短編
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年が明けて新年になりました。
今年の初詣は予定が空いているメンバーで行こうと言うことになって、三奈ちゃん、響香ちゃん、私の女子3人は着付けをしてもらって待ち合わせ場所で他の人たちを待っている最中。
「こんなに立派な晴れ着着たことないからなんか緊張する~!」
「ウチもそわそわする」
「こんな機会なかなかないんだから楽しもーよ!」
先日街でクリスマスイベントがあったんだけど、人手が足りないからと私たちA組が急きょお手伝いをしたらそのお礼に初詣の日は晴れ着を貸してくれると言ってくれたのでありがたくお借りした。
着付けまでしてくれて、鏡に映った自分は自分じゃないみたいにキラキラして見えて晴れ晴れとした気持ちになった。
だけどそれと同時に慣れない格好には少し緊張もする。
「あっ!来た来た!!おーーーい!!」
三奈ちゃんが手を振る方を見ると上鳴くん、瀬呂くん、峰田くんがこちらに向かって来ているのが見えた。
三奈ちゃんにならってみんなに手を振ると峰田くんが上鳴くんに抑えられていて、多分二人とも可愛いから晴れ着姿を見て興奮したんだろうなと苦笑した。
「あ、切島と爆豪も来た」
男子3人の後ろから切島くんと多分きっと確実に無理やり連れて来られたであろう爆豪くんもこちらに来た。
機嫌の悪そうな爆豪くんだけど帰るような素振りは見せないし、文句を言いながらもなんだかんだみんなに付き合ってくれるんだよなぁって思う。
三奈ちゃんが「時間合わせてくれてあんがとね!」とお礼を伝えるとみんなが晴れ着姿を褒めてくれて気恥しいけど嬉しかった。
みんなと話してると視線を感じてそっちを見ると爆豪くんと目が合ったので彼に近付いて話しかける。
「爆豪くんも来れたんだね!」
「無理やり連れて来られたンだわ」
「えへへ、だと思った!」
予想通りで笑ってしまった。爆豪くんにとっては災難かもしれないけど、こうしてみんなで初詣に行けることが私は嬉しい。
残り少ない高校生活、みんなで楽しい思い出をいっぱい作りたい。
「峰田ほんっとにサイテー!」
「オイオイ、着物はなんのために着るか知ってるか…?脱がされるためだよ!!みょうじ来いやァァ!!オイラが望み通り脱がしてやるよ!!!」
「け、結構ですっ!!」
「煩悩払って出直せや」
「…く、クソォ…ヤンキーは許さねぇ…許さねぇからな!!」
「もうやめとけって」
爆豪くんが隣にいた私の前に立って峰田くんにそう言うと、涙目で謎の捨て台詞を吐いていた。
響香ちゃんも冷たい目でやり取りを見ているし、瀬呂くんと上鳴くんで峰田くんを慰めているいつもの光景だけど面白くなる。
「お前なァ…そーやってヘラヘラしてっから狙われンだよ」
「峰田くんは女の子なら誰でもいいんでしょ?それよりみんなのやり取りが面白くて」
「……無自覚鈍感クソ女」
「なにその悪口!」
無自覚なところも鈍感なところもないからどこがなのか教えて欲しいくらい。
でも私の反応を見た爆豪くんは楽しそうに笑うから、そんな悪口すらどうでもよくなった。
「それにしてもやっぱ人すごいのね」
「はぐれねぇように気ィ付けねェとな!」
「みょうじ、オイラが手繋いでやろうか?」
「下心丸出し峰田は瀬呂のテープで巻かれて歩きなよ」
「峰田やめとけ、またかっちゃんが鬼と化す」
「みょうじは爆豪に任せとけば大丈夫でしょうよ!」
「あァ!?ンで俺なんだよ」
「なんで私がはぐれるの前提なの?はぐれないから!」
「それ盛大なフラグね」
ケラケラと笑いながら参道を歩き拝殿まで人の流れに任せてゆっくりと進む。
くだらない話をして笑い合うのが楽しくて、あっという間に参拝の順番が来たので、お賽銭をして拝礼をしながらお願い事を心の中で唱える。
それが終わると流れに沿ってその場から離れた。
たった1分くらいの参拝だけどきちんとお参りできて良かったなぁ。
「なぁなぁ!みんなでおみくじ引かねぇ!?」
「引くーー!!!運試ししよ!!!」
上鳴くんの提案で今度はみんなでおみくじをすることになった。
もちろん爆豪くんは乗り気じゃなかったけど「爆豪は凶が出るの怖いからやらないってさ」「怖ェンじゃしょうがねぇな!」っていう瀬呂くんと切島くんの煽りを受けて「俺が凶なんざ出すわけねェだろ!やってやるわクソが!」と怒りながらもやる気になっていて、みんなクスクスと笑っていた。
「あ!俺中吉!」
おみくじを引いて結果を教え合うけどなかなか大吉も出ないもので、残るは私と爆豪くんの結果だけ。
先に爆豪くんのおみくじを表にして見ると大吉の文字。
「はァッ!!!ざまァ!!!」
「別にざまァではない」
そんなやり取りを聞きながら私も自分のおみくじの結果を確認すると爆豪くんと同じ大吉の文字が書いてある。
嬉しくなって「大吉っ!!」って自分が思ってるよりも大声が出ちゃって少し恥ずかしくなったけど「いいなー!」「負けたっ!」って反応をしてくれたから笑って照れを誤魔化せた。
「一緒だね!」
「俺の方が上の大吉だわ」
「うん!爆豪くんと一緒だといい事ありそうな気がするから嬉しい!」
「…そーかよ」
爆豪くんと話していると峰田くんがすごい形相でこっちを睨み付けていて、瀬呂くんに「聞こえるからやめな」って言われていた。
きっとまた峰田くんが変な事でも言ったんだろうな、触れない方が身のためかもしれないと二人の会話の内容を考えるのはやめた。
それからみんなで屋台を回っていろんなものを食べたり、たくさん話したりしていると時間が過ぎて最後尾で爆豪くんと並んで歩いて話をしながら帰路に着く。
「切島くんに無理やり連れて来られたって言ってたのに最後まで付き合ってくれるんだね」
「文句あンかよ」
「ううん!優しいなって思っただけ!付き合ってくれてありがとう!」
「うっせェ!」
照れたのか悪態をつきながら歩くスピードをあげた爆豪くんを追いかけるけど、増えてきた人の波に邪魔をされてなかなか思うように進めなくて見失ってしまいそう。
最後尾にいたもんだからもちろん他のみんなの姿は見えないし、このままだとさっき話していたはぐれるフラグをしっかりと回収してしまうかもしれない。
慌てて前に進もうとしたら突然手を掴まれて、驚いて視線を少し上げると先に行ったはずの爆豪くんが目の前にいた。
「爆豪くん?」
「歩くの遅せぇンだよ」
「ごめん」
爆豪くんが速いんだよ、って言葉は私の手を掴んでいるのが彼だってわかったら出てこなかった。
「行くぞ」って言うと手を繋ぐように握り直して歩き出すから私もそれに合わせて歩き出す。
彼の手は大きくてあたたかくて、普段の彼からは想像出来ないくらい優しい力で、今度は私の歩くスピードに合わせてゆっくりと歩いてくれる。
小学生ぶりくらいに男の子と手を繋いでるからか、どうしていいかわからないからなのか落ち着かない。
「……爆豪くんの手、大きいね」
「てめェのがちっせぇンだろ」
「……手、離していいよ。恥ずかしい」
こうしてペースを合わせて隣を歩いてくれれば手を繋がなくたってはぐれないし…。
離してって言ったのに手を繋ぐ力は強くなって、そこから伝わる彼の体温も感じて、不思議とこうしているのも嫌じゃなくて、ずっと心臓ドキドキしてて余計にどうしたらいいのかわからなくなる。
「離したらお前はぐれンだろ」
「はぐれないよ」
「…いい加減ちったァ意識しろや」
「え?」
「鈍感クソ女」
「また悪口!」
気付けば言葉を交わしあって手を繋いでる以外、いつもと同じになってた。
神社を出て人の流れが無くなるとみんなが待っていてくれてるのが見えて、どちらからともなく手を離して合流する。
「みょうじ、伏線回収して来た?」
「してませんっ!」
「したようなモンだろ」
「だっ、あれはっ!爆豪くんが歩くの速いからだもん!」
「だから合わせてやったろーが!」
「うるせぇお前ら爆発しちまえっ!!!」
「もう峰田黙ってなぁ」
爆豪くんと手を繋いでいた感触と温度がまだ残っていて、もう少しだけでもそのままでいたかったなって思っている自分にびっくりしてる。
それに心臓もずっとドキドキしておさまらない。
こんなこと初めて。
みんなと合流すると一気に賑やかになって、自分でも困惑しているこの状況を誤魔化すようにいっぱい喋って笑いながら歩いた。
でも気付けば爆豪くんを視界に入れていて、自覚する度に胸がきゅうってなって恥ずかしくなる。なんだこれ。
またチラリと顔を見るとばっちり目が合ってしまって思わず視線を逸らすと爆豪くんがすごく自然に私の隣に来た。
「なに見とんだ」
「見、てない」
「気付いてねェと思ってンか」
「う…だって、なんかさっきからドキドキして落ち着かないんだもん」
見てるのを気付かれてただけでも恥ずかしいのに、頑張って絞り出すように素直にそう言ったら爆豪くんの反応がなくて不安になった。
恐る恐る爆豪くんの顔を見ると楽しそうな、嬉しそうな、でもすごくイジワルそうな笑顔を私に向けた。
「ざまァ」
ムカつくような一言なのに、そんな笑顔で言われたから苦しいくらいに胸がきゅうって締め付けられて体温が上がった。
それからうるさいくらいにドキドキと心臓が鳴って、顔だってきっと真っ赤になってるから爆豪くんの顔が見られなくなった。
それでね、気付いちゃったの。
これが恋なんだって。
「そーいやァ…晴れ着似合っとる」
「あ、あ…りがと……」
「馬子にも衣装」
「褒めるならちゃんと褒めてよ」
楽しそうに言うから怒る気にもならなくて、これが惚れた弱みってやつなんだなって思った。
新年から私の心は大忙しだ。
でもきっと、恋をするっていいことだからこれが大吉パワーなのかもしれない。
「大吉爆豪くんよろしくお願いします!」
「人をパワースポットみてェに扱うな」
「爆豪~!みょうじ~!お前らまたはぐれんぞ~!」
「人を迷子キャラにするのやめてっ!」
友達とわいわいして、それだけでも楽しいのに恋に落ちた私はまるで世界で1番幸せに思えて、なんだか今年はとてもいい年になりそうな気がする。
こんな私だけど、今年もよろしくしてください。
2025.𝖧𝖺𝗉𝗉𝗒 𝖭𝖾𝗐 𝖸𝖾𝖺𝗋.
