閑話.秋の訪問者と、カボチャの焼き菓子
「ヒイロ様。玄関に子供たちが来てるよ」
「子供……?珍しいわね」
「ハロウィンのお菓子をもらいに来たみたい。でも、お菓子がなくて」
ヒイロは古文書に挟んでいた栞を戻し、顔を上げた。
「そう。少し待っていなさい」
立ち上がった彼女は、廊下の収納棚へ向かった。
しばらくして戻ってきた手には、個包装の菓子がいくつか入った袋がある。
「来客用に買っておいたものよ。これを渡してあげなさい」
「いいの?」
「子供たちに魔薬を渡すわけにもいかないでしょう」
「それはそうだね」
ライは袋を受け取ると、もう一度玄関へ向かった。
「お待たせ!」
扉を開けて袋を差し出すと、子供たちの顔がぱっと明るくなった。
「わあ、お菓子だ!」
「ありがとう!」
「どういたしまして」
ライは笑って手を振った。
子供たちは嬉しそうに礼を言い、次の家へと走っていく。
扉を閉めたライは、手に残った袋を見下ろした。
中にはまだいくつか菓子が残っている。
「……ハロウィンって、なかなか楽しいね」
そう呟いて、リビングへ戻った。
「渡せたようね」
「うん。ヒイロ様、ありがとう」
「別に構わないわ」
ヒイロはそれだけ答えると、再び古文書を開いた。
その隣では、フォーンが小さな皿を手にしていた。
皿の上には、カボチャの形をした焼き菓子が二つ並んでいる。
「ヒイロ様。少しよろしいでしょうか」
「何?」
「ハロウィンに合わせて、焼き菓子を作ってみたんです。味見をお願いできますか?」
ヒイロは皿に目を向けた。
「フォーンが作ったの?」
「はい。二種類の配合を試してみました」
「そう。では、一ついただくわ」
ヒイロは皿から一つ取り、口に運んだ。
しばらく味わってから、静かに感想を述べる。
「少し甘さが強いわね。生地の風味より、砂糖の方が前に出ているわ」
「なるほど……」
フォーンは彼女の反応を確かめるように、もう一つの焼き菓子を手に取った。
「こちらは砂糖を控えて、カボチャの風味を残すようにしてみました。こちらも試していただけますか?」
「ええ」
ヒイロが手を伸ばそうとするより先に、フォーンが焼き菓子をそっと差し出した。
「どうぞ」
ヒイロは一瞬だけ彼に目を向けたものの、特に気にする様子もなく、そのまま差し出された焼き菓子に口を寄せた。
ひと口かじり、ゆっくりと味わう。
「……こちらの方がいいわね」
「本当ですか?」
「ええ。甘さが控えめな分、カボチャの風味が分かりやすいわ。こちらの配合を基本にした方がいいでしょうね」
「ありがとうございます。参考になります」
フォーンは嬉しそうに微笑んだ。
「子供……?珍しいわね」
「ハロウィンのお菓子をもらいに来たみたい。でも、お菓子がなくて」
ヒイロは古文書に挟んでいた栞を戻し、顔を上げた。
「そう。少し待っていなさい」
立ち上がった彼女は、廊下の収納棚へ向かった。
しばらくして戻ってきた手には、個包装の菓子がいくつか入った袋がある。
「来客用に買っておいたものよ。これを渡してあげなさい」
「いいの?」
「子供たちに魔薬を渡すわけにもいかないでしょう」
「それはそうだね」
ライは袋を受け取ると、もう一度玄関へ向かった。
「お待たせ!」
扉を開けて袋を差し出すと、子供たちの顔がぱっと明るくなった。
「わあ、お菓子だ!」
「ありがとう!」
「どういたしまして」
ライは笑って手を振った。
子供たちは嬉しそうに礼を言い、次の家へと走っていく。
扉を閉めたライは、手に残った袋を見下ろした。
中にはまだいくつか菓子が残っている。
「……ハロウィンって、なかなか楽しいね」
そう呟いて、リビングへ戻った。
「渡せたようね」
「うん。ヒイロ様、ありがとう」
「別に構わないわ」
ヒイロはそれだけ答えると、再び古文書を開いた。
その隣では、フォーンが小さな皿を手にしていた。
皿の上には、カボチャの形をした焼き菓子が二つ並んでいる。
「ヒイロ様。少しよろしいでしょうか」
「何?」
「ハロウィンに合わせて、焼き菓子を作ってみたんです。味見をお願いできますか?」
ヒイロは皿に目を向けた。
「フォーンが作ったの?」
「はい。二種類の配合を試してみました」
「そう。では、一ついただくわ」
ヒイロは皿から一つ取り、口に運んだ。
しばらく味わってから、静かに感想を述べる。
「少し甘さが強いわね。生地の風味より、砂糖の方が前に出ているわ」
「なるほど……」
フォーンは彼女の反応を確かめるように、もう一つの焼き菓子を手に取った。
「こちらは砂糖を控えて、カボチャの風味を残すようにしてみました。こちらも試していただけますか?」
「ええ」
ヒイロが手を伸ばそうとするより先に、フォーンが焼き菓子をそっと差し出した。
「どうぞ」
ヒイロは一瞬だけ彼に目を向けたものの、特に気にする様子もなく、そのまま差し出された焼き菓子に口を寄せた。
ひと口かじり、ゆっくりと味わう。
「……こちらの方がいいわね」
「本当ですか?」
「ええ。甘さが控えめな分、カボチャの風味が分かりやすいわ。こちらの配合を基本にした方がいいでしょうね」
「ありがとうございます。参考になります」
フォーンは嬉しそうに微笑んだ。