7.硝子瓶と迷い仔の朝
黙々と薬瓶を拭き終えると、ライは最後の一本を棚へ戻した。
曇りひとつない硝子瓶が整然と並ぶ。
ライは額の汗を拭い、小さく息を吐いた。
「終わった……」
ヒイロは調合の手を止めることなく棚へ目を向ける。
「本数は」
「一本も欠けてない」
「配置は」
「元の場所だよ」
「そう」
短いやり取りだけだった。
ライは眉をひそめる。
「それだけ?」
「何か問題でも?」
「いや……」
ライは口をへの字に曲げる。
「頑張ったんだけど、ボク」
ヒイロは薬液をかき混ぜながら答えた。
「頼んだ仕事を終えただけでしょう?それで十分よ」
ライは思わず唸る。
「もっとこう……、褒めるとか」
ヒイロはきょとんとした顔をした。
「どうして?」
「え?」
「仕事を終えたら褒めてもらうものなの?」
真顔だった。
ライは言葉を失う。
横で聞いていたバッドが帽子を揺らす。
「ぎぎ」
(諦めろ。こいつはそういう奴だ)
「……そういう問題なの?」
「ぎぎ」
(そういう問題だ)
ライは大きくため息をついた。
「なんか損した気分だなぁ」
ヒイロはようやく棚を見て、小さく頷く。
「でも、並べ方は悪くないわ。次もその通りにしてちょうだい」
「……はいはい」
素っ気なく返事をしながらも、ライは内心少しだけ肩の力が抜けていた。
認められたのかどうかは分からない。
けれど、やり直しを命じられなかった。
それだけで十分なのだと、この館では少しずつ理解し始めていた。
曇りひとつない硝子瓶が整然と並ぶ。
ライは額の汗を拭い、小さく息を吐いた。
「終わった……」
ヒイロは調合の手を止めることなく棚へ目を向ける。
「本数は」
「一本も欠けてない」
「配置は」
「元の場所だよ」
「そう」
短いやり取りだけだった。
ライは眉をひそめる。
「それだけ?」
「何か問題でも?」
「いや……」
ライは口をへの字に曲げる。
「頑張ったんだけど、ボク」
ヒイロは薬液をかき混ぜながら答えた。
「頼んだ仕事を終えただけでしょう?それで十分よ」
ライは思わず唸る。
「もっとこう……、褒めるとか」
ヒイロはきょとんとした顔をした。
「どうして?」
「え?」
「仕事を終えたら褒めてもらうものなの?」
真顔だった。
ライは言葉を失う。
横で聞いていたバッドが帽子を揺らす。
「ぎぎ」
(諦めろ。こいつはそういう奴だ)
「……そういう問題なの?」
「ぎぎ」
(そういう問題だ)
ライは大きくため息をついた。
「なんか損した気分だなぁ」
ヒイロはようやく棚を見て、小さく頷く。
「でも、並べ方は悪くないわ。次もその通りにしてちょうだい」
「……はいはい」
素っ気なく返事をしながらも、ライは内心少しだけ肩の力が抜けていた。
認められたのかどうかは分からない。
けれど、やり直しを命じられなかった。
それだけで十分なのだと、この館では少しずつ理解し始めていた。
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