14.魔女の館の招かれざる、見習いシスター

霧の中を、二人の人影が歩いていた。

「ねえ、ウィズさん。まだ、着かない?」

先を歩いていたモニカが振り返る。

「まだって言われても、山だからね。道が長いのは仕方ないよ」

ウィズはそう答えながら、周囲を見回した。
木々の隙間から差し込む光は薄く、どこまで行っても同じような景色が続いている。

「でも、噂ではそんなに遠くないって聞いたわ」

「噂なんて、そんなものじゃない?」

「そうかもしれないけど……」

モニカは口を尖らせて少し不満げだった。

「行くと決めたのは君でしょ?僕はあくまで付き添いなんだから」

「ウィズさんの意地悪……」

「で、行くの行かないの?」

「行くから一人にしないでっ」

二人がこの山へ来た理由は、教会で聞いた一つの噂だった。
山の奥に、魔女が住んでいる。
薬を作っているらしい。

それだけなら、モニカも気にはしなかった。
問題は、その薬の値段だった。

「それにしても、薬一瓶で高い値段を取るなんて……」

モニカが思い出したように呟く。

「まぁ、魔女の作る魔薬みたいだからね。高いのは当然かもよ?」

「ウィズさんは魔女さんの味方なの!?」

「会ったこともない人に敵も味方もないでしょ」

 ウィズが呆れたように笑う。

「でも……、魔女だろうと何だろうと相手の足元を見るのはよくないと思う」

「それも噂だからね」

「そう!」

モニカは元気よく頷いた。

「もし本当に困ってる人から高いお金を取ってるなら、ちゃんと言わなきゃ。
 改心してやめてあげてって」

そんなやり取りをしているうちに、霧の向こうに何かが浮かんだ。

「あっ!」

モニカが足を止める。

「見て、ウィズさん!」

「ん?」

木々の向こう。
白い霧の中に、大きな館が建っていた。

「……あれじゃない?」

「きっとそうよ!」

モニカの顔が一気に明るくなり、駆け出した。

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