目覚めの声

あとがき

ここまで読んでくれてありがとうございました。
今回急速にマリピチ熱が上がりまして。元々途中で止めていたこのお話を完成させないことにはこのマリピチ熱が消火されないと思い急遽書き上げたものです。
いやはやいいよねマリピチ。マジいいよ、原点回帰だねいやはや。

今回は他者から見たマリピチっていうのがテーマです。その為二人の絡みも糖度も若干低めですね、なんだかんだで主役がフォックスになってしまいました。彼には気苦労をかけます←

でも何とか、他者から見てもピーチに振り回されてあわあわしてるマリオを書けたのでは…ないかと…思いたい←

ここまで見てくれてありがとうございました。


下、おまけ






おまけ


~スマブラ館1階キッチン~


午後の試合も終わり、夕食の片づけも終わったあとのキッチンにて、マリオは子ども達と共にお菓子作りに没頭していた。
子ども達のリクエストはクッキーやらホットケーキやらとマリオにとってはそこまで手間のかからないものであったが、作らなければいけない量がエグかった。それはリクエストをしたメンバーの中にカービィがいるからであり、他にもヨッシーやデデデ大王といった大食いでつまみ食い癖のあるメンバーが食べにくる可能性を考えての量である。

「マリオ!クッキーの型抜き終わったよ!」

ネスが型抜きをしたクッキーが乗っている鉄板をマリオの所へ持ってきた。子ども達も普段マリオと一緒にお菓子作りを手伝っているのか、慣れた手つきである。

「ありがとう。ちょうど焼いてたやつが焼きあがったみたいだから冷めたら食べていいよ」

マリオはそういいながら焼きあがったであろう熱々の鉄板をオーブンから取り出した。焼きあがったクッキーをお皿にざららっと移し、ネスから受け取った鉄板をオーブンの中に入れる。

「「わーい!」」

子ども達は我先にと「あちち…!」と熱がりながらクッキーを手に取り食べていく。美味しそうな匂いには抗えなかったようだ。熱いから冷ますように言ったのにな…と思いながら、子ども達の姿を見て苦笑するマリオであった。

「なぁマリオー」

食堂へと続くカウンター越しにマリオへ声をかけてきたのはリンクである。彼の他にも昼間試合の約束をしていたフォックスやサムスがおり、カウンターからマリオ達がお菓子を作っている所を見ていた。

「ん?何ー?」

「今何作ってるんだ?」

現在マリオはハンドミキサーを使いボールの中にある液体を泡立てている所であった。

「今チョコクリームを泡立ててるんだ。ナナがチョコのケーキ食べたいっていうから、ホットケーキにチョコクリーム塗ってもらおうかなと思って」

そう言うマリオの近くの3個口のコンロはホットケーキの生地が入ったフライパンで占拠され、現在進行形でホットケーキが焼かれている。かれこれずっとカービィが(夕食を沢山食べた筈なのに)ホットケーキを食べ続けているので、当分フライパンが空くことはない。館の運営費の関係上そこまでお菓子の材料は買えないのもあって、大体彼の作るお菓子は簡易的だ。だがクオリティは良いので食べ盛りの子ども達には人気である。

(それに今日は突然っていうのもあるしそこまで凝ったものは作れないんだろうなぁ、少ない材料でよくやるよ…)

と、カウンターに肘をつき、先程貰ったできたてクッキーをかじりながらフォックスはそうしみじみ思っていた。そして彼の隣にいるリンクも食べ盛りの一人である。チョコクリームという魅力には勝てなかったようだ。

「へー!いいな!俺も食べようかな」

「じゃあ、ココア味のホットケーキ焼いてあげるよ。ナナー、チョコクリーム出来たよ。さっき焼いたやつ持っておいで」

「やったー!のっけてのっけて!」

「フルーツ缶があると思うから、それ使っていいよ」

「はーい!」

そのチョコクリームとフルーツ缶というワードに反応したのか、周りの子ども達も食べたーいー!と集まってきた。甘い物は別腹である。

「ねぇ、フォックス」

そうフォックスに声を掛けてきたのは、今まで彼の隣でマリオと子ども達のやり取りを微笑ましく見ていたサムスであった。現在彼女はパワードスーツを脱ぎ私服姿である。

「?、なんだ?」

「今日のマリオ変だったでしょ?どうしたの?」

その彼女の一言に反応したのかフォックスの反対隣にいたリンクも話に参加し始めた。

「あー、今日の昼間な。ずっと寝てたんだって?」

「あぁ、まあな。あいつがスタジアム地下のマスターの部屋から出た後急に眠くなったらしい。それで近くのベンチでちょっと休もうとしたら…」

「ピーチに起こされるまでずっと寝てしまっていたと…」

「そういうことだ」

フォックスはサムスの話を肯定しながら先程クッキーと共に淹れてもらったコーヒーを一口飲む。だがリンクはその話に納得できないようだ。

「なぁ、おかしくないか?急に眠くなったなんて…そんなすぐに立てない程眠くなることなんてそう無いと思うぞ?」

「まぁ、そうだな」

そう、さも当然かの様に言うフォックスにサムスは少々苛立たしげにその顔を見る。

「?、さては貴方、もう原因を知っているのね?」

そしてもう何かしらの対処もしているのでしょ?と、口では言わないが目からはそう語っているサムスにフォックスはニヤリとしながら「まぁな」と一言返した。

「そしてその原因をこの場に呼んである」

「「え?」」

これには二人も驚く。まさかこの話の中でフォックスがそんなことを言うとは二人共思ってはいなかった。驚く二人を他所にフォックスは「おい、いるんだろ?」と後を振り向きながら話しだしたのだ。

「何だ、バレてたか」

二人もフォックスが向いている方向を見ると、食堂のいくつもあるテーブルの内の一つに腰掛けている男がいた。真っ白な長髪を後一つに束ね、白衣を着た男はいつの間にかマリオの作ったクッキーを一つかじりながらそう一言しれっと言ったのである。

「「クレイジー!?」」

「よ!」

二人の驚きの声に真っ白な髪色の男に化けたクレイジーハンドは軽く手を挙げ短く返事をしたのである。
だが、その瞬間。奴を見たリンクとサムスが勢いよくクレイジーに目掛けて飛び出した。その殺気だった雰囲気に流石のクレイジーも慌て慄く。

「ちょ、ちょ!な、何だ!?まさかお前等も!?フォックス貴様!ハメたな!?」

「当たり前だ、誰がタダ菓子なんか食わすか。大人しく殴られとけ」

フォックスがそう言って優雅にコーヒーを飲んでいる最中食堂中にクレイジーの断末魔が聞こえたのだった。こうして落ち着いているフォックスであるが、彼が一番に奴を殴っている為である。


「まぁ、奴が絡んでいたのなら納得だわ」

クレイジーを殴りスッキリしたサムスはそう納得していた。クレイジーの日頃からファイター達を引っ掻き回すような悪戯は周知の事実だからだ。リンクも概ねサムスの意見に同意のようだ。

「確かに。そういえばだけど、どうやってクレイジーはマリオを眠らせたんだ?何か方法があるとは思うが…」

「あぁ、それな、ほら、これだよ」

そう言って頭にいくつかタンコブを作ったクレイジーが取り出したのは小さな拳銃だ。手にすっぽり入る程の小ささで、そんな形のライターだと言われれば納得してしまうようなデザインだった。リンクはクレイジーの側に寄り掌に乗せられた拳銃をまじまじと見た。

「ちっちゃ!なんだよこれ!」

「まぁこの拳銃は副産物ではあるが、俺が開発したのはコイツが撃ち出す小さい針に付着させた眠り薬だ」

「眠り薬!?」

「成程ね、それを使ってマリオを眠らせたってことね」

「そうそう!この眠り薬は凄いぞぉ、何てったって耳元で甘く囁かないと起きない仕様になってるんだぜ?」

リンクとサムスの反応に良くしたのか、クレイジーは眠り薬について語り始めた。何故そんなもの作ったのかが謎すぎるが確かにその条件でしか起きられないのなら、叩いたりつねったり揺すったりでは起きない筈だ。昼間にいたファイターの中でマリオに甘く囁くことができたのはピーチしかいなかった。きっと他のファイター達がいても初見で甘く囁くことができるのはきっとピーチだけだっただろう。ピーチが来てくれて本当に良かったと、クレイジーの訳の分からない発明の説明を聞いた時心底そう思ったフォックスであった。

サムスもリンク程ではないがクレイジーに近寄りまじまじと拳銃を見ている。リンクもサムスも武器や銃火器を扱う故かその手のものには興味があるようで、サムスは「撃つ針は無いの?」とクレイジーに聞きだしている。

「お!お目が高いねぇ。針はこれだ」

そう言ってクレイジーはホッチキスの針の箱程の大きさの箱を取り出した。その箱を開けるととても小さくて細い針がいくつも入っていた。「この針はなぁ…」とクレイジーも意気揚々とこの針について語り始める。リンクもサムスもへぇ!とか頷きながら話を聞いている。
さっきまで殴る殴らないとかでギャーギャー言っていたのに相変わらず切り替えの早い奴らだ、と自分のことを棚に上げながらそう思っているフォックスに、後ろからマリオが声をかけてきた。

「あれ?やっぱりクレイジーいたんだ」

「あぁ、まぁな。サムスとリンクにボコボコに殴られてたんだが、今じゃあぁだ」

そうして二人は三人の方を見ると、今度は先程の拳銃の話に戻っており、「針は自動装填で…」、「できるだけ音を抑えて…」など所々の説明が聞こえてくる。彼は破壊者でもあるが研究者でもある。そのモノを創ってみたいという欲求はマスターへの憧れが知らず知らずの内に表に現れた結果なのかもしれない。
マリオは3人の話を聞いて何か納得したのか「あー…」と声を漏らした。

「じゃあ、やっぱりクレイジーが僕に?」

「あぁ、そうだな」

「うわー、いつの間に…」

「マスターの部屋から出てきた所を後ろからあの拳銃で眠り薬が付着した針を撃ち込んだんだと。お前の首元に」

「え!?嘘!」

「安心しろ、針は凄く小さくて体内に入っても溶けるらしいから大丈夫だと。何故かは知らんが」

クレイジーは破壊の神である。その破壊の力は妙に便利で、周りの音を破壊して消したり自分の姿だけを破壊して相手に見られないようにすることも可能なのである。その力を知っているマリオは苦笑いするしかなかった。

「はは…、もう…。当分クレイジーには僕の作ったお菓子あげないようにするかな。…色々ありがとうフォックス、悪かったね」

「いや、まぁ…今回は流石に怒れたからなぁ…何も言わずに色々動かせてもらった」

「うん、大丈夫、今回は僕が渦中だったしね。それに、律儀な君ならちゃんとそのことも僕に教えてくれるだろうと思って」

「たっく…、それで大丈夫かリーダー?」

「君を信頼しているからこそだよ、副リーダー」

そう言ってマリオはニコリとフォックスに微笑む。信用し過ぎだとも思いつつまんざらでもないフォックスは「あぁそうかよ」と素っ気なく返した。

「さて、プリンできたけど食べる?」
「食べる」

即答するフォックスにマリオは小さく笑う。今回彼が一番自分のことで動いてくれていたのだ。そしてもう既に元凶であるクレイジーへの制裁も済んでいる。色々気苦労をかけているフォックスへの感謝とお詫びがこのお菓子制作なのだ。それ故できるだけフォックスのは丁寧に作った。彼が甘いもの食べれて本当に良かったな…と、そう思いながらずっと武器談義をしているリンクとサムスにお菓子が出来上がった事を告げに行くマリオなのだった。


おわり


うわぁ、おまけがこんなに長いとか…やば…。でもこの話マリピチ関係ないしなぁ、やっぱおまけなんだよなぁ…。深夜のテンションやば…。
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