったんだ」
「おじ…まぁ、で、どうした?」
さらっとおじさんと言えてしまうのか、と若さって怖いと思いながらフォックスが続きを促すと、ネスは「それでね…」と話し始める。
「おじさんバイク掃除してたんだよ!バイク!」
「「バイク?」」
ネスの言葉にフォックスとこどもリンクは首を傾げる。
ガノンことガノンドロフは元からバイクに乗っている訳ではないし、堅物で強面故に積極的に関わろうとしない限り大体のファイターは普段彼とつるむ機会も少ない。それら故ガノンとバイクが結びつかなかった二人は頭にハテナマークを浮かべていた。
特に因縁がある元時オカリンクであるこどもリンクには信じられなかったのか、腕を組み訝しげな表情でネスに聞き返した。
「奴が?バイク?本当か?」
「本当だって!なんだか大きくて格好いいバイクでさ、ピッカピカに拭きあげてたもん。おじさんの近くに掃除道具いっぱい置いてあったし」
「あー、ガノンって一度何かに熱中すると道具とかも凝りそうだよね。ちょっと気持ち分かるかも」
「まぁ、メンテナンス用具を揃えたい気持ちは分かる」
マリオの話にフォックスが賛同する中、こどもリンクは相変わらずの表情で疑問を投げかける。
「だが、何でバイクなんだ?」
「そう!僕もそう思ったんだ!だから今話したんだよ」
「まぁ、確かに。…てか見たんだったらその場で聞けば良かったじゃないか?」
「いや無理だってっ、かなり真剣に掃除してたんだから…!声かけづらいって…!後怖いし」
前述の通り、強面と堅物な性格故に子ども達からも多少なり恐れられていたガノンである。こちら側から話しかけるのは難しかったのであろう。それらが想像できてしまったフォックスは「ま、まぁそうか」と答えざるを得なかった。
だがそんな中、「あぁー、それはね、クッパにおちょくられたからなんだって」と思い出したかのように言ってのけたのはマリオである。
流石の三人もこれには驚いたようで、暫しの静寂ののち「はぁ!?」と声を揃えて驚いていたのであった。
「え?何で知ってるの!?」
「どういう事だ!?」
「何でアイツ等の痴話喧嘩みたいな事知ってるんだよ!?説明しろよ!」
「わ、分かったから、話すから」
三人の圧に負けたマリオはそう答えると、「えーとね、forの時だったかな…」と話をし始めたのだった。
《口は災いの…》