無印
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午後の国語の授業はいつも眠たい。
先生の声質のせいか、はたまたみんなの眠気が伝染してきているのか。
教室全体が切り取られたみたいに、だんだんとグラウンドの喧噪まで遠くなっていって。
「なあ」
「は、はいっ!?」
いきなり話しかけられ、声がひっくり返る。
「しー、静かに」
隣の席の成神くんが、人差し指を唇にくっつけて、いたずらっぽく笑っている。
子どもみたいに笑う成神くんに、どきっとした。
「あ、はい…。あの、何ですか?」
紫の髪の毛が、少し開いた窓からの風にそよいだ。
成神健也くん。ひそかに私が好きな人。
「うん、あのさ、ノート貸して?」
私は目をぱちぱちと瞬く。
「俺、目悪くってさ さっきの文字見えなかったんだよね~」
だったら、何で一番後ろのこの席にきたんだろう。
席替えは意外とそんなに融通の利かないものではなく、視力によっては前後を選べたような…。
でも、私は快くノートを成神くんに渡す。
さっきの板書は写し終わったし、少しくらいなら大丈夫だろう。
「いいですよ、もう写し終わりましたし。どうぞ」
「ん、サンキュー」
「…ぁ」
ノートを渡すときに手が触れてしまって、思わず声が漏れた。
聞こえていませんように。どきどきしているこの胸の音も。
しばらくして、成神くんからノートが返ってきた。
「ありがと、助かった」
にっこり笑う成神くんに、また胸が高鳴る。
やさしいな、私みたいな暗い子にまでそんな風に笑いかけて。
私は何の気なしに手元のノートに目を落とし、先ほどの続きを書こうとノートを開いた。
ノートの左端に、見慣れない文字が目の端を掠めて、不思議に思って視線をそちらにやる。
成神くんの字で、小さく、『好きです』と書かれていた。
(隣に目をやると、あからさまに視線を逸らした君の耳が赤くて)
先生の声質のせいか、はたまたみんなの眠気が伝染してきているのか。
教室全体が切り取られたみたいに、だんだんとグラウンドの喧噪まで遠くなっていって。
「なあ」
「は、はいっ!?」
いきなり話しかけられ、声がひっくり返る。
「しー、静かに」
隣の席の成神くんが、人差し指を唇にくっつけて、いたずらっぽく笑っている。
子どもみたいに笑う成神くんに、どきっとした。
「あ、はい…。あの、何ですか?」
紫の髪の毛が、少し開いた窓からの風にそよいだ。
成神健也くん。ひそかに私が好きな人。
「うん、あのさ、ノート貸して?」
私は目をぱちぱちと瞬く。
「俺、目悪くってさ さっきの文字見えなかったんだよね~」
だったら、何で一番後ろのこの席にきたんだろう。
席替えは意外とそんなに融通の利かないものではなく、視力によっては前後を選べたような…。
でも、私は快くノートを成神くんに渡す。
さっきの板書は写し終わったし、少しくらいなら大丈夫だろう。
「いいですよ、もう写し終わりましたし。どうぞ」
「ん、サンキュー」
「…ぁ」
ノートを渡すときに手が触れてしまって、思わず声が漏れた。
聞こえていませんように。どきどきしているこの胸の音も。
しばらくして、成神くんからノートが返ってきた。
「ありがと、助かった」
にっこり笑う成神くんに、また胸が高鳴る。
やさしいな、私みたいな暗い子にまでそんな風に笑いかけて。
私は何の気なしに手元のノートに目を落とし、先ほどの続きを書こうとノートを開いた。
ノートの左端に、見慣れない文字が目の端を掠めて、不思議に思って視線をそちらにやる。
成神くんの字で、小さく、『好きです』と書かれていた。
(隣に目をやると、あからさまに視線を逸らした君の耳が赤くて)
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