体育祭
紬side
体育祭のクラスTシャツに着替えて、髪を上にあげる。治君に貰ったもの。すごく可愛い。治君には貰ってばっかり。
紬「えっと、」
今日出ないといけない種目は3つ。クラス全員リレーと借り人競争と二人三脚。
角名「あれ、紬?」
紬「!倫君」
集合場所に向かってると倫君に会った。やっぱり大きい。
角名「今日は髪おさげじゃないんだ」
紬「う、うん。治君がこれくれたから」
角名「!そっか、良かったね」
倫君は関西の人じゃないのかな?関西弁じゃなくてなんだか少し話しやすい。
角名「紬、借り人競争出るんだっけ?」
なんでそれを!?
角名「侑が言ってた」
紬「うん、そうだよ」
倫君も人の考えてることがわかるエスパーなのかな。
角名「俺別にエスパーじゃないけど」
紬「!?」
やっぱりエスパー!!倫君は笑ってるけど、絶対そうだと思う。
角名「俺、白組で紬の敵だけど、借り人なら一緒に走るよ」
紬「ありがとう」
治「お題が、いやらしい目の人、とかなら角名と走るしかないなぁ」
紬「治君!」
治「おはようさん」
紬「おはよう」
治君ももう着替えてた。侑君はもう行っちゃったのかな。
治「それ付けてくれてるんやね」
治君の視線が私の頭にあるから、きっと髪留めのこと。
紬「うん、壊れちゃうんじゃないかって、少し心配なんだけど」
「稲荷」
急に呼ばれてびっくりしてしまったけど、
紬「か、川島君」
川島「稲荷、今日は頑張ろうな」
川島君は私がクラス全員リレーでバトンを渡す人。
紬「は、はい!ば、バトンちゃんと」
川島「大丈夫やって!そない緊張せんで!」
何度か練習してもらってるけど、半分の確立でバトンを落としてしまってる。
川島「稲荷、何度も練習しとったもんな。お前があんなにガッツある奴って初めて知ったわ」
紬「い、いえ!れ、練習付き合ってもらってありがとうございました!」
川島「稲荷、俺クラスメイトやから。先輩やないで?敬語いらんて」
紬「あ、は、はい!」
敬語やないか、って笑ってる川島君。体育祭の練習でクラスの人に声をかけてもらえる回数が増えたと思う。私から声をかけられる人は、まだ限られてるんだけど。
川島「まぁ、あれだけ練習したから大丈夫やと思うし、もし本番でもバトン落としてもそのロス分、俺が巻き返したるよ」
紬「!あ、ありがとう!頑張る」
川島「!」
なんて心強い。
川島「、、なんや、今日稲荷可愛えな」
紬「!?」
かわ!?
紬「ふぇ!?」
治「・・・」
私と川島君の間に入った治君で彼の姿が見えない。
川島「!、侑?いや治?」
治「治の方や」
川島「同じ紅組やし頑張ろうな」
治「おん」
川島君はそのまま行っちゃった。
角名「あいつクラスメイト?」
紬「うん」
角名「仲いいんだ?」
紬「仲いい?のかな?リレーでバトン渡す人だから練習に何度か付き合ってもらってから、少し話すようになったかな」
治「紬ちゃん」
紬「ん?」
治君が私の方に向き直って、髪留めに触れた。
治「壊れてもまた新しいの買うたるから、付けとって」
紬「こ、壊れないように付けてるね!」
治「!、、うん」
なんでか治君が嬉しそうに笑ってて倫君から何か言われてた。
角名「あ、あとさ」
紬「?」
角名「最初開会式だからたぶんクラスTシャツじゃなくて体操着だと思うよ」
紬「!き、着替えてくる!」
治君と倫君が笑ってるのが聞こえる。種目以前の問題だった!
パン!
は、始まってしまった。徒競走から始まってついには二人三脚。
侑「紬ちゃーん、練習の成果見せたろー」
紬「う、うん」
侑「転びそうになったら俺にしがみついてええから」
紬「う、うん」
侑「・・緊張しとる?」
紬「う、うん」
侑「・・紬ちゃん」
紬「!」
侑君がしゃがんで目線を合わせてくれた。
侑「あれだけ練習してんやで?大丈夫や」
紬「!うん」
侑「それになぁ」
キュ
繋がれた足。
侑「隣は俺やで?紬ちゃんが本気を出すんに申し分ない采配とちゃう?」
紬「!・・頑張る」
侑「おん」
もうすぐ、私たちの番。前の組が走り出して、私たちが位置につく。
「ええか?位置について、よーい」
侑「!」
私は侑君に回した手に力が籠った。
パンッ
侑「せーの」
紬「!」
スタートは右から。そう決めて練習してきた。ちゃんと、走れてる。
「きゃ-アツムー!!」
「ええぞ!!」
っ、ゴールまだ?
紬「!」
肩に置かれた侑君の手に少し力が入った。頑張れって言われてるみたい。
ーー宮侑・稲荷紬の1組ペアが2位でゴール!!!ーー
放送される声と息を吐くので一杯一杯。
侑「紬ちゃん!2位やで!俺、練習始めたとき転ばんようにゴールせなな、って思ってたんやけど、さっきはどれだけ早くゴールできるやろか、って思ってやったで!」
紬「!」
侑「すごいなぁ紬ちゃん!」
侑君は優しい。
紬「侑君」
侑「ん?」
紬「侑君が一緒に走ってくれて、よかった。ありがとう」
侑「!俺も、紬ちゃんで良かったで」
これ言うたのサムには内緒な。そう言って笑ってくれる侑君。
「侑!稲荷さん!すごいで!」
「よかったで!」
クラスの人達からもそう言われて嬉しかった。
侑「あ、そうそう」
紬「?」
侑君が耳元で内緒話をするように言った。
侑「歩幅のことな、サムに聞いてん」
紬「!」
侑「紬ちゃんの歩幅に合わせるより、少し歩幅狭くして回転数上げた方がええよ、って。その方が紬ちゃん走りやすそうやって」
治君が?
侑「癪やけど、サムの力もあんねん」
そう言って行ってしまった侑君。何となく視線を投げたところに、侑君とそっくりな、でも違う彼がいた。
紬「・・ありがとう」
伝わったのかわからない。でも治君は笑顔で頷いてくれた。
治side
銀島「き、緊張するなぁ」
治「なんでお前が緊張すんねん」
二人三脚でゴールを目指すその競技を眺めていると銀が俺の隣に座った。お前紅組ちゃうやろ。
銀島「侑が紬ちゃんのことあれだけ話せば気にもなるわ!」
アイツのせいやな。
銀島「お、あそこや。背ぇ高いからすぐ分かんな」
銀はそう言うたけど、俺は紬ちゃんの方が先に見つかった。緊張してんなぁ。
銀島「なんつーか、意外やな」
治「?」
銀島「治ってもっと淡々としとると思っとったんや。だから紬ちゃんって意外やなって」
治「せやなぁ、確かに俺他人の面倒見るほどお人好しでも世話好きでもない。でもなぁ」
パンッ
治「例外って存在するんやで」
銀島「!」
治「見とったら自然と手を貸したなるって、一種の才能やな」
銀島「・・せやな。あの侑が付き合うてるんやから、その才能は一級品と違う?」
治「間違いないわ」
ツムと2位でゴールした紬ちゃん。すごいなぁ、紬ちゃんは。
銀島「おぉ!2位や!!」
治「でも、それだけやない」
銀島「?」
紬ちゃんがこっちを見たんが分かった。
紬「・・ありがとう」
ちゃんと伝わっとるよ、紬ちゃん。
「治君!次クラス対抗リレーやから整列しろって言うてるよ」
「行こー」
クラス対抗リレーか。チームとは別にわざわざあるんは、きっとクラスの団結とかいうやつやろ。
「治君クラスTシャツに着替えへんの?」
治「あ、忘れとった」
テントに戻って上を脱ぐ。
「きゃー」
「治君かっこええね!」
紬ちゃんと同じクラスやったら、このTシャツに彼女の名前があるんやろな。
川島「稲荷!」
あ、今朝のアイツや。
紬「か、川島君」
川島「さっきのすごかったで!リレーでも練習の成果だそうな!」
紬「う、うん。頑張ります」
川島「だから敬語ええって」
こいつ明らかに紬ちゃんと距離縮めようとしてるな。
「治ー行こー」
「治君めっちゃ足早いもんね」
あー、紬ちゃんが同じクラスやったらなぁ。
体育祭のクラスTシャツに着替えて、髪を上にあげる。治君に貰ったもの。すごく可愛い。治君には貰ってばっかり。
紬「えっと、」
今日出ないといけない種目は3つ。クラス全員リレーと借り人競争と二人三脚。
角名「あれ、紬?」
紬「!倫君」
集合場所に向かってると倫君に会った。やっぱり大きい。
角名「今日は髪おさげじゃないんだ」
紬「う、うん。治君がこれくれたから」
角名「!そっか、良かったね」
倫君は関西の人じゃないのかな?関西弁じゃなくてなんだか少し話しやすい。
角名「紬、借り人競争出るんだっけ?」
なんでそれを!?
角名「侑が言ってた」
紬「うん、そうだよ」
倫君も人の考えてることがわかるエスパーなのかな。
角名「俺別にエスパーじゃないけど」
紬「!?」
やっぱりエスパー!!倫君は笑ってるけど、絶対そうだと思う。
角名「俺、白組で紬の敵だけど、借り人なら一緒に走るよ」
紬「ありがとう」
治「お題が、いやらしい目の人、とかなら角名と走るしかないなぁ」
紬「治君!」
治「おはようさん」
紬「おはよう」
治君ももう着替えてた。侑君はもう行っちゃったのかな。
治「それ付けてくれてるんやね」
治君の視線が私の頭にあるから、きっと髪留めのこと。
紬「うん、壊れちゃうんじゃないかって、少し心配なんだけど」
「稲荷」
急に呼ばれてびっくりしてしまったけど、
紬「か、川島君」
川島「稲荷、今日は頑張ろうな」
川島君は私がクラス全員リレーでバトンを渡す人。
紬「は、はい!ば、バトンちゃんと」
川島「大丈夫やって!そない緊張せんで!」
何度か練習してもらってるけど、半分の確立でバトンを落としてしまってる。
川島「稲荷、何度も練習しとったもんな。お前があんなにガッツある奴って初めて知ったわ」
紬「い、いえ!れ、練習付き合ってもらってありがとうございました!」
川島「稲荷、俺クラスメイトやから。先輩やないで?敬語いらんて」
紬「あ、は、はい!」
敬語やないか、って笑ってる川島君。体育祭の練習でクラスの人に声をかけてもらえる回数が増えたと思う。私から声をかけられる人は、まだ限られてるんだけど。
川島「まぁ、あれだけ練習したから大丈夫やと思うし、もし本番でもバトン落としてもそのロス分、俺が巻き返したるよ」
紬「!あ、ありがとう!頑張る」
川島「!」
なんて心強い。
川島「、、なんや、今日稲荷可愛えな」
紬「!?」
かわ!?
紬「ふぇ!?」
治「・・・」
私と川島君の間に入った治君で彼の姿が見えない。
川島「!、侑?いや治?」
治「治の方や」
川島「同じ紅組やし頑張ろうな」
治「おん」
川島君はそのまま行っちゃった。
角名「あいつクラスメイト?」
紬「うん」
角名「仲いいんだ?」
紬「仲いい?のかな?リレーでバトン渡す人だから練習に何度か付き合ってもらってから、少し話すようになったかな」
治「紬ちゃん」
紬「ん?」
治君が私の方に向き直って、髪留めに触れた。
治「壊れてもまた新しいの買うたるから、付けとって」
紬「こ、壊れないように付けてるね!」
治「!、、うん」
なんでか治君が嬉しそうに笑ってて倫君から何か言われてた。
角名「あ、あとさ」
紬「?」
角名「最初開会式だからたぶんクラスTシャツじゃなくて体操着だと思うよ」
紬「!き、着替えてくる!」
治君と倫君が笑ってるのが聞こえる。種目以前の問題だった!
パン!
は、始まってしまった。徒競走から始まってついには二人三脚。
侑「紬ちゃーん、練習の成果見せたろー」
紬「う、うん」
侑「転びそうになったら俺にしがみついてええから」
紬「う、うん」
侑「・・緊張しとる?」
紬「う、うん」
侑「・・紬ちゃん」
紬「!」
侑君がしゃがんで目線を合わせてくれた。
侑「あれだけ練習してんやで?大丈夫や」
紬「!うん」
侑「それになぁ」
キュ
繋がれた足。
侑「隣は俺やで?紬ちゃんが本気を出すんに申し分ない采配とちゃう?」
紬「!・・頑張る」
侑「おん」
もうすぐ、私たちの番。前の組が走り出して、私たちが位置につく。
「ええか?位置について、よーい」
侑「!」
私は侑君に回した手に力が籠った。
パンッ
侑「せーの」
紬「!」
スタートは右から。そう決めて練習してきた。ちゃんと、走れてる。
「きゃ-アツムー!!」
「ええぞ!!」
っ、ゴールまだ?
紬「!」
肩に置かれた侑君の手に少し力が入った。頑張れって言われてるみたい。
ーー宮侑・稲荷紬の1組ペアが2位でゴール!!!ーー
放送される声と息を吐くので一杯一杯。
侑「紬ちゃん!2位やで!俺、練習始めたとき転ばんようにゴールせなな、って思ってたんやけど、さっきはどれだけ早くゴールできるやろか、って思ってやったで!」
紬「!」
侑「すごいなぁ紬ちゃん!」
侑君は優しい。
紬「侑君」
侑「ん?」
紬「侑君が一緒に走ってくれて、よかった。ありがとう」
侑「!俺も、紬ちゃんで良かったで」
これ言うたのサムには内緒な。そう言って笑ってくれる侑君。
「侑!稲荷さん!すごいで!」
「よかったで!」
クラスの人達からもそう言われて嬉しかった。
侑「あ、そうそう」
紬「?」
侑君が耳元で内緒話をするように言った。
侑「歩幅のことな、サムに聞いてん」
紬「!」
侑「紬ちゃんの歩幅に合わせるより、少し歩幅狭くして回転数上げた方がええよ、って。その方が紬ちゃん走りやすそうやって」
治君が?
侑「癪やけど、サムの力もあんねん」
そう言って行ってしまった侑君。何となく視線を投げたところに、侑君とそっくりな、でも違う彼がいた。
紬「・・ありがとう」
伝わったのかわからない。でも治君は笑顔で頷いてくれた。
治side
銀島「き、緊張するなぁ」
治「なんでお前が緊張すんねん」
二人三脚でゴールを目指すその競技を眺めていると銀が俺の隣に座った。お前紅組ちゃうやろ。
銀島「侑が紬ちゃんのことあれだけ話せば気にもなるわ!」
アイツのせいやな。
銀島「お、あそこや。背ぇ高いからすぐ分かんな」
銀はそう言うたけど、俺は紬ちゃんの方が先に見つかった。緊張してんなぁ。
銀島「なんつーか、意外やな」
治「?」
銀島「治ってもっと淡々としとると思っとったんや。だから紬ちゃんって意外やなって」
治「せやなぁ、確かに俺他人の面倒見るほどお人好しでも世話好きでもない。でもなぁ」
パンッ
治「例外って存在するんやで」
銀島「!」
治「見とったら自然と手を貸したなるって、一種の才能やな」
銀島「・・せやな。あの侑が付き合うてるんやから、その才能は一級品と違う?」
治「間違いないわ」
ツムと2位でゴールした紬ちゃん。すごいなぁ、紬ちゃんは。
銀島「おぉ!2位や!!」
治「でも、それだけやない」
銀島「?」
紬ちゃんがこっちを見たんが分かった。
紬「・・ありがとう」
ちゃんと伝わっとるよ、紬ちゃん。
「治君!次クラス対抗リレーやから整列しろって言うてるよ」
「行こー」
クラス対抗リレーか。チームとは別にわざわざあるんは、きっとクラスの団結とかいうやつやろ。
「治君クラスTシャツに着替えへんの?」
治「あ、忘れとった」
テントに戻って上を脱ぐ。
「きゃー」
「治君かっこええね!」
紬ちゃんと同じクラスやったら、このTシャツに彼女の名前があるんやろな。
川島「稲荷!」
あ、今朝のアイツや。
紬「か、川島君」
川島「さっきのすごかったで!リレーでも練習の成果だそうな!」
紬「う、うん。頑張ります」
川島「だから敬語ええって」
こいつ明らかに紬ちゃんと距離縮めようとしてるな。
「治ー行こー」
「治君めっちゃ足早いもんね」
あー、紬ちゃんが同じクラスやったらなぁ。