僕らの日常。
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※爆豪くん視点です。
苦手な方はご注意ください。
Side 爆豪
初めてそいつを見たのは入試ン時だった。
誰もが素通りする正門の真ん前に立って祈るみてぇに手を合わせてやがった。
変なヤツ。それが最初だ。
入試が始まったら始まったで、ポイント高ぇ仮想ヴィランロボ倒すのが普通なのにそいつは他のやつがロボを倒すサポートかモブの治癒に専念してた。
倒せねぇのにヒーロー科受けてんじゃねぇわ。
バカなヤツ。それが次に思ったことだ。
4月になって雄英に入学したらクラスにそいつがいた。
なんでアイツが合格してんだよ。
クソデクもだ。
なんでこんなヤツらが合格してんだよ。
ムカつくんだよ、クソが。
入学してからもそいつとは必要最低限のことしか喋らなかった。
ただ、入試ン時といい、個性把握テストに戦闘訓練。
そのどれもだ。
他のヤツらのサポートに徹底してたのはてめェの個性で出来ることを把握した上で最善の方法を考えてたんだとコイツを見てわかった。
それからはいつも俺の視界の中にいた。
クソうぜぇくらい気付けば目で追っちまってた。
目立つタイプではないが、その存在が気になった。
なんなんだよクソ!!
「爆豪くんおはよ!今日日直一緒だからよろしくね。これから相澤先生のところに行ってくるから、連絡事項あったらあとで共有するね」
それがこの女とほぼ初めての会話。
コイツの言葉が自分に向けられてると思うと気分が良かった。
その日一日は日直っつーのを理由にこの女といた。
よく話すヤツ。
責任感が強いヤツ。
誰も見てねぇところで努力してるヤツ。
素直なヤツ。
よく笑うヤツ。
少し会話しただけで俺の中のコイツのイメージが変わっていく。
コイツは表情までコロコロ変わりやがる。
面白ぇヤツだが、人のことをしっかり見てるヤツでもあった。
「爆豪くん、私のこと避けてた?」
その一言に心臓が跳ねた。
避けてたと言えば避けてた。
最初は弱いヤツだと思って嫌いだった。
その後はずっとコイツのこと考えてる自分が嫌だった。
だから極力関わることをしなかった。
「ずっと爆豪くんとも話してみたいなーと思ってたんだぁ」
コイツは誰とでもよく喋る。
丸顔とも、デクとも、クソ髪とも、アホ面とも。
クラスの連中とは幅広く仲良く、ヘラヘラ笑って楽しそうに。
「だけど爆豪くんは私のこと避けてるみたいだったから、話しかけたら悪いかなと思って。だからたくさん話して、一緒に帰ったり出来るの嬉しいんだぁ」
ヘラヘラ嬉しそうに笑うのを直視出来ずに視線を逸らした。
そりゃそうだわ。避けてるやつと誰が喋りてぇんだ。
「これからも俺と一緒に帰らせてやるわ」
「私もこれからも爆豪くんに送らせてあげるよ」
「あ?ざけんなひとりで帰れや!」
「冗談だよ!本当に駅まででいいんだってば!」
「俺がひとりで帰らすと思っとんのか!?ああ!?」
「言ってることめちゃくちゃだよ」
コイツが笑って楽しそうにしてんの見るとガラにもなく心が和む。
俺が俺じゃねぇみてぇだ…。
何日か前、普通科のクソモブ女共に絡まれてるのを見た時。
体が勝手に動いた。初めてだった。
自分はヒーロー科だから守るためにしか力は使わねぇって言ってるのを聞いて、コイツは強ぇヤツだって思った。
何処が弱ぇンだよ。前の自分に言ってやりてぇわ。
「そういえば上鳴くんが今度みんなで遊びに行こうって言ってたよ」
「…ンなもん断れや」
「えーでもお茶子ちゃんたちも行くと思うんだよね」
「断れや。てめェは俺と出かけてりゃいいんだよ!」
「お…おう…そだね…」
照れると耳まで真っ赤にしやがる。
なぁ、ンなツラ他のモブ共には見せんじゃねぇぞ。
てめェの全部俺のもんにしてェ、そう思っちまった。
「辛いもんのリサーチ済んだのかよ、みょうじ」
「…え!?今名前…!え!?」
「うるせぇ!二度と呼ばねえ!!」
「私の名前覚えてたんだね!?知らないのかと思ってたよー!」
「知っとるわ!舐めんな!」
「えへへー、しょうがないから何回でも呼ばせてあげるよ」
「何様だてめェは!!」
思えば最初から惚れてたんかも知れねぇわ。
こっから本気だ。覚悟しとけや。