外伝.紫の夜に見たもの
衣服を整え、何事もなかったかのように立ち上がったヒイロは、ふう、と小さく息を吐いた。
バッドは自身の体に満ちた確かな共鳴の余韻を感じながら、ベッドの端に腰掛けたままの主を見下ろした。
「落ち着いたか?」
「ええ、契約は問題ないわ。これでまたしばらくは、あなたを都合よく使役できそうね」
「相変わらず容赦ないな。俺様を下僕扱いできるのは、世界中でお前くらいなもんだ」
バッドは呆れたように首を振ったが、その口元には不敵で、どこか満足げな笑みが戻っている。
ヒイロは黒いマントを羽織り直し、振り返ることもなく部屋の出口へと歩み出した。
扉を開ける直前、隙間に隠れるようにしていたライの気配が、弾かれたように小さく後退するのが分かった。ヒイロはあえてその姿を見ることなく、ただ廊下に向かって凛とした声を響かせる。
「さあ、夜はもう更けているわ。明日も早いのだから、さっさと戻って休みなさい、バッド」
「はいはい、仰せのままに」
バッドは一瞬だけ扉の向こうに目を向け、小さく鼻を鳴らした。
肩を竦めてその後ろ姿を追う彼の足取りは、先ほどよりもどこか軽やかだった。
窓の外では、まだ静かな雨が降り続いている。
バッドは自身の体に満ちた確かな共鳴の余韻を感じながら、ベッドの端に腰掛けたままの主を見下ろした。
「落ち着いたか?」
「ええ、契約は問題ないわ。これでまたしばらくは、あなたを都合よく使役できそうね」
「相変わらず容赦ないな。俺様を下僕扱いできるのは、世界中でお前くらいなもんだ」
バッドは呆れたように首を振ったが、その口元には不敵で、どこか満足げな笑みが戻っている。
ヒイロは黒いマントを羽織り直し、振り返ることもなく部屋の出口へと歩み出した。
扉を開ける直前、隙間に隠れるようにしていたライの気配が、弾かれたように小さく後退するのが分かった。ヒイロはあえてその姿を見ることなく、ただ廊下に向かって凛とした声を響かせる。
「さあ、夜はもう更けているわ。明日も早いのだから、さっさと戻って休みなさい、バッド」
「はいはい、仰せのままに」
バッドは一瞬だけ扉の向こうに目を向け、小さく鼻を鳴らした。
肩を竦めてその後ろ姿を追う彼の足取りは、先ほどよりもどこか軽やかだった。
窓の外では、まだ静かな雨が降り続いている。
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