GO
ある日曜日の午後、ぽかぽかと温かい日差しの中。
サスケと剣城と俺で散歩に来ていた。
久しぶりに練習がなくて、暇だったから剣城を誘ったんだ!
1発でOKだったよ、えへへ。
でも、優一さんのお見舞いに行ってからだから、少し遅くなったけど。
一緒に行ったら喜んでもらったよ! 優しいお兄さんだよね、本当に。
優一さんの前でしか見せない、剣城の見せる顔がちょっとだけ子どもっぽくて、
剣城も弟なんだなって思うと同時に、ちょっとだけ落ち着かなくなった。
あれって何だったんだろう、って考え事をしていたのがサスケにバレたのか、
ぐいぐいリードを引っ張り始めて、俺は思わず声を出す。
「わあっ!」
「あ?」
いつもの散歩道をどんどん逸れて、サスケはだんだんスピードを上げていく。
ぐいぐい引っ張られるリード、握っているだけで精一杯。
「おい松風」
剣城が後ろから、珍しく焦ったような声を出しながら追いかけてきて。
でもいっぱいいっぱいの俺は、それ気づいていても何にも返すことができなかった。
サスケってばこんなに速く走れるなんて知らなかったよー!
__気づいたら公園に来ていて、サスケはひとしきり走って満足したのか、
ベンチの横に丸くなって、日向ぼっこを決め込んでしまった。
ぜえはあと肩で息をしている俺と対照的に、すやすや寝息を立て始めている。
同じく肩で息をしている剣城と目が合って、
何だかおかしくなって、二人して声を出して笑っちゃった。
サスケがちゃんとベンチ横に落ち着いてくれてよかったよ、なんて言いながら、
俺たちは並んでベンチに座って、よく晴れた青空を見上げた。
「いい天気だね」
「…ああ」
剣城はそう相槌を打ったっきり、黙り込んでしまった。
でも不思議と嫌な感じはしなくて、むしろ無言の風が心地よくて、
いつの間にか俺の意識はちょっとずつ宙に浮いていった。
くっついた肩があったかい。安心する。
「松風?」
遠くで剣城の声がする。
二人のときにしか聞けない、低くて優しい、俺を呼ぶ声がする。
「…寝たのか」
まどろんでいる俺の頬に、そうっと剣城の手が触れた。
剣城の手はあったかくて、ちょっと俺より大きくてちょっと皮が厚い。
もっと触ってもらいたくて、俺は剣城の手にすり寄る。
するとその手は少しだけこわばって、でもちゃんと撫でてくれた。
しばらくして俺が起きないと分かったのか、むに、と片手で顔を掴んできた。
その触れ方はさっきより全然遠慮がなくて、でも全然不快じゃなくて。
剣城の手に安心した俺が本格的に眠りに落ちようとしたその時だった。
目の前が陰って、俺が呑気になんだろう、と考えている間に。
柔らかくてあったかいなにかが俺の唇を掠めて、ちゅ、と音を立てた。
え?
俺は混乱しながら、でも絶ッ対に起きちゃダメだって思った。
だって俺が起きてるって知ったら、剣城はきっと顔を真っ赤にする。
そしてしばらく俺と口をきいてくれなくなっちゃうから。
バレないように、心臓を鎮めようと深呼吸をする。
俺はちゃんと眠ってて何にも知らないんだって自分に言い聞かせながら。
剣城の手が頬を離れて、髪の毛に触れた。
あんまりその手が優しくて、さっきまで抱えていたもやもやが消えていくのを感じる。
頭を撫でられてるのをいいことに、俺は剣城の肩口に顔を埋めた。
頭の上で、ふっと剣城が笑ったように息を吐いたのが分かる。
もしかして、起きてるのなんて剣城には最初からバレてたのかな。分かんないけど。
剣城にバレないように薄目でサスケの方を見ると、やれやれ、みたいな顔をしてまた眠りにつくのが見えた。
サスケと剣城と俺で散歩に来ていた。
久しぶりに練習がなくて、暇だったから剣城を誘ったんだ!
1発でOKだったよ、えへへ。
でも、優一さんのお見舞いに行ってからだから、少し遅くなったけど。
一緒に行ったら喜んでもらったよ! 優しいお兄さんだよね、本当に。
優一さんの前でしか見せない、剣城の見せる顔がちょっとだけ子どもっぽくて、
剣城も弟なんだなって思うと同時に、ちょっとだけ落ち着かなくなった。
あれって何だったんだろう、って考え事をしていたのがサスケにバレたのか、
ぐいぐいリードを引っ張り始めて、俺は思わず声を出す。
「わあっ!」
「あ?」
いつもの散歩道をどんどん逸れて、サスケはだんだんスピードを上げていく。
ぐいぐい引っ張られるリード、握っているだけで精一杯。
「おい松風」
剣城が後ろから、珍しく焦ったような声を出しながら追いかけてきて。
でもいっぱいいっぱいの俺は、それ気づいていても何にも返すことができなかった。
サスケってばこんなに速く走れるなんて知らなかったよー!
__気づいたら公園に来ていて、サスケはひとしきり走って満足したのか、
ベンチの横に丸くなって、日向ぼっこを決め込んでしまった。
ぜえはあと肩で息をしている俺と対照的に、すやすや寝息を立て始めている。
同じく肩で息をしている剣城と目が合って、
何だかおかしくなって、二人して声を出して笑っちゃった。
サスケがちゃんとベンチ横に落ち着いてくれてよかったよ、なんて言いながら、
俺たちは並んでベンチに座って、よく晴れた青空を見上げた。
「いい天気だね」
「…ああ」
剣城はそう相槌を打ったっきり、黙り込んでしまった。
でも不思議と嫌な感じはしなくて、むしろ無言の風が心地よくて、
いつの間にか俺の意識はちょっとずつ宙に浮いていった。
くっついた肩があったかい。安心する。
「松風?」
遠くで剣城の声がする。
二人のときにしか聞けない、低くて優しい、俺を呼ぶ声がする。
「…寝たのか」
まどろんでいる俺の頬に、そうっと剣城の手が触れた。
剣城の手はあったかくて、ちょっと俺より大きくてちょっと皮が厚い。
もっと触ってもらいたくて、俺は剣城の手にすり寄る。
するとその手は少しだけこわばって、でもちゃんと撫でてくれた。
しばらくして俺が起きないと分かったのか、むに、と片手で顔を掴んできた。
その触れ方はさっきより全然遠慮がなくて、でも全然不快じゃなくて。
剣城の手に安心した俺が本格的に眠りに落ちようとしたその時だった。
目の前が陰って、俺が呑気になんだろう、と考えている間に。
柔らかくてあったかいなにかが俺の唇を掠めて、ちゅ、と音を立てた。
え?
俺は混乱しながら、でも絶ッ対に起きちゃダメだって思った。
だって俺が起きてるって知ったら、剣城はきっと顔を真っ赤にする。
そしてしばらく俺と口をきいてくれなくなっちゃうから。
バレないように、心臓を鎮めようと深呼吸をする。
俺はちゃんと眠ってて何にも知らないんだって自分に言い聞かせながら。
剣城の手が頬を離れて、髪の毛に触れた。
あんまりその手が優しくて、さっきまで抱えていたもやもやが消えていくのを感じる。
頭を撫でられてるのをいいことに、俺は剣城の肩口に顔を埋めた。
頭の上で、ふっと剣城が笑ったように息を吐いたのが分かる。
もしかして、起きてるのなんて剣城には最初からバレてたのかな。分かんないけど。
剣城にバレないように薄目でサスケの方を見ると、やれやれ、みたいな顔をしてまた眠りにつくのが見えた。
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