君に贈る花言葉。
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Side 切島
みょうじを助けた日から2週間が経った。
その間に何度かみょうじとは会ったけど、爆豪と家が近かったらしく基本爆豪が送り迎えをしてる。
明るくて、よく喋ってよく笑う。他校だけどあっという間に打ち解けた。
爆豪も心許してるのがわかる。
警察から学校にも連絡が来たらしく、相澤先生にも心配かけちまった。
相手の男は執着心が強いやつらしくて、またみょうじが狙われる可能性があると言われた。
護衛するつもりでいることを先生に伝えたら
「わかってると思うが、お前らは卵。外で個性を使ったらルール違反だ。お前らも相手の男と同じになる。だからもしもの時はプロを頼れ、いいな」
と先生に釘を刺された。
止められるかとも思ったけどルールを守ればいいと言ってもらえた。
さすが相澤先生!男だぜ!
プロを目指してる以上、相澤先生先生との約束とルールは守る!そんでみょうじのことも守る!
「爆豪!みょうじんとこ行くだろ?俺も着いていくぜ!」
「遠足じゃねぇんだよ」
「俺だって心配なんだって!」
「最近そのみょうじって名前よく出て来るよなぁ」
俺と爆豪の話を聞いて入って来たのは上鳴だ。
たしかに最近はみょうじの名前を出すことが増えたかもしんねぇな。
「主に爆豪だけど、最近送り迎えしてんだよ」
「なに、みょうじって女の子なの!?てゆーか、え!?爆豪が!?」
「騒ぐんじゃねぇよアホ面!」
名字でしか呼んでないから勝手に男だと勘違いしてたらしい。
女の子だとわかってあからさまに目の色が変わったのがわかる。
ほんと上鳴は女子が好きだな!
「なんで君たちが女の子の送り迎えする展開になるわけ!?教えてよ!?」
「いや、実はさ」
みょうじのこと、執着心の強い犯人、また狙われるかもしれねぇこと、護衛することになったことを話した。
「うわぁ、その子も災難だったな…。でも君たちがいてよかったじゃん!しっかし爆豪って送り迎えとかやるんだ…」
「誰が好き好んでやるか」
「そのみょうじって子、可愛い?」
「顔幼い感じで可愛い系だよな」
「俺に話振るんじゃねぇよ」
「へぇ、俺も送り迎えやろっか!?そしたらいい感じになって付き合ったりしてな!」
「あ?」
上鳴の言葉に爆豪の目付きが鋭くなったような気がした。
みょうじの容姿と性格なら上鳴はすぐ打ち解けて夢中になりそうな気もするな…。
でも俺的にはみょうじと爆豪はなんだかんだお似合いだと思う。
いつも楽しそうに話してるし、爆豪も穏やかな顔してる時が多い気がするし。
爆豪がそんな顔を俺たちには絶対に向けることねぇけどな。
そんなことを考えたり、教科書を睨みつけたり、ダチとだべったりしてるとあっという間に一日は終わる。
帰り支度を済ませて爆豪と下駄箱に下りて靴を履き替え、門まで向かうと少し早く帰り支度を済ませて出て行った上鳴と峰田の興奮した声が聞こえた。
「おいおい、なんだよ…顔よしスタイルよしおっぱいよしかよ!!」
「これから俺たちとお茶なんてどう!?」
「あ、えっと、人を待ってて…」
上鳴と峰田、それから女の子の声は聞き覚えがあった。
その子の声を聞くと爆豪はズカズカと大股で歩いて間に割って入ってく。
「え、爆豪?」
「なんだよ爆豪!邪魔すんなよな!あ!お前も一緒にお茶したいのか!?」
「うっせぇ!!黙ってろ!!」
突然割って入って来た爆豪の怒号に峰田は涙目になってる。
なんかいつもより迫力あったな。
「てめェはここで何しとんだ」
「早く終わったから来ちゃった」
「待ってろっつったろ」
上鳴たちに絡まれてた時の不安そうな声から、爆豪の顔を見てパァっと明るい笑顔と声になったのは思った通りみょうじだった。
その表情と二人のやり取りを聞いて当然上鳴と峰田は固まっていた。
「え、なに?爆豪の彼女…?」
「はぁぁぁああ!?お前は口悪いしとんでもねぇ性格してるから女とは無縁だと思ってたのにこんな可愛い子が彼女!?」
「玉、てめェぶっ殺すぞ」
「それだよそれ!!」
「か、彼女じゃないよ…」
事情知ってる俺ですら彼氏彼女のそれに見えたから上鳴たちの反応は当たり前だよな。
爆豪の彼女って言われてほっぺ赤くしてるみょうじは男として来るもんがあるっつーか。
「あ!切島くん、こんにちは!」
「おっすみょうじ!」
「みょうじってさっき話してた女の子!?この子が!?」
「私の話してたの~?悪口だ!」
眉間に皺を寄せながら俺と爆豪を交互に見やるけど怒ってないどころか口元は少し緩んでるのがわかる。
上鳴と峰田が「なに!?めっちゃ可愛いじゃん!!」って騒いでるのを爆豪がすげぇ目付きで睨んでる。
「2人は爆豪くんと切島くんのお友達?」
「てめェには目がねぇんか!?」
「あるから言ってるんだよ」
「節穴かって話だわ」
「そんなことないよ、だって爆豪くんのいいところすぐ気付いたもん」
「うっぜぇ!話になんねぇなぁ、てめェは!」
爆豪に何言われてものほほんと笑顔で会話してるみょうじってすげぇやつなのかもしれねぇ…!
爆豪が押され気味なんてレアだな!
「もし良ければみんなで少しお茶でもしますか?さっき、えっと、誘ってもらったし」
「なに!?なにこの子!?天使なの!?」
みょうじの言葉に上鳴が歓喜しすぎて泣きそうになってる。
峰田は鼻息荒くしてるけど、後で爆豪に何されても知らねぇぞ…。
「切島くんと爆豪くんにもお礼したいし!」
「行く行く行くに決まってんだろォォ!!女子とお茶!?行くだろそりゃ!!」
「行かねぇ」
興奮する峰田をぶった斬るように爆豪の一言が発せられた。
まあ、お前はそうだろうよ。行くとは思ってなかったよ。
「帰んぞ」
「え、あ、ちょっと」
戸惑うみょうじの腕を引っ張って帰ろうとする爆豪を上鳴はボケーッと見て、峰田は号泣しながら「アイツぜってぇ許さねぇ…」って小声で言ってる。
「切島ァ」
「なんだ?」
「コイツの送り迎え、これからは俺がやっからてめェはいいわ」
「いや、やるって!」
「効率考えろやボケ」
家が近いからって理由なのかもしんねぇけど、俺だってみょうじのこと心配してんだぜ?
でもまあ、みょうじも爆豪のこと信頼して楽しそうにしてるし、爆豪本人がそう言うなら任せるか!
「みんなごめんね。また今度お茶しようね!」
「はよ歩けや」
「なんで今日そんなにイジワルなの?」
ああだこうだ言いながら歩く二人の後ろ姿を3人で眺める。
爆豪もみょうじもなんか楽しそうにしてんな。
そんな二人を見て思わず頬が緩む。
「なぁなぁ、切島。あの二人って本当に付き合ってねぇの?」
「付き合ってねぇな!」
「それにしちゃあ雰囲気良すぎねぇ?」
「楽しそうではあるよな!」
「爆豪ぜってぇ許さねぇからな!!!!」
峰田の悲痛な叫びが虚しく響いた。
よし、俺も帰るか!
そういえば爆豪が誰かの腕引っ張って歩くなんて初めて見たかもしんねぇな。
Side 爆豪
コイツは隙だらけで警戒心がないんか?少しは考えろや。
あの玉に言われたこと聞いてなかったんか?
アイツは隙あらば女のことしか考えてねぇ。
俺と切島のクラスメイトってこと気にして言ったんか知らねぇが、玉には近付けるべきじゃねぇな。
「本当によかったのかなぁ。せっかく誘ってくれたのに」
「アイツらは女のことしか頭にねぇクソ共だからほっとけ」
「………」
「なんだよ」
「私のこと気にして帰ろうって言ってくれたの?」
「めでてぇ頭しとんな」
俺の否定を否定と受け取らねぇコイツの頭は本当にめでてぇ。
それどころか嬉しそうな表情してやがる。
コイツの表情から目が離せなくなってる自分がいるのがわかる。
玉は論外だが、アホ面にもクソ髪にすら隣で笑ってるコイツを想像すると無性に腹立たしくなった。
気付けばみょうじの存在が俺の中ででかくなってやがる。
毎日一緒にいるとは言え、こんなクソ短ぇ時間で女一人にこんなこと思うなんざ誰が予想したんだよ。
今まで他の女にそんなこと思ったこともねぇし、自分の時間を削ってまで何かをしてやろうと思ったこともねぇ。
それが送り迎えは俺がやる、だ。
この女が絡むと自分が自分じゃねぇみてぇになる。
「爆豪くんのそういうところ、私は好きだよ」
言った後にチラッと俺の顔を見て照れたように笑う。
照れんなら言わなきゃいいだろ…この女といると調子狂うわ。
コイツの好きは何の好きなんだよ。
少し赤くなった頬を見て期待しちまう自分がいる。
他の男に近付けたくねぇ、俺だけのモンにしてぇ。
そんな感情が押し寄せてくる。
人の気も知らねぇでヘラヘラ笑いやがって。
俺がてめェをどう思ってんのか言ったらどんな反応すんだ。
照れんのか、慌てんのか、困るんか。
「…てめェの素直なとこはいいんじゃねぇか」
「ば、爆豪くんってそんなこと言うんだね…」
柄にもねぇことを言ってみれば案の定耳まで真っ赤に染めてやがる。
コイツの頭ん中俺でいっぱいにしてぇ。
あー、クソが。気付きゃ心底コイツに惚れとるわ。
「…てめェにしか言わねぇだろ」