僕らの日常。
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目を開けたら知らない天井が見えて、どこだろうって考えてたらすぐにお医者さんと看護師さんが来たからここが病院なんだと理解した。
リカバリーガールが駆けつけてくれたおかげでエンデヴァーは重症だったけど一命を取りとめ、ホークスも無事だと聞いてほっとする。
そして私は自己治癒してたおかげで外傷は少なかったけど、個性の使いすぎで内側からのダメージが大きく丸1日寝ていたと説明された。
「治癒の個性だからって使いすぎたら身を滅ぼすよ。実際君の体は内側からボロボロだったんだからね。自分自身の体も大事にしなさいね」
私の治癒は誰かを回復させる度に自分の体力を削られてしまうし、自己治癒ならなおさら代償は大きい。
反省はしてるけど目の前に治癒を必要としている人がいるなら使わないなんて選択肢はない。
もっと上手く個性を使えるようにならなきゃ。
あと1日様子を見て問題がなければ退院という説明をした先生が病室から出て行くのと同時に今度はホークスが入って来た。
「おはようございます、みょうじさん。って言ってももう夕方ですけどねぇ。調子どうです?」
「個性柄回復は早いので大丈夫です。ご迷惑をおかけしました」
「いやいや~、みょうじさん頑張ってましたし、思いきりの良さには驚かされました」
昨日と同じ顔で笑うホークスを見て少しはリカバリーしてもらったと思うけど、大怪我がなくてよかったとホッとした。
一息つくとさっきまでの笑顔ではなく真剣な顔をしたホークスにここからが本題なのかもしれないと私も身構えた。
「ひとまず無事で安心しました。俺のせいですみません」
「やめてください!私の力が足りなかったせいです。私だって仮免だけど、持ってます。自分の責任です」
何の話かと思ったら頭を下げられてしまって、まさかそんなことされるなんて思わなくて慌ててしまう。謝られることなんて何も無いのに。
荼毘に掴まれた腕を見ると傷は残らなかったけどあの戦いを思い出す。
あれは戦いって言えるのかすらわからない。
連合に私の利用価値があったから、勝己くんが手榴弾を持たせてくれていたから、運がよかっただけで私は何も出来なかった。
プロみたいに立ち回れるなんて思ってない。だけど何も出来ないのは悔しい。
「エンデヴァーの顔に大きな傷が残ったって聞きました。私が倒れないで少しでも治癒出来てたら傷は少しは小さくなったのかもしれないって…」
「エンデヴァーさんも俺もプロですよ。みょうじさんも今自分の責任って言ってたでしょ。自分の怪我は自分の責任です…ってこれエンデヴァーさんが言ってたんですけどね!」
思い上がるなと言われてしまえばそうだけれど、それでも出来ることがあったんじゃないかって思う。
ホークスに励まされてしまった。
せっかく私をサポートメンバーに入れてくれようとしているのに…。
私は、もっと強くならなきゃいけない。
「私、強くなります。絶対に」
「はい、期待してますよ」
そう笑って答えてくれるホークスの期待に応えたい。
雄英に戻ったらまた訓練頑張らなきゃ、そう静かに気合いを入れ直した。
「そういえばあの後みょうじさんの携帯ずっと鳴ってましたよ」
「あ、起きてから確認してなかったです」
「爆豪くんから凄まじい回数の電話でしたね、出ときました」
「え!?」
「冗談ですって。さすがにそんなことしませんて」
どこまでが本気で冗談なのかがわからない笑顔で言うもんだから一緒になって笑ったけれど、勝己くんから電話だったのはちゃんと見てるじゃん!と心の中で言い返した。
「とにかくみょうじさんが思ったより元気でよかったです。チームアップの件、雄英にも話通しとくんで!」
「はい、頑張ります!」
速すぎる男と呼ばれているホークスはほんの数分で「次がありますんで」と病室を出て行った。
彼がいなくなって静かになった部屋で携帯を開くと勝己くんとお母さんからの着信が数件と、それからA組のみんなからメッセージも届いてる。
……お母さん、心配してるだろうな。
そう思いながら最初にお母さんに電話をかけると数回のコールの後に私の名前を呼ぶお母さんの声が耳に入って来た。
「ケガは!?大丈夫なの!?」
「うん。治療してもらったし、個性で治りも早いから大丈夫だよ」
私の言葉を聞くとお母さんは「はぁぁぁ…」と長く息を吐いた。
きっと今まで心配と不安で張り詰めていたものが解けたんだと思う。
そこからのお母さんの声は少しだけ震えていた。
「…テレビで見て、生きた心地がしなかったのよ」
「……心配かけてごめんね。でも私、もう心配かけないって約束するからっ!」
テレビの中継を見ていて私が荼毘に捕まっていたこと、手榴弾での爆発、それからエンデヴァーの治癒を行って倒れたことは全て知っていたらしい。
その後、私の状況がすぐにホークスから雄英、相澤先生から両親に命に別状はないけど内側からのダメージが大きくまだ意識がないと伝わっていて私からの連絡が来るまで気が気じゃなかったと。
心配させてしまったことは応援してくれている両親に悪いことをしてしまったと思う。
「一度ちゃんと話そう」
「お母さんっ!」
「なまえのこと、ちゃんと応援したいから話そう」
有無を言わさないような、それでいて落ち着いた声で言われてしまえば「…わかった」と言うしかなかった。
相澤先生と話して予定を決めることになることを伝えて、もう一度心配かけたことを謝って電話を切った。
自分が悪いのはわかってる。私が弱いから、だから心配をかけてしまう。
お母さんの言う通り、ちゃんと話して信頼を取り戻すしかない。そうしてちゃんと応援してもらいたい。
だってこの夢をあきらめるなんて出来ないもん。
再度携帯を開いてA組のみんなからのメッセージを見ると「みょうじ無事!?」「大丈夫!?」「早く帰っておいで!」って私を心配する言葉がたくさん綴られていて、早くみんなのところに帰って顔が見たくなった。
最後まで読み終わってから時計を確認する。この時間なら勝己くんも自主トレ終わらせてる頃だから電話出るかな…。
みんなにも心配かけちゃったし、勝己くんも心配してるだろうから明るくしゃべらなきゃ。そう思いながら電話を発信させて呼出音に耳を傾ける。
数回の呼出音が鳴った後、通話が繋がる音がした。
「あ、もしもし?勝己くん?」
そう呼びかけても返事がなくて「あれ?勝己くん?聞こえてる?」って1人で喋ってると小さく息を吐く音が耳元で聞こえた。
その音でちゃんと電話繋がってたと少し安堵する。
「………ケガは大丈夫なんか」
「うん、大丈夫!個性使いすぎて倒れちゃったみたいで明後日に退院して帰るね」
「トレーニングが足りねぇンだよ!もっと気合い入れてやれや!」
「痛感してる。また頑張るよ」
聞こえてくる勝己くんの声音から私をすごく心配してくれていたんだと伝わる。
また心配かけさせちゃったなぁ…。
勝己くんにもお母さんにも心配かけない為に、結局私がやることは強くなることなんだ。
「勝己くんが手榴弾を持たせてくれてたおかげで助かったんだよ、ありがとう!」
「知っとる、テレビ見とった」
「わ、勝己くんも見てたのか…情けないところ見られちゃったや…」
「…情けなくはねぇだろ」
あの時荼毘に連れて行かれないように動いて状況を好転させたのがサポート型であり、連合に狙われている私には最善の行動だったと勝己くんが言ってくれた。
あそこで私が攫われていたとしたら、ホークスが言っていたエンデヴァーとのチームアップで囮になるという計画もダメになってしまっていたし、個性を悪用されることも、拷問を受けていた可能性だってある。
だからきっと最善だった。
「…勝己くんに、会いたいな」
無意識に出た言葉は紛れもなく本心で、声だけじゃなくて顔を見て、体温を感じたいと思った。
きっと自分が思ってる以上に体も心も弱ってるんだ。
「明後日帰ってくんだろ、はよ帰って来い。待ってっから」
「うん!早く帰る!明日の訓練頑張ってね」
「おー」
ずっと声を聞いていたくて名残惜しかったけど「また明後日ね」って伝えて電話を切って、表示された勝己くんのアイコンを見つめた。
情けなくないって、最善だったって言ってくれた。
彼は嘘を吐かないから本心だってわかる。
いつまでも後悔ばかりじゃダメだ。次どうするかを考えよう。立ち止まってはいられない。
強くならなきゃ。
