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その気持ちを自覚する

侑side

「なぁ侑、明後日が何の日か知ってるか?」

侑「明後日?」

明後日なんかあったか?

「バカやなぁ侑、お前はそれでも男子高校生か?」

「明後日はプール開きや!」

侑「!」

そないやったな!

「おお!お前もちゃんと男子高校生で安心したで」

「んで、お前は誰が一番やと思う?」

「俺は断然、井上さんや!」

「俺も!」

侑「確かに胸はあるな」

「侑もやっぱり井上さんか」

侑「いや、王道すぎるんはつまらん」

「王道ええやんか!」

侑「俺は隠れた原石を探すで」

「侑、見つけたら教えろや」

「でもうちのクラスでは、数人やろ」

「その数人みんな侑目当てなんが腹立つけどな」

侑「俺は興味ないから、どーぞ」

「お前のそれも腹立つわ」

隠れて案外ええのは、、

紬「・・?」

俺の視線に気づいた紬ちゃん。手を振ったら振り返してくれた。

「?お前稲荷さんなん?」

「え?」

俺の視線の先を見て意外そうにする。

「稲荷さんはなぁ、別にブスやないけど」

「せやな~、頭はええな!中間テスト1位で張り出されてたしな」

あれはビビったで。サムと数秒掲示板の前に突っ立っとった。

「でもそれ以外は別に目立つとこあらへんよ」

侑「そうか?」

そら節穴やで。

「じゃあ、どこがええねん」

侑「まず指綺麗やん?」

「うわぁ侑キモっ!!」

侑「なんでや!?」

「お前細かすぎるねん!!」

そうか?

治「なんの話してんねん」

あかん、いつの間に来てたんや。

「治!侑の奴がキモイねん!」

治「?」

侑「ば、言うな!」

「稲荷さんの指が綺麗や言うてん」

サムに言うやつがあるか!!

治「俺も思うけど」

「え?!」

侑「や、やんな!」

治「あと、足も綺麗やな」

「流石宮ツインズ!」

「見るとこ同じやな!」

「変態ツインズでええやんけ」

侑・治「「誰が変態ツインズや!!」」

サムが教室に入って行く。行先はわかるけどな。

「・・なぁ、侑」

侑「?」

「治って稲荷さんのこと好きなん?」

「あ、それ俺も思っとった」

侑「俺が知るわけないやろ」

「お前ら双子やん?そういうの感じ取ったりせんの?」

侑「双子がテレパシー使えると思てんのか」

「でも治ここのとこ毎日、稲荷さんのとこ行きよるやんな」

客観的に見たら誰でもサムが紬ちゃん好きなんかって思うわ。俺も思うし。でも本人曰く、違うらしい。

侑「・・・」

紬ちゃんの手からポッキーを貰って食いよる自分の面を鏡で見てから言えっちゅう話や。


治side

侑「なんでや!?」

「お前細かすぎるねん!!」

廊下に響くツムの声。お前ら廊下でなに騒いでんねん。

治「なんの話してんねん」

俺の顔を見た瞬間のツムの表情を見ればしょうもないことやろうけど。

「治!侑の奴がキモイねん!」

治「?」

侑「ば、言うな!」

「稲荷さんの指が綺麗や言うてん」

紬ちゃんの話か。紬ちゃんの指って言われて思い出すんはあの屋上での手。勉強教えてもろてる時も思たけど、確かに綺麗や。

治「俺も思うけど」

「え?!」

侑「や、やんな!」

治「あと、足も綺麗やな」

規定の長さのスカートからのびとる足が白いんや。

「流石宮ツインズ!」

「見るとこ同じやな!」

「変態ツインズでええやんけ」

侑・治「「誰が変態ツインズや!!」」

お、紬ちゃんまだ教室におる。近づいた俺に気づけば紬ちゃんは小さく笑ってくれる。可愛え。

紬「、今から部活、だよね?」

治「そう、紬ちゃん」

ここ最近ずっと紬ちゃんの机に来ては俺はおねだりしとる。彼女もそれをわかっとるのか、カバンからお菓子を出してくれた。

紬「今日はこれしかないんだけど」

治「ええよ、それちょうだい」

紬「はい」

治「そっちの開いてる方がええ」

開いてない袋を渡してくれるあたりが、紬ちゃんやな。

紬「こっち、開いてるけど」

治「ちょうだい」

ちょっと意地悪してもええよな?

紬「、え、、」

治「はやく、部活遅れたら大変や」

口を開けて待つ。紬ちゃんは俺の言葉で意を決した様にそれを俺の口に運んでくれる。やっぱり綺麗な手やな。

治「、ん、うまい」

紬「治君は食べるの大好きだね」

治「好きやなぁ」

また俺の口に運んでくれる紬ちゃん。ええなぁ。幸せいっぱいの俺の目に飛び込んできたのはプール開きの文字。

治「プールか」

だからツムらがあんな会話しとったんか?

治「紬ちゃん?」

目の前でどこかしゅんとしとる。いや可愛えけど。

治「・・プール苦手なん?」

紬「、プールがっていうか、泳げないから」

泳げないって。え?じゃあ浮き輪とか付けてたん?なんや

治「・・可愛えね」

紬「、治君!」

治「無理なら見学しとけばええやん?」

俺のクラスでも話題になっとったけど、なんやここの学校プールの授業が男女合同やから女子の見学者が多いらしい。

紬「、でも、ちゃんと泳げるようになりたい」

紬ちゃんみたいな子は稀や。

治「・・無理したらあかんよ」

紬「あ、ありがとう」

治「ん。ほな、部活行くわ」

紬「う、うん。頑張って」

紬ちゃんからの頑張っては妙に力でんの、なんでやろなぁ。

治「ツム行くでー」

侑「おん」

紬ちゃん泳げへんのか。練習するってビート板とか使うんかな?帽子とか被って?もう小学生やん。

侑「・・サム、顔キモイで」

治「俺の顔がキモイならお前の顔もキモイんや」

侑「俺はお前みたいなキモイ顔はしとらんわ!」

プールか、着替えも面倒やし腹減るからそんな好きやなかったけど、なんやええな。

治「体育、案外ええな」

侑「・・お前分かってへんやろ?」

治「あ?」

侑「プールやぞ」

治「せやで」

侑「水着や」

治「?・・・!」

侑「ようやく気付いたかアホサム」

せや、紬ちゃんも水着を着るんや。それにメガネも外すやろし。

侑「お前がええな、って言った紬ちゃんの足が惜し気もなくクラスでお披露目されるんや!」

治「アカン!それは死守せな!」

侑「いや、無理やろ」

治「お前紬ちゃんと同じクラスやろがい!なんとかせえ!」

侑「無茶言うなクソサム!」

治「無茶でもどうにかするんや!」

侑「もう紬ちゃん以外の女子に頑張ってもらうしかあらへんやん?」

治「そしたらそっちに視線がいく、そういうことか?」

侑「せや」

治「よし、それや」

角名「お前ら、たまに本当馬鹿だよね」

侑・治「「うわ!?」」

いつからそこにおったんや!!

角名「紬って普段地味だし目立たないじゃん」

治「喧嘩売ってんのか?」

侑「買ったるで?」

角名「まぁ最後まで聞きなよ。そんな子が急に変わってたら絶対目を引くよね」

そら、そうや。

角名「髪型変えただけでも紬って変わるから、メガネ外したらもっと変わるでしょ」

・・せやな。

角名「しかも、結構いい体してると思うよ」

侑「角名アウトや!」

治「お前紬ちゃんに近づいたらアカン!」

角名「なんでだよ」

治「紬ちゃんを見んな!」

侑「紬ちゃんを汚すな!」

角名「はぁ、だから、お前らにそれ言う権利ないでしょ?」

権利?

角名「別に紬の彼氏でもなんでもないんだから」

治「・・そら、そうやけど」

角名「逆に紬に彼氏ができたら、そう言われるのお前らの方だからね?」

侑「・・今日の角名君冷たない?」

角名「本当のこと言ってるだけ」

紬ちゃんに、彼氏・・・。

角名「・・」
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