10. 館に響く、新たな足音
その声に反応するように、少年はライへ視線を向けた。
耳、尻尾、揺れる表情。
じっと観察したあと、静かに告げる。
「……認識しました」
「え?」
「館の住人です」
ライは少しだけ肩の力を抜いた。
「そ、そうだよ。ボクはライ」
少年は頷く。
「記録しました」
それだけ言って、再びヒイロへ向き直る。
「僕の名前をお願いします」
ヒイロは少しだけ考え、
「フォーン」
と、あっさり告げた。
「電話から取っただけ。覚えやすいでしょう」
少年はその名を小さく繰り返す。
「フォーン……」
ほんの少しだけ表情が和らいだ。
「ありがとうございます、ヒイロ様」
「気に入ったなら、それでいいわ」
フォーンは静かに一礼した。
それから迷いなく、ヒイロの隣へ歩み寄る。
「今後の行動方針を確認します」
「方針?」
「はい」
少年は淡々と答える。
「創造主であるヒイロ様を、最優先対象として行動します」
ライが目を丸くした。
「えぇ!? もう決めちゃうの!?」
「はい」
即答だった。
ヒイロは肩をすくめる。
「勝手に決めないでちょうだい」
「既に登録済みです」
少しの沈黙。
ライが思わず吹き出した。
「なんか、すごい子だね」
「そうかしら」
ヒイロは楽しげに口元を緩める。
「悪くないわ」
その一言に、フォーンは小さく頷いた。
胸の奥で淡く灯る光が、ほんのわずかに明るさを増す。
もちろん、その理由を彼自身はまだ知らない。
「さて」
ヒイロは二人へ視線を向けた。
「ライ、館を案内してあげなさい」
「うん!」
ライが笑顔で頷く。
「フォーン、こっちだよ」
「了解しました」
フォーンは一歩踏み出す。
だが歩き出す前に、一度だけヒイロを振り返った。
その視線は短く、静かだった。
けれど、その姿を確かめるようでもあった。
ヒイロは小さく笑い、ひらりと手を振る。
「行ってらっしゃい」
「はい、ヒイロ様」
そうして二人は調薬室を後にする。
静かになった部屋で、ヒイロは机の上に残された魔法陣の痕跡を眺め、小さく呟いた。
「……本当に、面白いものを作ってしまったわね」
その予感は、まだ始まったばかりだった。
耳、尻尾、揺れる表情。
じっと観察したあと、静かに告げる。
「……認識しました」
「え?」
「館の住人です」
ライは少しだけ肩の力を抜いた。
「そ、そうだよ。ボクはライ」
少年は頷く。
「記録しました」
それだけ言って、再びヒイロへ向き直る。
「僕の名前をお願いします」
ヒイロは少しだけ考え、
「フォーン」
と、あっさり告げた。
「電話から取っただけ。覚えやすいでしょう」
少年はその名を小さく繰り返す。
「フォーン……」
ほんの少しだけ表情が和らいだ。
「ありがとうございます、ヒイロ様」
「気に入ったなら、それでいいわ」
フォーンは静かに一礼した。
それから迷いなく、ヒイロの隣へ歩み寄る。
「今後の行動方針を確認します」
「方針?」
「はい」
少年は淡々と答える。
「創造主であるヒイロ様を、最優先対象として行動します」
ライが目を丸くした。
「えぇ!? もう決めちゃうの!?」
「はい」
即答だった。
ヒイロは肩をすくめる。
「勝手に決めないでちょうだい」
「既に登録済みです」
少しの沈黙。
ライが思わず吹き出した。
「なんか、すごい子だね」
「そうかしら」
ヒイロは楽しげに口元を緩める。
「悪くないわ」
その一言に、フォーンは小さく頷いた。
胸の奥で淡く灯る光が、ほんのわずかに明るさを増す。
もちろん、その理由を彼自身はまだ知らない。
「さて」
ヒイロは二人へ視線を向けた。
「ライ、館を案内してあげなさい」
「うん!」
ライが笑顔で頷く。
「フォーン、こっちだよ」
「了解しました」
フォーンは一歩踏み出す。
だが歩き出す前に、一度だけヒイロを振り返った。
その視線は短く、静かだった。
けれど、その姿を確かめるようでもあった。
ヒイロは小さく笑い、ひらりと手を振る。
「行ってらっしゃい」
「はい、ヒイロ様」
そうして二人は調薬室を後にする。
静かになった部屋で、ヒイロは机の上に残された魔法陣の痕跡を眺め、小さく呟いた。
「……本当に、面白いものを作ってしまったわね」
その予感は、まだ始まったばかりだった。