13.終わりなき訪問の予告

ヒイロは小さく息を吐いた。

「……あれは、薬を渡したから終わり、という客じゃないわね」

ヴァンが廊下の影から静かに姿を見せる。

「また来ると思うか」

「ええ」

ヒイロは即答した。

「ただ、次は今回のようには来ないでしょうね」

ライが首を傾げる。

「どういうこと?」

「相手を見て、やり方を変える男よ」

バッドが低く笑った。

「なるほどな。次はもっと面倒になるってわけか」

「そういうこと」

フォーンが小瓶の置かれていた机へ目を向ける。

「……あの人、ヒイロ様にかなり興味を持っていましたね」

「ええ」

ヒイロは棚の奥へ小瓶をしまい、扉を閉めた。

「だからといって、こちらが合わせる必要はないわ」

そのまま調合室へ向かう。

「仕事は仕事。余計なことを考えるのは、向こうの勝手よ」

館の灯りが一つ、また一つと消えていく。
静けさが戻る。
その静けさの外側でアウグストは、すでに次に訪れる理由を考えている。
ヒイロだけが、それを正確に理解していた。

そして皆が悟っていた。
アウグストは去った。

けれど――
”関係だけが、始まったのだと”。
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