春風が連れてくる
あなたの名前は?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
06 気付いた
昨日はあまりよく眠れなかった。
あのときのことが何度もフラッシュバックしてしまって、なかなか寝付けなかったのだ。
「うぅ… きついよー…」
もぞもぞと布団の中でのたうち回る。
全く、端から見たらバカなんだろうな、とか思いながらうだうだしている私。
この季節の布団は危険だね、ほんと。
抜け出せない甘い罠です…。
あ、お日様の良いにおいがする。
「ほら、遅刻するわよー?」
「ふぁーい…」
あ、眠くなってきた。
このままでは寝てしまいそうだったので、無理矢理その罠から逃れる。
…でもやっぱ寒いよ…、うん…。
誘惑に負けそうになりながらも、制服に着替え、準備を済ませて外へ出る。
通い慣れたこの道は、どこか新鮮味に欠ける気がする。
けれど、そこも含めて、何だか愛着すらある。
…変な私、寝不足のせいかな。
頭を軽く振ってその考えを追い払った。
と、突然あのことを思い出してしまった。
鬼道くんの、あの声や温もり。
…え、本当に私どうしたんだろう。
何だか私じゃないみたいだ。
「おはよ、理桜」
「えっ、あ、おはよう」
「え、どしたの? 私こっちから来たよ?」
「いや、えっと、うん…」
友達が私に挨拶をしてくれた。
え、目の前の道から?
私はそれどころではなく、気付いていなかった。
「ご、ごめん…」
「や、謝らなくて良いし。 …なあに理桜さん、悩み事ですか?」
私の顔をのぞき込んで、心配そうにそう言ってくれた。
ありがとう、助かるよ。
とりあえずこの謎の出来事を話して、楽になってしまおうと考えた私は、この友達に洗いざらい吐いてしまうことにした。
__「…なるほど、分からん」
「えっ」
友達は何でも無い顔でさらっとそう言った。
そっか良かった、さすがにこの謎は解明できないと、
「こんなの分かりきってるじゃん。何で気付かないかな、理桜」
「へ?」
はぁ、と大きく溜息を吐かれてしまった。
…え、どういうこと?
「その鬼道くんて人、絶対理桜のこと好きだよ」
「え、ええぇ!?」
「しかも、理桜も好きなんでしょ。鬼道くんのこと」
「え、え!?」
私は初めて知ったその事実にパニックだ。
ど、どうしたらそんな考えに至るんだろう?
「あのさ、それはさあ、あまりにも無自覚すぎるよ」
何だか白い目で見られている気がする。
うぅ、分からないものは分からないんです…。
「理桜、あんた可愛いんだから」
「ぅえ!?」
その思いがけない言葉に、私は奇声を発してしまっていた。
私が、そんなまさか。
「…無自覚にも程があるってものよ、ほんとに。 いい? そのたまにする上目遣いとか天然発言とか、結構威力あるんだからね」
「う、うわめづかい…?」
「そう。 見上げたりとかしてない?」
「え、や、私身長低いから…」
友達は、大きく溜息を吐いた。
そしてそのあとに、私に笑いかけた。
「はは、理桜に言っても仕方ないよね、うん。 あとで妹ちゃんに声かけとくわ」
「えっ、 いや、でも、」
「分かってるって。 でも理桜の妹でもあり、鬼道くんの妹でもあるんでしょ?」
「う、うん…」
「大丈夫、変なことは言わないから」
そう言い、何だか企んでいるような笑顔をしている。
うーん、信じても良いのかな。
私はそう思ったけれど、すぐに打ち消す。
私の友達だ、大丈夫に決まってる。
「う、うん」
「じゃ、先行っとく! またあとでね!」
友達は軽く手を振り、そして駆けて行った。
もしかしたら、サッカー部の朝練に行ったのかもしれない。
…私も、行こうかな。
なんて考えて、ふと我に返り恥ずかしくなって顔が真っ赤になった。
もう! こんなになっちゃうのも、全部鬼道くんのせいだ!
__「え、また私何かしたっけ…」
「あ、あはは… 春奈ちゃん、頑張って」
何故か知らない先輩に呼び出された。
そろそろ風丸先輩も変な顔してるよ、どうしよう。
私はびくびくしながらも、行くことにした。
あ、向こうに人影が見える、きっとあの人だ。
勇気を出して声をかけてみる。
「…えっと、」
「あぁ、春奈ちゃんだね?」
「え…?」
こちらに気付くとすぐにそう言ってきた。
え、何で私の名前を知っているの…?
あからさまに訝しんでいたのだろう、その人は慌てて弁明した。
「怪しい人じゃないよ、うん。 理桜のクラスメイトなんだ」
「あ、そうですか」
何だ、お姉ちゃんのクラスメイト…。
しかも女の先輩、何だ、何も怖いことなんて無かった。
「信じてくれた?」
「もちろんです」
「ならよかった、 あの、早速本題に入りたいんだけど…」
そして、その人は私に一通り説明をしてくれた。
何の説明かって?
お兄ちゃんとお姉ちゃんの関係について、かな。
「__というわけ」
「あ、え、そうなんですか!? …あ、あのときのは」
私ははっとした。
数日前、お姉ちゃんが鼻歌を歌いながら帰宅してきたときのことを。
なるほど、あれはお兄ちゃんと何かあったからなのか。
そして昨日の動揺ぶり。
全てを総合すると合点がいく、お姉ちゃん、恋をしてたんだ。
「思い当たることでもあった?」
「い、いえ、 …ちょっと」
「そう」
そう言ってその人はくすくすと笑った。
何が面白いのかよく分からなかったけど、でもあの話しぶりからするとお姉ちゃんは普段から天然なことしかしてないんだな、っていうのが分かってるみたいだったから、予想がついて笑ったんだと思う。
ていうかお姉ちゃん、クラスでも安定した天然なのね。
「そしてね、そういうわけだから、こういうことを__」
「__あぁ、わかりました」
私たちは暗黙の了解?とかいうやつをして、別れた。
計画というか、どっきりみたいなのって楽しい。
わくわくしてしょうがなくて、ついついハミングをしてしまう。
お兄ちゃん、お姉ちゃん、大好きだよ!
末永く爆発してね(お幸せにね)!
昨日はあまりよく眠れなかった。
あのときのことが何度もフラッシュバックしてしまって、なかなか寝付けなかったのだ。
「うぅ… きついよー…」
もぞもぞと布団の中でのたうち回る。
全く、端から見たらバカなんだろうな、とか思いながらうだうだしている私。
この季節の布団は危険だね、ほんと。
抜け出せない甘い罠です…。
あ、お日様の良いにおいがする。
「ほら、遅刻するわよー?」
「ふぁーい…」
あ、眠くなってきた。
このままでは寝てしまいそうだったので、無理矢理その罠から逃れる。
…でもやっぱ寒いよ…、うん…。
誘惑に負けそうになりながらも、制服に着替え、準備を済ませて外へ出る。
通い慣れたこの道は、どこか新鮮味に欠ける気がする。
けれど、そこも含めて、何だか愛着すらある。
…変な私、寝不足のせいかな。
頭を軽く振ってその考えを追い払った。
と、突然あのことを思い出してしまった。
鬼道くんの、あの声や温もり。
…え、本当に私どうしたんだろう。
何だか私じゃないみたいだ。
「おはよ、理桜」
「えっ、あ、おはよう」
「え、どしたの? 私こっちから来たよ?」
「いや、えっと、うん…」
友達が私に挨拶をしてくれた。
え、目の前の道から?
私はそれどころではなく、気付いていなかった。
「ご、ごめん…」
「や、謝らなくて良いし。 …なあに理桜さん、悩み事ですか?」
私の顔をのぞき込んで、心配そうにそう言ってくれた。
ありがとう、助かるよ。
とりあえずこの謎の出来事を話して、楽になってしまおうと考えた私は、この友達に洗いざらい吐いてしまうことにした。
__「…なるほど、分からん」
「えっ」
友達は何でも無い顔でさらっとそう言った。
そっか良かった、さすがにこの謎は解明できないと、
「こんなの分かりきってるじゃん。何で気付かないかな、理桜」
「へ?」
はぁ、と大きく溜息を吐かれてしまった。
…え、どういうこと?
「その鬼道くんて人、絶対理桜のこと好きだよ」
「え、ええぇ!?」
「しかも、理桜も好きなんでしょ。鬼道くんのこと」
「え、え!?」
私は初めて知ったその事実にパニックだ。
ど、どうしたらそんな考えに至るんだろう?
「あのさ、それはさあ、あまりにも無自覚すぎるよ」
何だか白い目で見られている気がする。
うぅ、分からないものは分からないんです…。
「理桜、あんた可愛いんだから」
「ぅえ!?」
その思いがけない言葉に、私は奇声を発してしまっていた。
私が、そんなまさか。
「…無自覚にも程があるってものよ、ほんとに。 いい? そのたまにする上目遣いとか天然発言とか、結構威力あるんだからね」
「う、うわめづかい…?」
「そう。 見上げたりとかしてない?」
「え、や、私身長低いから…」
友達は、大きく溜息を吐いた。
そしてそのあとに、私に笑いかけた。
「はは、理桜に言っても仕方ないよね、うん。 あとで妹ちゃんに声かけとくわ」
「えっ、 いや、でも、」
「分かってるって。 でも理桜の妹でもあり、鬼道くんの妹でもあるんでしょ?」
「う、うん…」
「大丈夫、変なことは言わないから」
そう言い、何だか企んでいるような笑顔をしている。
うーん、信じても良いのかな。
私はそう思ったけれど、すぐに打ち消す。
私の友達だ、大丈夫に決まってる。
「う、うん」
「じゃ、先行っとく! またあとでね!」
友達は軽く手を振り、そして駆けて行った。
もしかしたら、サッカー部の朝練に行ったのかもしれない。
…私も、行こうかな。
なんて考えて、ふと我に返り恥ずかしくなって顔が真っ赤になった。
もう! こんなになっちゃうのも、全部鬼道くんのせいだ!
__「え、また私何かしたっけ…」
「あ、あはは… 春奈ちゃん、頑張って」
何故か知らない先輩に呼び出された。
そろそろ風丸先輩も変な顔してるよ、どうしよう。
私はびくびくしながらも、行くことにした。
あ、向こうに人影が見える、きっとあの人だ。
勇気を出して声をかけてみる。
「…えっと、」
「あぁ、春奈ちゃんだね?」
「え…?」
こちらに気付くとすぐにそう言ってきた。
え、何で私の名前を知っているの…?
あからさまに訝しんでいたのだろう、その人は慌てて弁明した。
「怪しい人じゃないよ、うん。 理桜のクラスメイトなんだ」
「あ、そうですか」
何だ、お姉ちゃんのクラスメイト…。
しかも女の先輩、何だ、何も怖いことなんて無かった。
「信じてくれた?」
「もちろんです」
「ならよかった、 あの、早速本題に入りたいんだけど…」
そして、その人は私に一通り説明をしてくれた。
何の説明かって?
お兄ちゃんとお姉ちゃんの関係について、かな。
「__というわけ」
「あ、え、そうなんですか!? …あ、あのときのは」
私ははっとした。
数日前、お姉ちゃんが鼻歌を歌いながら帰宅してきたときのことを。
なるほど、あれはお兄ちゃんと何かあったからなのか。
そして昨日の動揺ぶり。
全てを総合すると合点がいく、お姉ちゃん、恋をしてたんだ。
「思い当たることでもあった?」
「い、いえ、 …ちょっと」
「そう」
そう言ってその人はくすくすと笑った。
何が面白いのかよく分からなかったけど、でもあの話しぶりからするとお姉ちゃんは普段から天然なことしかしてないんだな、っていうのが分かってるみたいだったから、予想がついて笑ったんだと思う。
ていうかお姉ちゃん、クラスでも安定した天然なのね。
「そしてね、そういうわけだから、こういうことを__」
「__あぁ、わかりました」
私たちは暗黙の了解?とかいうやつをして、別れた。
計画というか、どっきりみたいなのって楽しい。
わくわくしてしょうがなくて、ついついハミングをしてしまう。
お兄ちゃん、お姉ちゃん、大好きだよ!
末永く爆発してね(お幸せにね)!