雨宿りdiary

9月に読んだ本

2024/09/30 23:30
雑記
小説の自由/保坂和志(電子書籍)
死にたさの虫が鳴いている/日原雄一
ロシア紅茶の謎/有栖川有栖
SMの思想史/河原梓水
「愛とは何か」を科学する/ローン・フランク
パリンプセスト/草野理恵子(電子書籍)
絶版本
薔薇よ永遠に/伊藤文学
だれか、来る/ヨン・フォッセ
ペソア詩集/フェルナンド・ペソア

今月は10冊読了しました。
火アリ書き殴ったり、コラロの企画やアンソロ作品の編集をやってる中で、そこそこ頑張って読めた方かも。でも小説がやっぱ少ないですね。「死にたさの虫が〜」「ロシア紅茶の謎」くらいだし。他は詩集やエッセイや人文系の本なので。でもラインナップはなかなか濃いです。特に「SMの思想史」と「薔薇よ永遠に」が。

「小説の自由」は小説とは何か?を考えたエッセイ。非常に勉強になります。保坂和志の本はもっと色々読みたいです。

「死にたさの虫が鳴いている」はかなり前に買い求めて、なんで買ったのか憶えてない本でした。ちょっと部屋片付けようって思ってるうちに何故か読み終わってた1冊。内容は特筆するべきものはないです……。

「ロシア紅茶の謎」はビーンズ文庫版です。何十年ぶりに再読して、火村先生の可愛さに悶えてました。まあそれはともかく、推理小説として文句無しに面白いですね。短編集なのでさくっと読めるのも良いし。「ロシア紅茶の謎」は講談社版の電子書籍でも買ったので(国名シリーズの9冊合本のやつ)この本は3冊所持してる結果に。

「SMの思想史」はかなり興味深い本で、とても面白かったです。戦後に発行されるようになったカストリ雑誌(性風俗をメインに扱った粗雑な雑誌)の中身を取り上げながら、あれこれ考察してるんですけど、SMの脱病理化が欧米よりもかなり早かったというのは驚きでした。サディストである男性作家がSM作品を通じてフェミニズム運動を推進していたというのも初めてしりました。SM、奥が深い。てか本物の奇譚クラブ1冊でいいから欲しい。

「愛とは何かを科学する」はタイトル通り、脳科学から見て人が人を愛する時、何が起きているのか?を解き明かすのがテーマなんですけど、ちょっとこれは肩透かしでした。ホルモン分泌の作用、遺伝子的にとか割とこれまで読んできたような内容だったし、著者の体験に多く筆が割かれていて、求めてた内容と違うなってなりました。一応最後まで読んだけどね。

「パリンプセスト」は詩集です。なんか凄かった(語彙力)。読んだ本としてXにもポストしたんですが、著者の方ご本人からリプを頂いて嬉しかったです。電子書籍で読んだけど、やっぱり紙の本でじっくり読みたいですって著者の方にお返事書いたら、なんと絶版とのこと。Amazonで3000円以上の値段がついてたのはそういうわけなのね。古本で地道に探します。電子書籍ではワンコインで買えます。興味ある方はぜひ。

「絶版本」はタイトル通り、絶版本についてのエッセイ。文学作品も絶版になるけど、学術書や専門書はさらに輪をかけて絶版になりやすいんだなあと改めて認識しました。絶版は本好きからしたら悲しい現象です。年々本当に絶版になるスピードが早くなってるしね。せめて絶版本になったものは電子書籍で読めるようになって欲しい。電子化するのも大変そうだけど。

「薔薇よ永遠に」はゲイ雑誌を発行していた伊藤文学のエッセイや三島由紀夫の別名義で書かれた短編小説「愛の処刑」が収録されてます。私は「愛の処刑」目当てで買いました。この本以外だと全集でしか読めないので。古本でほぼ定価で買えたのはラッキーでした。「愛の処刑」は三島由紀夫のフェチズム全開でしたね。体毛や切腹とか。切腹を扱った作品として「憂国」がありますが、「愛の処刑」の描写はそれよりもわざと下手に書かれてます。「憂国」は三島由紀夫の短編の中で一番好きです。あの鬼気迫るような凄惨な切腹シーンが素晴らしいです。血の匂いまで漂ってくるような。
この本の中に三島由紀夫の局部のサイズについて真面目に考察されてるのが笑えます。

「だれか、来る」は戯曲です。名前のない男女がある家を買って、その買った家の前の持ち主の男が闖入してくる、というあらすじを書くとそれだけ?って感じなんですけど、読むとなんとも言えない気分になります。平易な言葉を何重にも重ねて綴られた戯曲は非常に音楽的です。ヨン・フォッセは難しい言葉を使ってない分、さらっと読めるけど、反復される言葉のせいでどこまでも奥深く潜っていく感じがあります。簡単そうに見えて実は物凄く複雑精緻っていう。ヨン・フォッセの新刊も早く読もう。

「ペソア詩集」は長らく絶版になっていたものが再販(重版?)になり、手に入るようになりました。ペソアの詩も不思議な手触りがあります。言葉の魔術師とはこのことだなあと。ペソアも色々読みたい作家です。

10月は小説を多く読みたいですね。ちょっと創作から離れて。と言いながら、なんか書いてそうですけど。

今月も作品や日記を見てくださり、ありがとうございました。スキやコメントもとても嬉しいです。励みになっております。また来月も日記だけでも良いので覗いてやってください。また気軽にコメントも書き込んでくれると喜びます。
来月もまたどうぞご贔屓に。



追記
画像1枚しか貼れないし、貼る場所も選べないのはちょっと残念。

コメント

[ ログインして送信 ]

名前
コメント内容
削除用パスワード ※空欄可