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夏休み

治side

侑「あかーん、もう無理や」

ツムと同意見や。でももうすぐ期末試験やし。

侑「紬ちゃーん、もう俺無理やー」

治「紬ちゃんに絡むんやない。自分で何とかせえや」

侑「何とかできたら俺はここにはおらん!」

角名「威張るなよ」

銀島「でもI・H前やのになぁ」

角名「俺ら学生だから仕方ないよ」

俺らの会話で?を浮かべとる紬ちゃん。

治「インターハイ。バレーボールの全国大会や」

紬「ぜ、全国、すごいね」

侑「稲荷崎は全国常連やで」

めちゃくちゃ驚いとる。やっぱり紬ちゃんはバレーには興味ないんかな。

侑「あーー、バレーしたい」

治「うっさいわ!言えば言うほどしたなるやろ!」

紬「侑君、」

侑「んー」

紬「出られなかった選手に失礼にならないように、何より、侑君が試合までに満足できる練習が出来るように、その、今、頑張ろう?」

侑「・・」

紬「侑君が分かるまで、教えさせて?」

あくまでもツムが教えてもらう立場で紬ちゃんが教える立場でやのに、なんやのそれ。バレーを思い切りやれるようにサポートさせてくれ、言うことやろ?紬ちゃんは意図して言うてる訳やないと思うけど、俺らからしたらそうにしか聞こえへん。ツム、やられとるな。

侑「、、不可抗力や」

治「黙れクソツム」

紬「?」

別にお前だけに言うたんとちゃうぞ。

侑「あー、紬ちゃん」

紬「?」

侑「よろしくお願いします」

紬「!、うん。侑君、基本は出来てるから大丈夫だよ」

なんで、ツムばっかり・・・。あかん、気にしたら負けや。紬ちゃんが俺らに時間割いてくれてんのは事実なんやから、やらんと。

侑「さっすが!俺!」

角名「紬がいたからでしょ」

紬「う、ううん、侑君の力だよ」

銀島「甘やかしたらあかんで」

ッチ、喧しい奴やな。

紬「治君」

治「!」

ツムに文句を言おうとした瞬間、口の中に甘いもんが広がった。

紬「ずっと頑張ってる、から」

治「、、美味い」

紬「生チョコ、作ったの」

紬ちゃんの手作りお菓子、最高や。でも

治「・・紬ちゃん」

紬「なに?」

紬ちゃんはお菓子より美味しそうやねん。

治「英語、全部終わってん。全部合ってたら、ご褒美くれへん?」

紬「ご褒美?」

侑「なんやそれ!俺も欲しい!」

治「お前は紬ちゃんに聞きながらやったやつやんか!」

ご褒美という言葉に紬ちゃんの視線がまた生チョコに向かったのが分かった。それも嬉しいねんけど、ちゃうねん。

治「それ以外な」

紬「!」

驚いとるなぁ紬ちゃん。紬ちゃんが手作りのお菓子持って来てくれた時は他に手持ちがないの知ってるで。

治「丸付けして」

おずおず受け取ってくれた。

角名「紬、嫌なら断っていいんだよ。試験前に試験勉強するのなんて当たり前なんだから」

銀島「せや、甘えんな宮ツインズ」

侑・治「「こいつと一緒にすな!!」」

直ぐに紬ちゃんに頼っとるだけのくせに、一緒にされるんは心外や!

紬「あ、」

治「?」

紬「、ここ、スペルミス」

治「嘘やん!!?」

侑「ざまーみろ!」

紬「惜しかったね」

えー、もう無理。俺には勉強の才能はないんや。疲れたし、もう試験とかどうにでもなれ。知ったことやない。

治「・・・」

もう帰って寝ようか。

治「!」

紬「スペルミス以外、全部合ってるよ。すごいね」

つ、紬ちゃんが俺の頭を撫でとる!?

治「っ!!」

てか、近っ!!?

紬「、ごめん、馴れ馴れしくしてしまいました」

治「ち、違うねん!ちょ、ちょっとびっくりしただけや」

あかん、失敗した。もう少しそのままでおれば良かったっ!!

侑「紬ちゃんは甘々やなぁ。それミスしてたのにご褒美あげたらあかんよー」

紬「ご褒美?」

俺、単純なんかな。もう少し頑張ろ。



銀島「やべ、俺そろそろ帰るわ」

角名「俺も。侑たちは?」

侑「俺も帰るわ。腹減ってん」

治「バレーしてる時以上に腹減るよな。紬ちゃんは?帰らへんの?」

俺は完全に帰るつもりやった。

紬「うん、あと少しだけやってから帰るよ」

銀島「うはー、流石学年1位やな」

ってことはこんな暗い中帰るん?

治「・・なら、俺も残る」

紬「え?」

治「俺おったら邪魔?」

紬「そ、そんなことないけど・・お腹減ってるんじゃない?」

治「飯食べたら寝てしまいそうやから、やっぱりやってく」

それに、紬ちゃんと2人になれるしな。

侑「なら先帰るでー」

治「おん」

侑「紬ちゃんありがとうな!明日もよろしゅう!」

紬「うん、また明日ね」

角名「帰り気を付けて」

紬「うん、倫君たちも」

銀島「治!ちゃんと紬ちゃん送って帰るんやで!」

治「わかっとる」

銀島「ならええ!じゃあな紬ちゃん」

紬「う、うん」

ようやく煩いのが帰って行ったわ。

紬「治君、結君の言ってたこと気にしないで。終わったら好きなタイミングで帰っていいからね」

治「送る」

紬ちゃんが何と言おうとこれは譲れん。それ以上紬ちゃんは何も言って来んやった。



紬「治君」

治「ん、、ん?」

んー?どこやここは・・・俺何してたんやっけ。

紬「ふふ、おはよう」

紬ちゃん?おはよう?

治「・・!寝てもうてた!」

紬「きっと、疲れてたんだよ。家に帰ったらご飯たくさん食べてたくさん寝て」

治「ハイ、、」

何てことや。頑張ってる紬ちゃんの隣で呑気に寝てまうとわ。

紬「・・落ち込んでるの?まだ試験まで時間はあるよ」

治「ちゃう」

紬「?」

治「紬ちゃんが頑張ってる隣で、寝てしもたから、」

目の前で寝られるより、大人しく帰ってもらった方が良かったやんな・・。

紬「でも、一緒にいてくれた」

治「!」

紬「侑君たちと帰ることもできたのに、いてくれた、のかな、って・・ちょっと思ったり」

いてあげた、っていうより俺が居りたかっただけなんやけど。でも伝わるんやな。

治「・・なんや、変なところ鋭いんやなぁ紬ちゃんは」

紬「!」

治「忘れ物ない?」

紬「うん、大丈夫」

だいぶ、涼しいな。流石にこの時間に学校に残っとる奴は見かけんな。

治「試験終わったら夏休みやな。まぁ、俺らはずっと部活なんやけど。紬ちゃんは夏休み予定あるん?」

ここ最近、紬ちゃんの可愛さに気づき始めたやつが居るらしい。ツムが言うとった。

紬「クラスの人から海に誘われてたくらいかな?」

治「海?」

紬「うん。夏って言えば海だ、って」

治「行くん?」

紬「治君のおかげで少し泳げるようになったから、行ってみようかなぁ」

治「あかん」

紬「?」

クラスの人って、それ男やろ?海いうたら、水着やし。

紬「治君?」

アカン。絶対に阻止せな。

治「・・海は波もあるし、プールとはちゃうやん?」

おかしくない理由やんな?

紬「うん、そうだね。もう少し泳げるようになってから行く。それに部活やってない人は夏期講習もあるし」

やっぱり、心配や紬ちゃん。

治「紬ちゃん」

俺は簡単に海に誘ったりできんけど、俺も誘ってみてもええかな?

治「夏休み、よかったら、バレー見に来ん?」

紬「バレー・・」

や、やっぱりバレーには興味あらへんのかな。

治「I・H終わったら平日は学校の体育館で練習やし、その、勉強の気晴らし程度でええし」

紬「見てみたい」

治「!」

紬「でも、いいの?」

治「なにが?」

紬「真剣にやってる人達の所に、そんな感じで見に行っても・・」

そんなこと気にしてたら、いつも応援言うて騒いでる子らはどうなんねん。

治「俺が、紬ちゃんに見に来て欲しいねん。だから、来て?」

紬ちゃんがバレーボールに少しでも興味を持ってくれれば俺も嬉しい。

治「紬ちゃん?」

紬「う、うん。行かせていただきます」

試験、頑張ろう。
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