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体育祭

治side

侑「なんやアレ!腹立つわ!」

騎馬戦で圧倒的大差で負けた紅組。

治「ショボ」

侑「うっさいわ!あんな陣形組むのありなん!?」

治「ありやろ。別に決まってへんし」

女子は紅組がダントツで勝っとったな。

侑「次は棒倒しやろ!?サム!全部なぎ倒せ!」

治「任せろや」

上半身裸のツムに俺も脱いで着ていたTシャツを渡した。

「きゃー!侑ー」

「治がんばってー」

「宮ツインズやー!」

「期待してるで治!!」

ーー棒倒し1回戦ですーー

「防衛班はこっちや!」

尾白「治ー」

あ、アラン君や。

尾白「棒倒しまくれや!」

なんで俺が攻め班って知っとん?

ーーよーいーー

「ええか?」

治「おん」

ーースタートーー

男ばっかりむっさいなぁ。

侑「サム―!!何してんねん!!さっさ棒に体当たりせぇ!!」

「守れ守れ!!」

棒の周りが青ハチマキで埋まっとる。まぁ、しゃーないな。

治「ほ!」

「「「「「!」」」」」

相手の肩に乗って棒まで近づく。

「ええぞ治!!」

「いけいけ!」

「っ宮片割れか!」

治「!邪魔や!」

「離すかい!」

足を掴まれた瞬間、もう人ごみの中やった。踏んでた側から踏まれる側やな。

治「まぁ、俺には関係あらへんけど」

やっぱり身長高いってええな。

「っ!!?」

棒にラリアットかましたった。

「っ、アカン!」

「「おぉぉ!!」」

侑「ええでサム!!」

地面に転がった青の棒。悔しそうに俺を見上げる敗者君らに俺はつい笑ってもうた。


紬side

「おせおせ!!」

「のまれんなや!!」

す、すごい迫力。騎馬戦もすごかったけど、棒倒しってこんなに迫力がある種目だったの。

「もう、治かっこいいっ!!」

え、治君これに出てるの!?目を凝らして探せば、青い棒を一人で倒してる治君がいた。

紬「す、すごい」

でもぶつかり合いが激しい。痣になってる人もいるんじゃないかな。

ーーはい!2回戦の紅対白で勝ったのは紅組!紅組強い!!ーー

ま、また紅組が勝っちゃった。でもやっぱりみんな結構ボロボロだった。

侑「ボロボロやなサム!」

治「勲章や」

あ、手当て。

「治君!手当てしてあげるで!」

「こっち来てや!」

出遅れちゃった。でも保健委員の人みたいだし私がするより、いいのかな。

治「あー、別にええ。大したことないし」

「えーそう?」

未だに上半身裸の治君に触った女の子たち。だ、大胆だ。

治「平気やって」

女の子たちに背を向けて侑君と行ってしまう。本当に大丈夫なのかもしれない。でも、

紬「治君」

治「!紬ちゃん」

紅組のテントの手前。

侑「紬ちゃん、見てみ、こいつボロボロや」

治「うっさいなぁ。ボロ負けしたやつに言われたないねん」

侑「ボロ負けちゃうわ!!」

紬「け、怪我大丈夫?」

治君がきょとんとした顔になった。なんかちょっと可愛い。

侑「えー紬ちゃん、俺の心配はー?」

紬「え!?あ、侑君もどこか怪我してたの!?て、手当てする!?」

侑「んーん!どこも怪我してへんよ」

紬「ん?、、っ!?」

どういうことなんだろう、って考えてたら急に揺れた視界。次の瞬間には視界一杯に治君がいた。

紬「お、治君!?」

治「手当て、紬ちゃんがしてくれるん?」

紬「え?う、うん。小さい傷なら」

治「ならやって」

紬「わ、わかった、から、ちょっと、離して?」

治「ん」

掴まれていた腕をパッと離してもらえて、急いで治君から離れた。治君忘れてると思うけど、上半身裸!

侑「サムばっかりええなぁ」

治「ツムはどこも怪我してへんやん」

侑「負けて心が怪我してんねん。癒して紬ちゃん」

治「ツバでも付けとれ」

「侑ー」

治「ほら呼ばれとるで」

侑君は面倒くさそうにしながらも行ってしまった。

紬「えっと、じゃあ取り敢えず向こうに座ろう?」

治「おん」

治君は大人しくついて来てくれた。えっと、消毒液と絆創膏と

治「紬ちゃん保健委員やっけ?」

治君の視線が私の手元のポーチに移ってた。

紬「ううん、誰か怪我したとき使えるから、って言っても一番使わないといけないの私なのかも」

治「・・紬ちゃんらしいなぁ」

紬「顔、からでいい?」

治「お願いします」

目の上が少しだけ切れてる。コットンに消毒液を垂らして前髪を避けさせてもらう。

紬「・・治君」

治「なん?」

紬「目は瞑ってて」

至近距離で見られることなんてないから緊張する。

治「ふふ、しゃーないな」

紬「、ありがとう」

ちゃんと目を瞑ってくれた。

紬「少し、沁みるかも、我慢してね」

治「はぁい」

なんだか、ちょっと可愛い。目の上の怪我に軽く当てていく。

紬「沁みる?」

治「ちょっと」

目の上だから絆創膏はやめておこうかな。あの頬っぺた。擦り傷かな。

治「紬ちゃんの手、冷たいなぁ」

紬「え」

治君の頬っぺたに触れていた手に重ねられる彼の大きな手は熱かった。

治「気持ちええ」

すり寄ってくる治君はどこか猫みたいだなって思った。

紬「治君、手離してくれないと」

治「もう少しこのままがええ。あかん?」

紬「、、ううん、いいよ」

治君の体温が移ってしまうまで、手を離してくれなかった。


治「紬ちゃん、ありがとさん」

紬「うん」

頬っぺたに絆創膏を付けて笑う治君はどこか侑君と似てた。やっぱり双子なんだなぁ。

ーー借り人競争へ出場される方は集まってくださいーー

あ、私だ。

紬「治君はまだなにか出るの?」

治「選抜対抗リレー!」

侑君と同じだ。

紬「頑張ってね」

治「俺も借り人応援するから、紬ちゃんもリレー、俺の応援してなぁ」

紬「うん!紅組優勝できるといいね」

治「うん、そうやけど、そうやないんや」

紬「?」

治「気にせんでええよ。ほら、召集始まってんで」

いけない、早く行かなきゃ!治君と別れて既に列ができてるそこに走った。


「最終確認やで。札があるところまで走って一枚選ぶ。そこに書かれたお題に該当する人を組は関係あらへんから連れて一緒にゴールする!ええな?」

「「「「「はーい」」」」」

「ゴールしてもお題に合ってへんかったらまた探しに行ってもらうからな!」

え?そうなの?

「ゴールした人からちゃんと確認される!だから早くゴールしてもやり直しをくらったら、順位も下がるから気を付けや」

どんなお題があるんだろう・・。そんなことを考えてる間に、最初の走者の人たちが並んでる。

パンっ

は、始まっちゃった。

「メガネかけとる人!!」

「え?これおるん!?」

「ラグビー部!!」

札を持った人たちがお題に該当する人たちを探しまわってる。大きな声を出せば出すほど見つかるのはやっぱり早いみたい。

ーー1位ゴールは白組です!しかしここでお題通りの人かが確認されます。では、お題は?ーー

「筋肉ムキムキの人!」

一緒にゴールした人は確かに筋肉ムキムキ。

ーーはい!一目瞭然のキン肉マン!!お題クリアです!--

お題クリアが続いていく。メガネをかけた人とかハチマキを腕に巻いてる人とか、そんなお題ばっかりだった。ちょっと安心する。

ーー最後に紅組ゴール!苦戦してましたね。さぁ、お題は?ーー

「手を繋いでゴールしたい人」

「「「「「おぉぉぉ!!」」」」」

「えーマジ?そんなお題あんの!?」

お題を受けた男の子と一緒にゴールしていたのは女の子だった。

ーーどうしてこの人を?--

え?そんなことまで聞かれるの!?

「俺の彼女」

「「「「「きゃぁぁぁぁ」」」」」」

「リア充ひっこめ!」

「惚気か!」

ーーお題クリア!!末永くお幸せにー!さぁ、引いたお題によっては苦戦を強いられるだけでなく、精神的ダメージもうけるかも!--

な、何としてもああいうお題は避けなきゃ!

「一緒にテーマパークに行く人」

「あなたの大事な人」

「年上」

「異性」

必ず一枚はああいうお題があるみたい。

「次、並んで」

私だ!

「よーい」

パンっ

スタートと同時に並んでいた人たちが走り出す。

治「紬ちゃん、ファイトや」

札が並べられてる近くで応援してくれてる治君。きっと緊張してる私に見える位置にいてくれたんだと思う。

紬「・・」

ズラリと並べられた札。迷ってても仕方ない、これ!
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