僕らの日常。
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※後半短いですが爆豪くん視点があります。
苦手な方はご注意ください。
期末試験も無事に終わり、夏休みはなんとかクラス全員で林間合宿に行けることが決まって大盛り上がり。
私もお茶子ちゃんと梅雨ちゃんと勉強したり、爆豪くんに勉強教えてもらったおかげで筆記試験は中間試験の時よりもいい成績を取る事ができた。
演習試験もなんとか赤点回避出来て本当によかった。
そして気が抜けたのかその日の夜、久しぶりに高熱を出してしまった。
体だるくて動けない…。
そうだ。爆豪くんには早く連絡入れとかないと明日駅で待っててくれるもんね。
力の入らない手でなんとかスマホを持って爆豪勝己の文字を探す。
メッセージを送ろうとするけどやっぱり打てなくて、電話にしようと通話ボタンを押すと呼出音が鳴る。
何度か規則的な機械音が鳴った後に私の好きな低い声が聞こえてきた。
「…なんだよ」
「ばくご…くん…」
「あ?」
「ごめ…熱出た…休む…」
なんとかそれだけ伝えきった。
その後爆豪くんが何か言ってた気がするけど頭痛いしだめだぁ…。
いつの間にか寝てたみたい…まだ体だるい。
「…起きたかよ」
あれ、爆豪くん見える。ついに熱で幻覚見えたか。
それは相当まずいのでは。
「ばくご…くん…?」
「まだ熱あるから寝てろや」
「あの…手、にぎっていい…?」
小さい頃、熱を出すとお母さんが私が眠るまで隣で手を握っていてくれた。
苦しくて、辛かったけどお母さんがいるって思えて安心した。
爆豪くんはそんなこと頼んだら嫌な顔して絶対やってくれないと思うけど、幻覚の爆豪くんになら頼んでみてもいいよね?
彼はチッて舌打ちしながら私の手を握ってくれた。
あたたかい。安心する。
「爆豪くんの手、おおきくて安心するね…へへ…」
「…さっさと寝ろや」
「ん」
目を閉じると幻覚なのに爆豪くんの体温を感じる気がした。
熱出して爆豪くんの幻覚まで見るって、私思ってる以上に爆豪くんが好きなんだ。
爆豪くんは口が悪くてわかりにくいけど、本当はすごく優しい。
毎日私のこと家まで送り届けてくれるし、困ってる時には助けてくれる。
この前は髪留めまでプレゼントしてくれて、人のことちゃんと見てくれてる。
お茶子ちゃんと梅雨ちゃんと勉強会してた時に「外にいる」ってメッセージが届いたから、2人にはそろそろ帰ると伝えて慌てて外に出たら本当にお店の外で待っててくれてた。
もし、爆豪くんのおうちに近いのが私じゃなくて他の子だったら…?
あなたは優しいから毎日送ってあげるのかな。
だとしたら、それはすごく嫌だな…。
爆豪と付き合ってもいないのに独占しようとしてる。
私、すごく性格悪い。
目を開けると明るい電気の光が入ってくる。
どのくらい寝てたんだろう。さっきより体が楽になってる気がする。
爆豪くんの夢、見てた。
心が弱ってて、よっぽど人恋しかったのかな。
「体調どうなんだよ」
「……!?」
な、なんで!?
キッチンの方でズボンに手を突っ込みながら携帯を持って立っている彼は、今まさに夢で見たその人だ。
「爆豪くん!?なんでいるの!?」
「てめェが熱出たって言った後、返事もなんもしねぇから見に来てやったんだろーが」
「…来たばかり?」
「2時間経った」
一気に血の気が引く。
手握っててってお願いした爆豪くんは幻覚じゃなくて本物…?
本物になんてことを言っちゃったの私…!
え、じゃあ手握ってくれたのは?
あれは私の夢?
でも本当に手からは爆豪くんの体温を感じた気がする…。
「あ、あのさ…私、手…」
「次はねぇ」
次は、ということはやっぱり爆豪くんが私の手を握っていてくれたんだ。
恥ずかしさと申し訳なさが込み上げてくる。
それと同時に心配して様子を見に来てくれたことに嬉しさも感じた。
「メシ食えるんか」
「食欲あまりないかな」
「粥作ってやったから食え」
「爆豪くんが作ってくれたの!?」
「病人に変なモン食わせらんねぇからな」
「食べる!!」
熱々のお粥をお皿によそって戻って来てくれた。
心配してわざわざ様子を見に来てくれて、お粥を作って起きるのを待っててくれる。
なんでこんなに優しくしてくれるんだろう。
これで期待するなは残酷じゃないかな。
「さっさと食って寝ろ」
「いただきます……美味しい…」
「は!?何泣いてんだてめェは!!」
レンゲにお粥を乗せて食べるとあたたかくて美味しくて、優しくて。
初めて一人暮らしをしてから、初めて高熱を出して心細かった時に爆豪くんが来てくれた。
泣く気なんてなかったのに勝手に泣いてた。
だめだ。爆豪くんのこと困らせちゃう。
「嬉しくて勝手に涙出てきたぁぁ」
「大袈裟なんだよ」
ぽんぽんっと爆豪くんが私の頭を撫でた。
それを理解してから熱とは違う、体温が一気にあがる。
ねえ、それを他の子にもやるの?
私はあなたの特別にはなれない?
私はあなたにとってどんな存在なの?
全部全部、口から簡単に出て行きそうになる言葉をグッと堪える。
私の思ってることを言葉にしてあなたが離れて行くのが1番怖い。
だったらまだこの気持ちは隠していよう。
「爆豪くん、ありがとう。ごめんね、夜遅いのに。ご両親心配してるでしょ?」
「あ?ダチんとこ行ってくるって言っといたから気にすんなや」
「薬まで買って来てくれて助かった!爆豪くんのおかげで明日には元気だ!」
「…悪かったな、勝手に家入って」
「ううん!大丈夫!」
爆豪くんは何か言いたそうな顔をしたけど、帰ると言って準備を始めた。
「…なんかあったらすぐ連絡しろや」
「うん、ありがとう!心強い!」
じゃあなと言って玄関から出て行く彼の後ろ姿を見送る。
爆豪くんが食器も洗って片付けてくれたから、私は再びベッドに潜り込んだ。
今まで私の部屋に爆豪くんがいたなんて不思議。
ていうか私パジャマだし、髪の毛もぐしゃぐしゃだった!!
恥ずかしすぎる…。
「…すきだなぁ…」
言葉にすると恥ずかしさと好きな気持ちが大きくなる。
爆豪くんも私の事を好きになってくれたらいいのにな、なんてそれは贅沢なわがままだよね。
でも、ちょっとは期待してもいいですか…?
爆豪Side
「…こっちのことも考えろや」
アイツんちからの帰り道、呟いた言葉は俺にしか聞こえねぇ。
手ェ握れだ?クソが!
惚れた女の家行って、熱あるとは言え顔火照らせてやがるヤツの手ェ握って理性保てってか!?
しかも玄関に鍵掛けてねぇって不用心すぎるわ!
他の野郎も簡単に家に入れんよのかよ。
想像したら腹立ってきた。
あんな無防備な姿晒しやがって。
胸元開いてんだよバカ女!
襲われなかっただけ有難く思いやがれ!
「てめェは俺に守られてりゃいいんだよ」
傷付けたくねェ。大事にしてやりてェ。
そう思ったヤツはアイツが初めてだ。
大事にしてぇ。甘やかしてぇ。笑顔が見てぇ。
あー…意味わからんくらい惚れとんじゃねぇか。
「…みょうじ、なまえ…」
アイツの名前を呟くとそれだけで柄にもなく愛おしく感じた。
はよ熱下げろや、バカ女。