Lという名の男の話《後編》


「緑の貴公子、Mr.L!!」

俺はクルクルとターンしお決まりのLポーズをとる。
俺は完璧だからな、今回も決まったが流石に五回目はキツイ。
何故五回もこんなことやってるのかだって?それはだな…

「うわあー!!凄い凄い!!」

そう嬉しそうに手を叩いて喜んでいる男が俺の目の前にいるからである。
この男はルイージ。
俺を無意識に創った男であり先程ディメーンのクソ野郎に操られ混沌のラブパワーと一体化した男であり意識の主導権をあのクソ野郎に盗られこのゴミ箱とも言える心の奥底まで落ちてきた男である。
多分この男は今の状況をまるっきり理解してはいないだろう。理解しようにも俺があまりに格好良過ぎて色々頭からすっぽ抜けているのである。

確かにコイツの気持ちは分かる。だって俺はコイツでもあるもん、カッコイイ俺の自己紹介を何度だって見たいだろう。
だがもう無理だ。回転のし過ぎで頭がくらっくらする。うげ、気持ち悪っ。
俺は疲れと気持ちの悪さから肩で息をしていた。だがそんな俺にコイツはあろうことか「ねぇねぇ!もう一回!もう一回だけ見たい!」とキラッキラした目で言ってきたのである。
こ、この野郎…!今の俺の状況を見て分からんのか…!?めっちゃゼェゼェ言ってんだぞ!?

そう思った時、俺はコイツの頭を思いっ切りチョップしていた。

「てんめぇ!!何回自己紹介やらせる気だぁあっ!!」

「あいたぁぁあああっ!!!」


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