僕らの日常。
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休日。朝10時。いつもの駅前。
普段はほとんどしないお化粧を少しして、髪の毛も可愛くハーフアップで結ってみたり、フレアワンピースなんて着てみちゃって。
普段しないことしたら勝手に気恥ずかしくなって、家でじっとしてられなくて約束の時間の30分も前に来てしまった…。
完全にデート意識してますって感じでやっちゃったかな!?
あ~やっぱりもっと普通の格好したらよかったかなぁ…。
変だって言われたらどうしよう…。
はぁ…とため息が零れる。
今からなら間に合うから着替えてこようかな…。
「ねえ、君」
「?」
知らないお兄さん3人組に声を掛けられた。
絶対道わかんないとかじゃないよね。
最近こういうの多いなぁ…。
なんだろ私、面倒事引き寄せちゃう体質だったらどうしよう。
「ひとり?」
「違います」
「いやいや、ひとりじゃん!」
「俺たちとパーッと遊びに行かない?」
「あの、本当に人待ってるので」
「いいから行こ」
腕をグッと強く掴まれ、腰にも手を回されて、ゾワゾワっと身の毛がよだつ。
どうにかして離れないと。
振り払おうとしても力強っ。
この人パワー系の個性なの?馬鹿力すぎない!?
一応私だってヒーロー目指す端くれで鍛えてるし、そこら辺の男の人には負けないと思ってるんだけど!?
「離してください…っ!」
「その汚ぇ手離せや」
「ば、くご…くん…」
その声はここで約束してた彼のもの。
その姿を視界に捉えて一気に安心する自分がわかる。
「なに?今忙しいんだよね」
「てめェら誰の女に手ェ出してると思っとんだ?死んで失せろや」
彼はいつも以上に怒りを見せていて、手でバチバチッと威嚇のための小さな爆発を見せていた。
いや、彼の場合、相手の出方によっては本当にそのまま爆破させる気なのかもしれないけど。
個性見せられて勝てないと思ったのか、3人組のお兄さんたちは私から手を離してそそくさとその場を離れて行った。
「彼氏いるなら言えよ」とお決まりのようなセリフを吐き捨てながら。
お兄さんたちから視線を助けてくれた彼に向ける。
「爆豪くん、ありが…」
「何しとんだてめェは!毎回毎回!!」
「ごめんなさいっ!」
「そんな格好してっからだろうが!!」
「…ごめん。やっぱり着替えて来るから待ってて」
失敗した失敗した、最悪だ。
やっぱり変に意識した格好して来なきゃよかった。
せっかく爆豪くんと一緒に出かけるのに行く前からトラブルだし、しかも毎回爆豪くんも巻き込んじゃうし。
爆豪くん舌打ちした。怒ってる。
「…そういう意味じゃねぇってことくらいわかれよ、バカ女」
私に背中を向けるようにして言ったから表情はわからないけど、爆豪くんの耳が少し赤くなってるように見えた。
爆豪くんの言葉の意味を少し考えて私も一気に体温が上がる。
それってさ、褒めてくれたってことだよね…?
「爆豪くんは、やっぱり私のヒーローだね」
アフターケアまでバッチリだ!って付け足したら案の定怒鳴られました。
あれ、そういえばまだまだ約束の時間まであったはずだけど…。
爆豪くんも早く来てくれたんだって思ったら嬉しくなった。
一言で私の心まで救い上げてくれる。すごいや。
「お店ここなんだけど知ってる?」
「有名」
「行ったことあるの!?」
「ねぇよ」
そこからはいつもみたいに他愛ない話をして爆豪くんが好きな激辛料理のお店が入ってるショッピングモールへと向かう。
電車で30分くらい。
今日は電車も空いていたので2人並んで座った。
こうやって爆豪くんと隣に座って一緒に出かける日が来るなんて思わなかった。
彼の顔を覗き見てもいつも通り眉間に皺を寄せてた。
少し頬を緩めると「何笑っとんだ」って不機嫌そうに言われた。
彼との何気ない時間が好きだ。
「かっ、辛い!辛い!ひ~~~無理だこれぇぇえ!!」
「うっせぇ!黙って食えや!! 」
「口の中痛いもん!!唇腫れた!!」
「腫れとらんわ!!大体てめェのは全然辛くねぇやつだろーが!!」
「辛い物苦手で…」
「は!?てめェが行きてぇっつったろーが!」
だってそれはさ、いつも助けてくれたり送ってくれたりするお礼がしたかったって言うか。
それに爆豪くん辛いの好きだから共有したかったって言うか。
辛すぎて無理だったけど。
爆豪くんは余裕そうに自分で頼んだ激辛ラーメン食べてるし。
「貸せ」
私の方に手を差し出して来たけど、貸せって…え、これ?
「… 食べかけだよ」
「残すのが悪ぃんだろーが!黙ってさっさと寄越せや!!」
「お願いします…」
お皿を爆豪くんに渡してお願いする。
辛すぎてほとんど食べれなくて、そのまま残すのはお店にも申し訳なかったから本当にありがとう、私のヒーロー!
「これのどこが辛いんだよ」
「すごい辛かったよ、唇腫れたもん」
「腫れてねぇっつーんだよ、しつけぇな」
思わず笑いが込み上げる。
爆豪くんが食べ終わるのを待ってお会計を済ましてお店を出て、せっかくのショッピングモールだし少し見て回ることにした。
登山が好きな爆豪くんはスポーツショップなんかを見てて、私は普段スポーツショップなんて見ないから新鮮で楽しかった。
私がアクセサリーショップに入る時はさすがに入る気にはならなかったみたいでお店の外で待っててくれてた。
クレープのお店を見つけると甘いもの好きな私はすぐさま買いに行って、爆豪くんにほぼ無理やり一口あげると「甘ェ…」と顔を歪ませていた。
あっという間に1日が終わる。
楽しい時間ってなんですぐに終わっちゃうんだろう。
もっと爆豪くんと一緒にいたいな…。
でも時間の流れは止まらなくて、いつもみたいに爆豪くんが家まで送ってくれてもうお別れの時間。
また明日学校で会えるのはわかってるんだけど寂しいと思ってしまう。
付き合ってもいないのにね。
「今日はありがとう!楽しかった!」
私がそう言うと爆豪くんは無言で握りしめた手を差し出して来た。
何かと思って私も手を開くと小さな袋を渡された。
「なに?中見てもいい?」
「勝手にしろ」
受け取った袋の中身を見てみると、私がアクセサリーショップで見ていたけど買わなかった赤い花があしらわれたバレッタが入っていた。
「なんでこれ…」
「欲しかったんじゃねぇんかよ」
「だって一緒にお店入ってないのに…」
「舐めんな!わかるわ、そんくらい」
いつの間に買ってくれたんだろう。
あのお店に入るの嫌がってたのに。
私のために爆豪くんが買ってくれた。
嬉しい、すごく嬉しい。
「ありがとう!大切にする!毎日付ける!」
「そうかよ」
顔が緩むのが止められない。
だってすごくすごく嬉しいんだもん。
また明日って言うと軽く手を挙げて返してくれる。
あなたの後ろ姿が好き。
赤がよかったのはね、あなたの瞳の色と同じだからだよ。
そんなこと言ったらきっと気持ち悪く思うよね。
だからそれは内緒にするね。
「…って、忘れようとしたけど助けてくれた時誰の女にって言ったよね!?」
「いや、あの場を収めるためか。そうだよね。」
「でもそれはずるいよぉぉ!!」
自分の中で好きが毎日毎日大きくなる。
こんなに幸せでいいのかなって。
だけどこの気持ちをあなたに伝えるのがすごく怖い。
だからごめんね。
卑怯だけど、もう少しだけこのままの関係で、あなたと一緒にいてもいいですか?