短編:間奏時


 「神託の双子御子」の演説からひと月が経った頃、ボクの耳に一つの吉報が届いた。それはキムラスカ王国からの遣いとして、内密にコモドがダアトを訪れるという話だ。

 それが何故吉報になるかと言えば、ボクにはここ暫く一つの悩みがあったからだ。それを相談するには周囲にいる誰より、かつての仲間より彼が適任に思えたのだ。勿論、こちらから気軽に会いに行けるわけもなく、ボクはその転がり込んできた幸運を密かに楽しみに待った。

 

 

 

*****

 

 

 

 密かに、と言っても長く一人で抱えていた悩みにようやく光明が見えるかと思えば、期待が大きくて外に漏れていたようだった。コモドがダアトを訪れているその日、シンクから指摘を受けてしまった。

「なんでそんなに楽しそうにしてるワケ?」

「えっ」

 コモドを引っ張りにテセの執務室へ向かっている最中、廊下で問われる。指摘を受け、そんなに期待して見えていたかと思う反面で、何故シンクの声が不機嫌そうなのかと首を捻る。まるでボクが楽しそうではいけないようだ。

「楽しいって言うか……まぁちょっと、コモドに用があるからね」

「用ってなに?」

「それは内緒」

「………………」

 シンクに話せるものならばとっくに話している。なので当然秘匿すれば、彼は分かりやすく沈黙した。気に入らない、と顔に書いてありそうだ。

「アンタ勘違いしてるんじゃないの? あの腰巾着はアンタを拐った変態のお仲間なんだよ。味方じゃない。警戒心を持て」

「持ってるよ。味方だとも思ってない。でも適材適所、要所で力を借りることは出来るでしょ?」

「そういう話じゃない」

 バッサリと切り捨てられて首を傾げる。同じ話をしているつもり満々だったのだが、どこで逸れたのだろう。シンクは分かっていない様子のボクに苛立ちを募らせているようで、重い溜め息を吐かれる。

「とにかく。その用とやらにはボクも同席する。あんなチャラチャラした男の前に、アンタみたいな無警戒の馬鹿を一人では立たせられない」

 宣言されて、流石にボクも慌てた。シンクに話せないから内緒なのに、同席を許せる理由もない。何を言っているのか。

「ダメダメ! 同席は無理!」

「はぁ? あの男と一対一で会う気なのか? 護衛もつけないで? キムラスカの遣いだからって信用できると思うな」

「だからそうじゃないってば」

「そう言ってるんだよ。認識を改めろ。あの男と一人で会うな。寧ろ会うな。どうしても会わなきゃいけない時は、今後一生他の人間の眼がある場に限れ」

 何故か強い圧を含めて言われてしまう。要求というよりは命令みたいに強い言葉で、ボクの困惑は深まった。

 しかも、ボクは今それに頷けない。コモドに相談したい内容は、シンクに限らずあまり人に聞かれたくはないのだ。シンクの希望に頷いてしまえば計画が破綻する。

 だからこの話は打ち切ることにした。両の掌を打つ。

「ハイ! この話はおしまい。シンクは仕事に戻って」

「勝手に終わらせるな。護衛役もボクの仕事だ」

「そうだけど、今はいいの! シンクには内緒なんだから同席は出来ません」

「それだよ。ボクには内緒ってどういうこと」

「だから内緒なんだってば」

「納得がいかない。話せ」

 何をそこまで警戒する必要があるのか、シンクの粘りが随分強い。隠されてもいない不機嫌や不愉快が、声や態度からビシバシと伝わってくる。それに、ここまでは寛容に関わっていたボクもちょっと我慢を越えてしまう。

 立ち止まり、びしりとシンクを指して突き付けた。

「あーもう! シンクはなんでも把握したがり過ぎ! 話せないことだってあります!」

 シンクが何かを言おうと口を開くがボクは無視をした。話にならないならこうする他になく、上司としての言葉を叩きつける。

「シンクは今日一日、ボク及びボクの部屋に近寄らないこと! 導師補佐役としての命令です!」

「なっ……!」

「じゃあね!」

「待っ……アリア!」

 名前を呼んでまで引き留められるが、ボクは聞こえなかったみたいに駆ける足を速めた。命令が効いたのか追ってくる気配はなく、少し安堵する。

 全く、信用がないにも程がある。これでもお師様と旅をしている頃にはお師様の代わりにお財布を管理して、食事を用意したりアイテムの買い足し等もしていたのだ。その後は一人で何でも屋を生業に旅をしていたし、今だって補佐役の仕事はサボりつつもきちんとやっている。

 少し過保護が過ぎるのではないかと呆れを滲ませつつ、コモドの回収に急いだ。

 

 

 

*****




 

 

 キムラスカのお遣いとしての用件を終えたコモドを、挨拶もそこそこに自分の執務室へと拉致した。ソファに座らせ、一応の礼儀にお茶を淹れて出した。

 コモドは相変わらずの明るい金髪と人生を楽しんででもいそうな碧眼で、そこにいるだけで空気がなんとなく華やぐ。

「御子様が手ずから淹れたお茶がもらえるなんて光栄だね」

「はいはい」

 よく分からないが下らない冗談を言っているのは分かったので聞き流す。対面のソファに座りつつ、自分の分のお茶に手をつける。美味しい。

「にしても、びっくりしたよー。御子様急に現れてオレの手引っ張っていくんだもん。愛の告白か殺されんのか、内心ひやひやしたね」

「ゴメン。何言ってるかサッパリだけど一つ訂正するなら引っ張ったのは袖」

「そこは手ってコトにしよーよ!?」

 何がこだわりポイントなのか分からず「えぇ……」という顔をしてしまう。コモドはそれにわざとらしく不満そうな顔をしてから、「それで」と話を変えた。

「オレに用ってなに?」

「あーそれね。それ…………そういや、コモドがキムラスカの遣いってどういうことなの?」

「今露骨に話避けたでしょー」

「……そんなことないです」

 うっかり肝心の話を口に出来ず、雑談へ逃げてしまった。それに目敏く気付いたらしいコモドは、しかし「ふーん?」と確信のあるにやけ顔で乗ってくる。

「まぁいーや。その分、御子様と二人っきりで話せる時間が増えるからね」

「はぁ」

「うーわ、マジで気のない返事でオレちゃんびっくりー……」

 よく分からない内にコモドが凹んだようで、肩が落ちる。コモドが凹もうがどうしようが関わりのない話なので、構わず話の続きを催促することにした。

「コモド達って今キムラスカでどういう扱いになってるの?」

「しかも流すのねー……いいけど」

 つまらなさそうにぼそりとコモドは呟くと、テンションを切り替えて疑問に答えてくれる。

「プレストは死んだことになってるし、カルマートも家からは名前を消されたよ。オレは今もブリッランテ伯爵家のご子息サマだけど」

「それってやっぱり、国への貢献度?」

「それもあるしホラ、オレの家って王国の政にふかーく根差しちゃってるからさ。親父が渡りをつけちゃったってハナシよ」

 「仕方ないよね~!」と呆れた様子でわざとらしく笑うが、そのわざとらしさが彼の不服を表しているようだった。そうして自分だけ元の鞘で生き残ってしまったことが嬉しくはないのだ。幼馴染みを裏切った結果なのだし複雑なのだろう、多分。

「プレストもカルマートもオレも、今は国の『お遣い』だよ。オレなんかは内密の遣いだとしてもこーやって堂々と歩けるけど、二人はちょーっとね?」

 コモドの言い回しに納得する。つまり、国の暗部に身を置いているということだ。真逆の立場にいる身では実情は不明だが、自由のなさと仕事の中身が決して綺麗なものでないことは察しがついた。

 家柄を考えればカルマートに関しては寧ろ似合いの話だが、プレストは王国騎士団の騎士だったわけで、その辺りはどうなのだろう。

「いやぁ、参っちゃうよね~。一番貴族らしさが欠けてるオレだけ残っちゃったんだから」

「二人は元気にしてるの?」

「あー、うん。カルマートは前よりやりたいことが出来るようになったって、寧ろ喜んでる」

 まぁ、王国がカルマートを暗部に飼うことにしたのは、その裏側の情報量とツテ、それから彼の才ある譜術研究を国のために活かす目的だろう。カルマートの場合は水の合う環境に放り入れられたに等しい。

「プレストはあんな感じだからさ。立場は違えど国のためにこの身を使えるならって、やる気満々だよ」

 思っていたより強靭なメンタルを伝えられてしまった。が、違和感はない。元々国への忠義に篤かったそうだし、自分のやったことの責を追う覚悟もあった。「あんな感じ」というのがそれを指しているのか、ちょっと頭が残念な作りであるところを指しているのかは迷ってしまうが、些細な話だ。

 お茶を飲んで「成る程ね」と返す。

「じゃあ気にしなくていいんじゃない?」

「え?」

 ボクの言葉にコモドが不思議そうな顔をしたので、伝わらなかったらしい。面倒だが言葉を選び直す。

「二人が今の場所で困ってないなら、コモドが現状を自分のせいだーって思う必要ないんじゃない?ってコト」

「……御子様って軽率だよねー」

「なんでボク今謗りを受けてるの?」

 思ったことを口にすれば、何故かコモドに遠い目をされてしまった。返された評価に納得がいかず眉を寄せるが、コモドは「ありがと」と礼を告げると明るい表情に戻った。

「そういうわけだから、その内バチカルに顔出してよ! プレストが御子様に会いたがっててうるさいんだよね~」

「行く機会があれば考えとく」

「あはは! そうして」

 勿論「行く機会があれば」というのは「行く気はない」ということであり、コモドもそれが分かっているように笑って頷いた。それから改めて感心したように言われる。

「それにしてもホントに御子様、オレもプレストももう怖くないんだね」

 それはケセドニアでも交わした会話だ。何故このタイミングで言われたのか不思議なまま首肯する。

「音素パンチが出来れば問題ないんだっけ」

「よく覚えてるね」

「オレ記憶力にはちょっと自信があってね☆ ───それって、抵抗が出来るから怖くないって意味でいいんだよね?」

 何の確認か分からないが、頷き返す。コモドの表情が変わった。先程まで振り撒かれていた無駄な親しさから、どこか冷たいものへ。碧眼がボクを見据えて細まる。

「それ、よくないと思うな。自分の力を過信するなって誰かに言われたことなかった?」

「言われるけど……過信してるわけじゃないよ。音素パンチは事実として出来る」

「音素パンチじゃなくてね。自分の眼を信じすぎてるってハナシ。そうやって相手の底を知った気になってると、痛い目見るよ。傲慢さは大罪の一種なんだからさ」

「???」

 前提の話が欠けていて上手く飲み込めない。コモドの方も親切に一から説明する気はないようで、それ以上は言葉を重ねてこない。ただ、何か忠告をもらったらしいことは理解した。

(相手の底を知った気になるな、か)

 勿論、人間の気持ちなんて分かりはしない。プレストやコモドが、ボクの知らない思いや考えを持っているのは当たり前だ。それはテセやシンクだってそう。分かっているし、だからといってその分からないものを警戒しても仕方がないと思うのだ。分かった気になるな、と言われても困ってしまう。

「御子様がそんなだと護衛クンも苦労が絶えないね~。今日オレと会うのとか、止められたんじゃないの?」

「え。よく分かったね」

「そこで驚いた顔しちゃうところが御子様のダメなとこだよね~!」

 予想通りと言わんばかりのおどけ方で余計に困惑が深まる。何故ボクよりもコモドの方がシンクの言い分を理解しているのだろうか。解せない。

 改めてシンクの言っていたことを思い出すが、やはり納得できない。コモドは味方ではないし、危害を加えてくるなら実力行使をするだけだ。何が足りていないのか分からない。

「ま。その話は一旦置いておこっか。護衛クンが苦労したってオレには関係ないからね☆」

「あ、うん」

「そろそろ雑談いーい? メインの話に移ってよ」

「ぅ……」

 促されて言葉に詰まる。分かっている。その話をするためにコモドを無理矢理引っ張ってきたのだし、それを話さないと彼は解放されない。

 あからさまに話題を避けてしまったボクに、コモドはここまで比較的善意に近いもので付き合ってくれていたのだ。いい加減話さなくてはならない。深呼吸をして気を落ち着け、どうにか覚悟を決めた。

「あの……ですね」

「うん」

「………………」

「御子様ー?」

 覚悟が秒速でぐらぐらになる気配に危機感を覚える。もうこのぐらぐらの塔が塔の形を保っている内に、飛び降りるしかないかもしれないと思った。ぎゅっと眼を瞑り、勢いに任せて口にする。

「きっ……キスを自分からねだる時ってどういう時ですか……!?」

「…………は?」

 返ってきたのは「何言ってるんだコイツ」という温度の、間の抜けたリアクションだった。言ってしまったボクは今更引き下がれるわけもなく、眼を開けると机越しにコモドに詰め寄った。腹を括って問う。

「だから! 自分からキスをねだる時! なんでそんなことするの!?」

「わー! 待って待って御子様! ストップ! 睨まないで!」

「に、睨んでなんか……!」

 慌てて宥めようとするコモドの様子に、ボクの勢いも落ちる。机に乗り出していた身を引いてソファに座り直した。恥ずかしさと居たたまれなさで落ち着かない。

「うわ。御子様完全に恋する乙女の顔じゃん」

「恋?」

「恋じゃないの?」

 コモドの呟きに頭を働かせれば、少し恥ずかしさがどこかへ行った。恋と言われてもよく分からない。大体、恋が出来ればこんな状況には陥っていないのだ。テセとシンクそれぞれに向ける感情やその比重に変化があったようには感じていない。お互いに首を捻る。

「恋かは今は置いておいて……教えてもらえませんか、コモド先生」

「オレ別に御子様の恋のキューピッドじゃないんだけど。他に相談できる人いなかったわけ?」

 半眼になるコモドに首を横に振って答える。他にいなかった。まずキスの対象となるテセやシンクには相談できない。いくらなんでも自明だ。

 次にアニスやフローリアンだが、こちらも年齢を加味して有り得ない。イオンとアリアもそうだ。

 後は最近聞けた相手としてティアとガイが上がるが、ティアがこの手の話に刺激を受けすぎてしまうのは知っている。経験豊富とは思えない。ガイはよく分からないが、女性恐怖症の経緯からやはり経験値に期待できなかった。

 そこに転がり込んできたコモドだ。

「コモドはどう考えても女性と付き合った経験があるし、なんなら豊富そうだし、そういう話に詳しいとみた」

「合ってるけど、オレ男なんだよ?」

「男女って何か関係あるの?」

「コレだもんなぁ……」

 頭が痛いと言いたげに難しい顔をされてしまう。今日は常々、シンクやコモドの言いたいことが分からない日だ。

 コモドは暫く頭を悩ませる顔をしてから、問いを投げてきた。どうやらボクの相談事に乗ってくれるらしい。

「どういう状況だったの?」

「えっ」

「え、じゃない。ちゃんと説明してくれなきゃオレだって分かんないよ~」

 ホラ早く、と急かされて弱る。そこまで話す必要があるとは思っていなかったのだ。羞恥から抵抗を覚えつつ、説明しなくては話が進まないようなのでどうにか言葉にしていく。勿論、それはバチカルの王城でシンクと起きた出来事だ。

「その……キスを、されましてね?」

「うん」

「それが、なんか……今までのと全然違ったんです」

「違うってどんな感じに?」

 どんな感じ、と問われて感覚を思い出し、羞恥のレベルが上がる。顔が熱くてコモドの顔を見られない。

「あ……頭の中が……溶けてるっていうか…………この辺が、熱くて、凄く……」

 自身の腹をぎゅうと押さえて、それ以上言葉にできない。下げた目線が上げられず、困ってしまう。幸いなことに、コモドにはそれで十分に伝わったようだった。

「凄く、気持ち良かったんだ?」

「………………」

 無言で首肯する。恥ずかしさが凄い。だが聞いたのはボクで、聞かなきゃ分からないのもボクだ。この羞恥は耐えるべきものだと思う。コモドの答えを祈るように待った。

「それで、その全然違うキスの後に自分からキスをねだったと」

「……うん」

「因みにどうやって?」

「…………自分から、キスした」

「わーお……御子様悪女だね……」

 まただ、と思う。昨今、何故か悪女と言われることが増えている。決して悪意と共に向けられる評価ではなかったので問題視はしていないのだが、流石にちょっと気になってきた。

「御子様」

「はい」

 確認を終えたらしいコモドに向き直る。恥ずかしいが大事な話なのだ。腹を据えて飛び出してくる言葉に構えた。ボクを真っ直ぐに見詰める碧眼が、力強い光を放つ。

「ズバリ! それは、御子様が相手から向けられる『愛』を受け取ったってことじゃないかな」

「……愛?」

「そ! 御子様は知らないだろうけど、触れ合いにも色々あるんだよ。すっごく分かりやすく言うと、相手の気持ち次第で受け取る感覚が全然違ってくる時があるんだ」

「そうなの……?」

「そーなの! 人間も動物だからね。ただ、そこまでしっかり受け取れるのは珍しいんだ。御子様がよっぽど相手のことを考えてて、相手もよっぽど御子様のことを愛してなくちゃ難しい」

「愛……」

 動揺する。その概念は一応知っている。知識としてもあるし、被験者とも話したことがある。愛は多分色んな形があって、ボクが彼らに傾ける親愛だって愛の一種だ。彼らがボクに傾けてくれる「それ」も、愛の一種なのは理解している。

(でも、感覚で知ったのは……初めてだな……)

 明確には分からない。あの時、感じ取っていたのあくまで自身の変化だ。眼に見えない何かが渡されていたらしい、としか言えない。だがアレが、彼がボクに傾けてくれているものがもたらす感覚、らしい。どうにか理解する。

「御子様は愛を受け取って、それが凄い気持ち良かったから『もっと欲しい』ってキスをねだったんだよ。愛されたい、愛で満たされたいってのは人間に刻まれてる業みたいなモンだからね」

「……そっか」

 当たり前のものである、とコモドに告げられて、何かがストンと胸に落ちた。落ち着かなかった感情が冷静さを取り戻す。そっか、ボクは彼の「愛」が欲しかったのか。

 残る疑問としては何故あの時に、ということだが、これはコモドに聞くことではないので問わない。それまでもシンクとの触れ合いはあったわけで、彼からボクに傾けられる「それ」に変化があったとも思えない。ただ、心当たりはある。

(ザオ遺跡で再会した時、シンクは建前を全部放り出したみたいに……してくれた)

 思えばあの時の抱擁から彼の様子はおかしかった。どんな心境の変化があったのか知らないが、本当に何かが大きく違って感じられたのだ。伝播した素直な温かさと、胸に迫るようなあの息苦しさは今も忘れていない。

(多分、無関係じゃないんだ)

 彼の心境の変化があって、その後の触れ合いに変化が表れた。ザオ遺跡で素直な感情を伝えてくれたみたいに、あの時ボクに彼の「愛」が伝播した……のだろうか。

 流石に人の話の付け焼け刃過ぎてよく分からない。でも多分、コモドの話を参考にまとめればそうなる。

「……そっかぁ」

 ようやく何が起きたのか分かって、心が穏やかになった。バチカルの王城で事が起きて以来、ずっと気になっていたのだ。自分が何故そうしたのか分からないままというのは、中々に不安のあるものだった。

 コモドの顔をちゃんと見て、しっかりと頭を下げた。

「ありがとう、コモド。凄く助かった」

「どーいたしまして☆」

 ウインクと共に返されて、その気楽さにまたちょっと助けられる。やはりコモドに相談して良かったと思う。今までも度々忠告をくれることが多かったので頼れば力になってくれると踏んでいた。割りと親切だなと思う。

 それをそのまま伝えれば、コモドは表情を険しくして頭を掻いた。ソファから立ち上がる。

「コモド?」

 彼はつかつかと歩くと、ボクの座るソファ側へやってくる。隣に腰を下ろして、近い距離から碧眼がボクに問う。

「男は狼って言葉知ってる?」

「言葉としては知ってるけど」

「オレも狼なんだよ、御子様?」

 害意なく伸びてきた手に、ソファへ転がされる。真上から見下ろす碧眼に、状況が読めず瞬きを繰り返した。

 よく分からない。だって、彼の眼にあの色はないのだ。プレストのような妖しい色も、テセやシンクが見せるような熱の色もない。コモドの瞳に、感情の波による変化はない。だから問う。

「コモドは、ボクに『それ』を持ってないでしょ?」

「持ってないよ。オレの好みは歳上のおねーさまだし、御子様は当てはまらない。でも、オレ女の子は好きなんだよね。特に綺麗な子は大好き」

 色気のある笑みと共に左手がとられ、その手首にコモドが口付けを贈る。体が震えたりはしない。ただ困惑があるだけで、その意識の反対側でこれがコモドの言っていたことかと実感が湧いた。

 傾ける想いと受け取る側のアンテナ、それによって反応が全然異なるのだ。ボクが何かを感じ取れるのは、それがテセやシンクだからだった。

「さっき御子様、護衛クンに反対されたって話を肯定したよね」

「うん」

「なのに今、ココにはオレと御子様だけ。反対を押しきって二人きりになってる。護衛クンはアンタを助けに来られないって、わざわざ教えたわけだ」

 そんなつもりはなかったが、そう受け取ることも出来なくはない。だがそんな話の端まで気を遣うことは出来ない。コモドは何を言いたいのだろうか。

 彼は変わらず、真上から色気のある笑みを落とす。

「女の子が、男にキスをねだる話なんかしちゃダメだよ。想像したら男はすぐ狼になっちゃうんだから」

「……そんなこと言われても」

「うん。御子様は知らなかった。男を知らないからこうなってる。オレやプレストの気持ちなんて分かっちゃいない」

 話が戻った、と感じ取った。少し前にしていた話だ。相手の底を知った気になるな、と彼が伝えた時の会話を思い出す。それはこういうことだったのだろうか。自分の眼に見えるものを信じ過ぎて、知った気になっている。傲慢だ、と。

「いい? 御子様。オレやプレストと会う時は、人を払って密室でなんて一番やっちゃダメだ。御子様は今年で十八になるんだから、男の欲求に飲まれたら取り返しがつかないことだってあるんだよ」

「取り返しがつかないこと?」

 何か分からずに問えば、コモドは表情を崩した。今の今まで浮かべていた色気のある笑みから、普段のような素の戸惑いが現れる。「ウソでしょ」と呟きが落ちて、ボクもまた困惑で応えるしかない。

 コモドがひきつった笑みで問う。

「えーっと……もしかして御子様、『神託の御子』過激派の掲げる思想をちゃんと理解できてない……?」

「出来てるよ。ボクの魂が人間の手で汚れてるから清めて正しい方向へ導くって話でしょ?」

「御子様を器として信徒の愛で満たすって話は?」

「記憶を奪って洗脳する話じゃないの?」

「………………」

 当たり前に返せば、絶句されてしまった。何故だろう、起きた出来事と照らし合わせれば間違っていない筈だ。だが明らかにコモドの顔にあるのは「そんな解釈ある?」という愕然とした表情だ。訝しむ。

 コモドは顔を顰めて、再び重い溜め息を吐いた。

「こりゃ護衛クンも男捨ててるみたいに我慢を重ねて、初なままにしとくわけだよ……御子様ホントに何で出来てるの? 砂糖菓子か何か?」

「???」

 何の話をされているのかサッパリだ。だがとりあえず、「神託の御子」過激派の思想についてボクの理解が間違っていたことは確かなようだった。どうやらそれを知っていなくては警戒が足りない、という話のようなので教えてもらうことにする。

 促せば、コモドは「オレ別に御子様の性教育担当じゃないんだけどなー……」等と溢しつつ教えてくれた。性教育?

「えっと。赤ちゃんがどこから来るか知ってる? コウノトリじゃないよ?」

「馬鹿にしすぎじゃない? 流石に知識はあるよ」

「順当な評価だと思うけどね。なら、その過程も知ってるよね?」

「うん。やったことはないけど」

「軽率にそういうこと言わない。……それだよ、御子様」

「?」

「女の子である御子様の体を器に見立てて、男の信徒が愛で満たすって言ってるんだ。『そういうこと』だよ、つまり」

「………………」

 その沈黙は、理解が出来なかったわけではなかった。逆で、理解してしまったからこその沈黙だった。理解したが、脳が認めるのを拒んでいる。だが事実は変わらない。つまり「神託の御子」過激派は、ボクを───

「……孕ませる気だったの……?」

 言葉にして、口の中が乾いていることに気付いた。流石にドン引きだ。分かっていたつもりだった。彼らやプレストが触れてきた意味を。でも、意味のその先までは理解が及んでいなかった。急激に緊張が体を襲う。コモドは笑った。

「そ。正確には妊娠させることが目的というより、その過程こそが目的だったんだけどね。だからね、御子様。オレやプレストと会う時は特に気を付けないとダメだよ。オレは綺麗な女の子とそういうことをするのが大好きだし、プレストはアンタに『そうしたい』と思ってるんだから」

「………………」

 何も言えなかった。ようやく、シンクが言っていた「警戒が足りない」の意味を正しく知る。コモドの言っていた「抵抗が出来るから怖くない、はよくない」の意味を理解する。

 要するに「抵抗をしないといけない状況になるような危険を冒すな」とどちらも言っていたのだ。波打ち際ではなくもう少し手前に防波堤を作れという、それだけの話だったのだ。その危機意識が、あまりにも足りなかった。

「お勉強になった? 御子様」

 真上からコモドに問われる。彼は妖しい笑みを浮かべている。その瞳に、変わらず不思議な色はない。でも今のボクにとっては警戒するに十分だ。

 押さえ付ける手の力も知っているし、覆い被さる体が男性のものであることも認識している。想いがなくとも「そういうこと」は出来ると、たった今コモドから教えられた。

「アンタの周りはみんなお人好しなんだろーね。護衛クンですら、アンタのために我慢してたわけで……だからそれに免じて、オレも今回は許してあげるよ」

 そう言ってから、彼は顔を近付けて囁いた。

「ただし、授業料はもらうよ」

「授業料……?」

「そ。ここまで色々教えてあげた上に今は許してあげる、その破格の授業料。大したことじゃないし、御子様には支払う義務があると思うけどなぁ」

「……因みに、何するの?」

「御子様は何もしなくていいよ。オレもいかがわしいことはしない。ちょっと眼を瞑っててくれれば、それでいいから」

 迷いはあったが、言い分は分からないでもない。この状況を招いたのはボクの警戒心の薄さであり、コモドは押し倒しこそしたがその危険性について丁寧に教えてくれたことになる。

 彼がボクに親切にする理由は欠片だってない。高くつきそうな授業料を破格にすると言っているのだから、ここは大人しく従っておこうかと思う。いかがわしいことはしない、が嘘だった場合には正当防衛として音素パンチをお見舞いして抜け出せばいい。それくらいの自業自得は、お互いに背負っていると思った。

「……分かった」

 頷いて、眼を閉じる。コモドの気配が動いて、襟が少し開けられる。呼吸が首の近くに触れ、じわりと緊張が浮かぶ。そのまま鎖骨近くに小さな痛みがあって、五秒程で離れた。

「いーよ。御子様」

 声に従って眼を開ければ、何やらにやけ顔のコモドがいる。訝しむボクの上から退き、机の上のお茶をぐいと飲み干した。ソファで身を起こしながら問う。

「何したの?」

「ちょっと痛かったでしょ? それだけだよ。襟はちゃんと閉じててね───じゃ! 後は用、何もないよね?」

 頷けば、コモドは手短に別れの挨拶を交わして退出していった。悪戯者の笑顔が気にはなったが、この二人きりの密室に引き留めるのも抵抗があり、そのまま逃がしてしまう。

 痛みがあった場所に触れてみるが、何かがあるようには思えない。音素が悪さをしている様子もないし、何か術を付与されたとかではないようだ。

「……なんだったんだろ」

 分からないまま襟を直して、ボクはすっかり冷めてしまった自分の分のお茶を乾いた喉に流し込んだ。

 

 

 

*****

 

 

 

 その行為の意図を知ったのは、その日の夜だった。

 コモドがとんぼ帰りでダアトを離れ、ボクは自分の執務室で仕事を終えた。コモドとは色々とあったが、その後は特に何事もなく、今日はやけに静かだったなと思う程だった。

 そろそろ寝るかと思っていると、不意に気配を拾った。

「……?」

 それはボクの執務室の扉の前で止まっていて、何故か動かない。ノックもないし声も掛からないので違和感があった。不審者というよりは、まるで部屋を訪れることを躊躇っているみたいだ。

 とは思うものの、警戒は必要だ。扉から離れたまま声を掛ける。

「誰?」

 問いに、しかしすぐには返事はない。気配は尚も迷うみたいに扉の向こうにあって、やがて観念したように声が返る。

「……ボクだけど」

「シンク?」

 不機嫌が混じったような聞き知った声に少し驚く。彼がボクの執務室への入室を躊躇うなんて珍しいことだ。

 ぱたぱたと近付いて扉を開けた。そして廊下に、やはり見慣れた相棒の姿を見付ける。仮面越しだけどなんとなく視線を逸らされているように感じて、気まずそうに伝わる。

「どうしたの?」

「……怒らないの?」

「何が?」

 問いに問いが返って、また問いを返すしかない。怒るとはどういうことか分からず首を傾げれば、シンクは暫く沈黙し、何か気付きを得たように重々しい溜め息を吐いた。なんか今日、こういう溜め息ばかり吐かれてる気がするが気のせいだろうか。

「鳥頭」

 憎しみでもこもってるのではってくらいに圧のこもった謗りを受ける。鶏冠頭の人に鳥頭と言われても納得がいかないのだが、それを突っ込む前に「邪魔するよ」とシンクはいつものように部屋へ入ってきた。

 それからソファに座ると仮面を外し、隣を叩いてボクを呼ぶ。訝しみながらもそこは定位置のため、大人しく隣に腰を下ろした。

「内緒話は出来たの?」

「コモド? うん。出来た出来た」

 そのまま雑談を振られる。内緒話の内容には触れられないが、結果的に学びが多かったことは伝えられるので、それを話題にする。

「お陰で新しい知識もついたし……あ。そうだ、シンクが言ってた警戒心が足りないって言うのもちゃんと分かったよ」

「……どういうこと?」

 横からボクを見るシンクの眼に、疑問と警戒が同時に浮かんだ。何を警戒しているのだろうと思いつつ、話す。

「話の流れで『神託の御子』過激派の思想の話になって。ボクを器にっていう……その部分への理解が甘かったことを、本日ようやくコモドから教えられました」

「遅い」

「……はい」

 面目ない、という心地だ。これに関してはボクの認識の甘さに非がありすぎる。コモドの言葉の通り、護衛役であるシンクに心配をかけても当たり前だった。反省する。

「今後は異性と軽率に密室で二人にはなりません」

「音素で殴れるからいいんじゃなかったの?」

「意地悪……」

 どういうつもりで宣言したか分かっているだろうに、過去のボクの主張を持ってきて意地悪く嗤われる。本当にこの性格、難があると思う。

 と、手が伸びてきて頬に触れ、下がっていた視線が持ち上げられる。横を向かされ、隣に座るシンクと向き合わされる。

「ボクに対しても警戒してる?」

「……今はちょっとだけ」

 前までの警戒とは違う意味だ。シンクに触られることではなく、異性に触られることの意味だ。正直に答えれば、シンクは少しだけ笑った。

「それで正解だよ。いつまでも、ボクがそういうことを考えてないと思われてたら困る」

「………………」

 どんな顔をしていいのか分からない。触れ合いが、それ以上になった場合を想像してしまう。その先を念頭に置いた場合、今までの行為は「その前準備」ということになる。与えられる刺激に伴う体の変化は知っているのだ。得られる結果と照らし合わせれば、想像は難しくなかった。

(……恥ずかし)

 今までのことを思い出す羞恥と、自分だけ呑気にしていたことの恥ずかしさが去来した。触れられている頬が温かくて、体にはいつもと少し違う種類の緊張がある。目の前の瞳から逃れてしまいたい心と、それは出来ないという自分の意志を知っている。

 シンクの手が肩を引いて、頭がその胸に抱き留められた。触れる体温越しに声が響く。

「でも、不正解だ。ボクはアンタに触れるだけ。それ以上のことはしない。そういう約束だからね、警戒しなくていいよ。……今はまだ、ね」

 今はまだ、という言葉が耳に残る。「いつか」が訪れるということだろうか。あまり想像できない。

 シンクの右手がボクの髪を解いてゆっくりと撫でる。落ち着かせるみたいなそれに、包み込まれる体温と合わせて異質な緊張が解けていくのが分かった。思考が緩み、呼吸がしやすくなる。

「アリア」

 頭の上から声が降ってくる。それは特別な響きを持って聞こえて、今から溶かされるのだと直感した。彼がボクを名前で呼ぶ時は「名前で呼ぶしかない時」だ。そうすることに意味があって、そうしないと意味がない時。

 少なくとも今は呼んでいる。だからボクは顔を上げて、彼の顔を見上げた。熱のある瞳がボクを見ていた。

「こんな言葉に価値があるなんて思ってないけどさ」

 そんな迂遠な前置きをされる。

「でも、言わなきゃアンタは思い知らないから。だからわざわざ言葉にしてやるんだ」

 何を言われるのだろう。なんだがドがつく程の鈍感だと責められてる気がする。多分間違いじゃない。ボクはこういうことにアンテナがなくて……彼はそれに辟易としている筈だから。

 千歳緑の瞳に見詰められる。小さく唇が開き、囁くように告げられた。

「───好きだよ」

「え……」

 思いもしない言葉が耳朶を打った。そんな素直で正直な言葉がシンクの口から飛び出してくるとは思っていなかった。呆けるボクに、彼は不機嫌そうに問う。

「聞こえなかった?」

「い、いや。聞こえたけど」

「なら何? その顔」

「……ええと」

 驚きがそのまま出過ぎたか。折角渡したもらった言葉に対して相応しくなかったかもしれない。言葉をそのまま受け取ろうと努力をしながらも、つい真意を尋ねてしまう。

「どうして」

「それをボクに聞くの?」

「……だって」

「知らないよ。アンタに拾われて、アンタがよくて。アンタじゃなきゃダメになった。アンタの全部が欲しいのにそれ以外の理由はない」

 ハッキリと答えられてしまい返答に窮する。

 好きだと言って、ボクにこれだけの感情を、言葉を向けてくれているのに。ボクは同じものを返せない。それが凄く申し訳ない。合わせる顔がない。でも、

「アンタが先に言ったんだ」

「……え?」

「ボクが好きだって。そうでしょ?」

「うん……」

 否定しない。ボクの好きと彼の好き。それがどれだけ同じで、どれだけ違うか、本当のところは分からない。色を付けて見比べられるほど簡単な話ではない。

 ただ確かに、渡したかったものはきっと近しくて。自分の感情をどうしてか相手に渡したい、その理由も。

「アンタがボクにくれた言葉だ。返してやるから受け取りなよ」

「……うん。そうする」

 それは乱暴な言い分だったけれど、全然構いはしなかった。彼に関してはそれくらいが丁度いい。突然丁寧になられても戸惑うだけだ。ボクが好きなのは、彼らしさなのだから。

 シンクの手が頭から離れ、首筋を伝う。それにボクは眼を瞑る。与えられるものに予感があって、彼は慣れた手つきで襟元を開くと、しかしぴたりと動きを止めた。

「シンク?」

 目蓋を持ち上げれば、シンクが何かを見て不愉快そうにしているのが見える。どうしたのだろうか。目線を動かさないまま、少し低い声が返ってきた。

「アンタ、あの腰巾着と何したんだ」

「え……何もしてない、けど」

「なら、ここは?」

 戸惑うボクの鎖骨辺りを、シンクの指先が軽く叩く。その場所はコモドが何かをした筈の場所だった。最初の痛み以外、触っても異常がなかったので放置していたのだが、ボクの認識が間違っていたのだろうか。

「そこはコモドが……授業料って言って何かしてた」

「授業料?」

「色々大事なことを教えてもらったから。はね除けても良かったんだけど、ボクの今までの軽率さの、反省の証として払っておこうかなって」

「……へぇ」

 不穏な笑いが耳に触れた。次いで、体を抱え上げられる。所謂向かい合わせ抱っこという奴。シンクの肩に触れてバランスを保った。

「シンクさんっ?」

「予定変更だ。今日は珍しく反省したらしいアンタに、その祝いとしてたっぷり時間を割いてやる」

 絶対真逆の意味だと分かる声音だった。暗に反省が足りないと言っているし、何故か怒りか苛立ちか分からないものが混じっていた。

 そのまま迷いなく運ばれ、私室のベッドで下敷きにされる。危険な色のある瞳に見下ろされた。

「反省の証なら今からたっぷりボクがつけてやる。アンタの今までの軽率さの分だけね。───精々、飼い犬に噛まれて泣いて縋りなよ。ご主人サマ?」

 なんで激おこなんですか、と聞けるわけもなく。言うが早いか、ボクは文字通り飼い犬に噛み付かれることになる。痛みの中に甘い疼きがあって、触れ合い初心者のボクでは理解が遠く及ばない。







 肌に幾つもの「痕」を残されながら

 ボクはまた一つ、反省を増やしたのだった。
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