閑話.秋の訪問者と、カボチャの焼き菓子

ヒイロは何事もなかったように古文書へ視線を戻す。
フォーンはその横顔を眺めてから、皿を手元へ引き寄せた。

「次は別の味も試してみなさい。カボチャだけでは少し単調になるでしょう」

「はい。次は違う材料も使ってみます」

「楽しみにしているわ」

その言葉に、フォーンの表情がわずかに和らいだ。

一方、ライは二人のやりとりを横目に、皿の上に残った焼き菓子を見ていた。

「フォーン、それも作ったの?」

「はい。まだ少し残っていますよ」

「へえ。いい匂いがするね」

「ライも食べますか?」

「いいの?」

「もちろんです」

フォーンが皿を差し出すと、ライは一つ手に取った。

「いただきます」

ひと口かじり、ぱっと顔を明るくする。

「おいしい!」

「それはよかったです」

館の外では、山の木々が秋の風に揺れていた。

街の賑やかな祭りとは少し違う。
けれど、この館にもいつもとは違う、小さなハロウィンが訪れていた。
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