戀―REN―

2021年に発行したSSの再録集です。当時お手に取ってくださった皆様、ありがとうございました!尚、各作品の解説は本に収録した自作解題の「戀愛事典」になります。ネタバレ、妄想語りも含みます。

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目次

  • 火刑

    リクエストを頂いて書いたもの。お題は『恋も地獄も落ちるは同じ』。決して叶わない片恋の辛さは地獄のような苦しみ。国木田君が強烈な光ならば太宰さんは底なしの闇かなと。二人の対照的な属性も意識して書きました。時間軸としては太宰さんが入社して間もない頃を設定しています。なので国木田君が初めて太宰さんの入水に立ち会った(?)ことになっています。太宰さんが繰り返し川に流れるので国木田君もそのうちに慣れてしまうと思うのですが、心の何処かで悲しく思っているんじゃないのかなあと勝手に妄想しています。

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  • 終りと始まり

    『火刑』の続編。時間軸は前作の二年後です。川に流れている太宰さんを引き上げる国木田君。このシチュエーションはもう何度も書いていますが、助けて助けられて、お互いに恋を自覚するって良くないですか……? 個人的にこのパターンは国太検定(何だそれ)3級レベルの王道だと思っています。本当はこの話を冒頭に置きたかったのですが、続きものということで断念しました。いつか何処で使おうとメモをしていた国木田君の台詞「俺が生きる理由では駄目なのか」はお気に入りです。本作のハイライトは「餃子、食うか?」です。告白してテンパった末の頓珍漢な台詞。でもそんな国木田君は彼らしいと思うのです。そして国木田君の手作り餃子、私も食べたい。執筆中はthe GazettEの『BLINDING HOPE』を聴きまくってました(そしてこれを書いている今も聴いている)。

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  • キスできない餃子

    書き下ろし作品。『火刑』三部作完結編(という程のものでもありませんが)。タイトルは映画の『キスできる餃子』をもじりました。恋仲になって僅か数時間後の二人。実感が薄いながら意識すると恥ずかしくなってしまう、そんな初心な国木田君と太宰さん。国木田君が「家に来た時くらいはきちんと飯を食え」という件がありますが、それから本当に太宰さんは毎日のように国木田君のところで夕飯を食べに行って、そのうち同棲するようになるんじゃない? と妄想。それにしても大した話でもないのに執筆にえらい時間かかってしまいました。内容も迷走しまくって着地が見えず、どうしよう……と途方に暮れてました。どうにかこうにか形になりましたが、この作品を書くまで少し執筆から離れていたので、やはりコンスタントに書かないと小説は書けなくなるんだなあと思いました……。

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  • I love you の訳し方

    I love youを月が綺麗ですねと訳したのは夏目漱石ですが、実際は真偽不明だそう。でもこの翻訳は凄く奥ゆかしい、とてもロマンチックで素敵だなあと思います。作中で太宰さんは「心中してください」と訳すと言って国木田君は呆れてますが、よくよく考えてみると心中もロマンチックだと私は思うのです。死はたった一度しか体験できない。その一度きりなものをお互いに差し出して共有しようする行為。何か壮絶なまでの崇高さを感じます。そんな心中の代理行為として性行為があるのでは? と思う今日この頃。十六夜月という言葉の響きが好きです(唐突)。

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  • 愛の温度

    いつも思いますが国木田君って体温高そうですよね。太宰さんは低血圧で体温低めな感じ。寒い時は国木田君で暖を取る太宰さん……。じゃあ夏はどうなのか。国「お前は年中手が冷たいな」太「(国君の額に触りながら)どう? 気持ち良い?」国「そ、そうだな」(ちょっと照れる)」太「じゃあ全身冷やしてあげるよ!」(いきなり思い切り抱き着く)国「だああああッ! 暑苦しいわッ! 離れろ、この莫迦ッ!」……こんな二人が見えました(遠い目)。

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  • 100円が語る戀

    タイトルは江戸川乱歩の『算盤が恋を語る話』をちょっと意識しました。バレンタインネタ。続編を書く上である文章を削りました。作中では国木田君は百円の板チョコを買って太宰さんに渡していますが、彼の場合、恋仲になっても最初の頃は恥ずかしさからバレンタイン用のチョコを買いに行けない気がしています。こっそりネット注文してそう。太宰さんはあんまり気にしないで売り場に行ってさらっと買ってそうですが。国木田君は太宰さん用に某酒造メーカーのチョコとか買いそう。太宰さんは国木田君用にあまり甘くないチョコなどを。もしくは一緒にチョコレートを使ったお菓子を作るのもあり。国木田君が太宰さんに手取り足取り腰取り()して。二人にはチョコ食べながらキスして欲しい。

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  • 100円が告げる愛

    書き下ろし作品。こちらはホワイトデーネタ(しかも執筆していたのは四月に入ってからという)。この作品もなかなか着地が見えず、迷走しまくり何度も書き直してようやく形になりました。タイトルは前作と対になっているようなものにしました。太宰さんがホワイトデーに買ってきたプレゼントもバレンタインの話と対になるように板チョコに。作中では描写してませんでしたが、国木田君が太宰さんを晩御飯に招いたのはやっぱり一緒に過ごしたい気持ちがあったから。にしても私の書く国木田君は食べ物で太宰さんを釣ってるような? 餌付け? 因みに私はブラックチョコもホワイトチョコも好きです(誰も聞いてない)。

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  • 雨は私を探して貴方を連れてくる

    こちらの作品は文マヨベースの話。雨合羽の太宰さんを見て妄想しました。仕事の移動中にポチポチと書いていた思い出。当時(2019年)は激務だったのにも拘わらず(自分比)寝ないで作品書いてたように記憶しています。初めて同人誌(合同誌)を出したのもこの年。思い出すとちょっと感慨深いです。それはさておき、タイトル通り、国木田君が太宰さんを探して迎えに来るだけの話ですが、夏の早朝の散歩と相合傘、束の間の二人だけの世界……何でもないような日常の風景ですが、そんなごく当たり前のことがとても愛おしいと思うのです。この後、きっと空に虹がかかったことでしょう。

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  • Dolci labbra

    書き下ろし作品。タイトルはイタリア語で「甘い唇」の意です。何でイタリア語かというと特に意味はありません(The思いつき。私はいつも思いつきで生きています。行き当たりばったり)。この短いお話は徹夜明けの頭でぼんやりしていた時にふっと思いついて「このシチュエーション何かえっちじゃない?」と大暴走した末に生まれました。リップクリームをただ塗り合いっこしているだけですが、何かこう、えっちじゃないですか……? 思い返せばpixivに掲載している作品の中に国木田君が太宰さんに赤い口紅を塗るシーンを書いていました(該当作品『その視線の先に、』)。その時から性癖変わってなくてビビっております。何となくですが、国木田君ってキスするの好きそう。変なスイッチ入ってキス魔になってしまって太宰さんに「いい加減辞めて!」と突き飛ばされるまでがセット(酷い)。

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