僕らの日常。
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無事に文化祭も終わり、お祭り気分も抜けていつも通りの日常に戻って行く。
笑うことを忘れてしまったエリちゃんが心から笑って、すごく楽しそうに文化祭を回っていたと緑谷くんに聞いた時は本当に嬉しかった。
私たちがやったことが心に届いて、暗くて深い過去から少しでも解放してあげられたなら、緑谷くんはエリちゃんにとって間違いなくヒーローだと思う。
そしてエリちゃんを雄英で引き取ることが決まって、新しい環境に慣れた時には私もエリちゃんと仲良くなりたいな。
目まぐるしく日々は過ぎていき、オールマイトのいない初めてのヒーロービルボードチャートが発表されたのをみんなでテレビの前でかじりつくように見て、轟くんのお父さんでもあるエンデヴァーがNO.1ヒーローになったのをみんなで喜んだけれど轟くんはどこか神妙な面持ちだったのが少し気になった。
それが2時間ほど前。
「みょうじ、悪いがすぐに出かける準備をしてくれ」
そして現在。
寮に入って来た相澤先生が私を見るなりそう言うもんだから私はもちろん、クラスのみんなも不思議そうな顔をして先生を見る。
「えっと…どこに…?」
「九州だそうだ」
「九州!?」
それはもう突然のことだし、まさかの地名が出たから全員の驚きの声が揃った。
しかも「だそうだ」ってどういうことなんだろう。先生も詳細を知らないってこと?
いつものようにリカバリーガールとの活動なら初めからそう言うはずだし…。
「No.2ヒーロー、ホークスからの要請だ」
「ほ、ホークスですか!?」
さっきチャート発表を見ていたからもちろんだけど、その前からヒーローに疎い私でもホークスのことは知っていた。
でも彼とは接点もなければ会ったことすらない。
それに要請を出すんだとしたら私よりもホークスの事務所にインターンに行っている常闇くんにじゃないの?
私の方が今回は役に立つ個性なんだろうか。
考えても仕方ない。とにかく早く準備をして出発しよう。
ヒーロースーツも教室に取りに行かなきゃいけない。
急いで一度部屋に戻って制服に着替えながら自分の部屋にいてこの事を知らない勝己くんに電話をかける。
「あンだよ」
「これから九州行くことになりました」
「あ!?」
「ホークスからの要請が来て、ヒーロースーツ取りに行ってすぐに出発するの」
「…教室まで俺も行ってやる」
電話が切られて無機質な音が鳴る携帯と最低限の荷物を持ってエレベーターに乗り込むと1階で勝己くんが待っていてくれた。
勝己くんに「お待たせ」、みんなには「行ってきます!」と伝えて見送られながら寮を出る。
「なまえに要請ってこたァ救援だろうが九州方面でそんな情報ねェ。つーかチャート発表で東京いるンじゃねンか」
「何もなくてNo.2が私なんかを呼ぶとも考えられないけど…まぁ、行けばわかるよ!」
「能天気かよ」
前に勝己くんと救援に行った時はちゃんと理由を言われたし、すぐに状況を飲み込めたけれど、今回はボヤっとしてて言われるがままだ。
それでもきっと呼ばれたことには意味があるし、仮免ヒーローではあるけれど状況に適応してみせる!
ヒーロースーツを持って、相澤先生に言われた集合場所まで勝己くんも見送りに来てくれた。
「いってきます!」
「気ィつけてけや」
「うん!勝己くんも補講頑張ってね!」
「ん」
勝己くんに手を振って学校が用意してくれた車に乗り込んで、空港から飛行機で九州へ向かう。
どんな現場かわからないからいつも以上に気を張らなきゃ。
そう気合いを入れてホークスから指定された空港に向かった。
「キミが噂のみょうじさん!ツクヨミから話聞いてるよ」
「焦凍の学友か。ホークス!何故ここに学生を呼ぶ必要があるんだ」
「それは追々ってことで」
空港について私を待っていたこの状況に困惑して固まってしまう。
ホークスからの要請だったから彼はともかく、なんでエンデヴァーまでここにいるの!?
改めて近くで見ると大きくて威圧感すごい…轟くんの優しい感じと全然違う…。
そして要請と言われて気を張っていたけれど、2人はこれからヒーロー活動をするような緊張感なんかはなくてますます頭が混乱する。
とりあえず挨拶を…!
「雄英高校ヒーロー科1年、みょうじなまえです!お二人の足手まといにならないように…」
「あー、そういう堅っ苦しいのいらないんで!チャチャッとヒーロースーツに着替えちゃってください」
「あ、は、はい!」
「ほらァ、俺はともかくエンデヴァーさんが女子高生と歩いてたら画的にヤバいじゃないっすか」
飄々と話すホークスに眉間のシワを深くするエンデヴァー。
私は本当になんで呼ばれたんだろう…。上手くやって帰れるのかってすごく心配になるけど言われた通りヒーロースーツに素早く着替えてから2人に続いて街に出る。
「異能解放万歳!!」
「エンデヴァーさん好きな食べ物とかあります?みょうじさんは?」
しばらく歩いて大きな声が聞こえたと思ったら複数の羽がものすごい速さで声の主に飛んで行き、露出狂だった声の主の行動を制する。
その速度にも驚いたけど、羽を飛ばした張本人であるホークスはなんてことない会話を続けていてさらに驚いた。
その後も彼は会話を続けながら羽を飛ばして人助けをしたりファンサにも対応している。
ホークスの個性は剛翼だったよね。ああやって離れた人を助けるの、私の風でも似たようなこと出来ないかなぁ…と彼らの後ろを歩きながら考えた。
というか、私は要請があったから来たのに今のところ普通のパトロールだし私は何もしてない。なんで呼ばれたのかますますわからなくてホークスのようにファンサをしては「違う」と断られてしまったエンデヴァーを眺めてた。
「ハハハハ、そりゃ言われますって。キャラじゃないですもん」
そして気が付けばエンデヴァー、ホークスと一緒に和風の個室で食事をしている。
この状況に全くついていけずにいる私の方がおかしいのかと、しばらくして「そろそろ本題を話せ」とエンデヴァーが切り出した二人の会話にはついていけるように頭をフル回転させることにした。
「改人脳無。連合が持つ悪趣味な操り人形」
脳無。USJ襲撃時にオールマイトと戦い、勝己くんが捕まった神野で捕らえられたと言ってた複数の個性を持った生き物。
神野以来確認されていない脳無はあれで全部だったか、オールフォーワンしか残りの場所を知らないかの見方らしい。
脳無の目撃談はここだけじゃなく、全国で噂が立っていてホークスが全国を飛び回って調査をしたけれど結果的にはどれも噂だったと。
「結局何がしたいんだ貴様は!結論を言え」
「NO.1のあなたに頼れるリーダーになってほしい!」
イライラしてるエンデヴァーにハラハラするけれど、ホークスはそれを気にしていないようでサムズアップをしながら再びそう口を開いた。
エンデヴァーが噂を検証して、安心してくれと胸を張って伝えてほしい、そう言うと今度は私に視線を移してきたのでドキッとする。
「ここで今回みょうじさんを呼んだところに繋がる」
「私ですか!?」
「そう!NO.1ヒーローとは言えエンデヴァーさんも人です。疲れが溜まればパフォーマンスは落ちる。みょうじさんの個性でサポートをお願いしたいんすよ」
「あの、それは私に出来ることなら力になりたいですけど…私がエンデヴァーと行動するのは逆に足手まといになるんじゃ…?」
それに私はまだ仮免を取ったばかりの学生で、エンデヴァーのサポートなんておこがましいと思うし彼のプライドも傷付いてしまうんじゃないのか。
それに何よりサポートは轟くんにしてもらいたいと思ってるはず…!
私は居心地の悪さに落ち着かなくてホークスとエンデヴァーを交互に見てるとホークスが今度は人差し指を立てた。
「林間合宿襲撃時の連合の目的、覚えてます?」
「かつ…爆豪くんと、私の個性です…」
「その通り。彼を懐柔してヴィラン側に引き込むという計画は失敗に終わってる。だけどみょうじさんの個性は無くならない」
そうか。勝己くんがヴィラン側になることはこの先絶対にないし、それは揺るがない。
だから連合からしたら勝己くんの利用価値はゼロ。
私が狙われた理由は私の個性だから個性が使えなくならない限り連合にとって私の利用価値は少なからずまだある。
「つまり、私がエンデヴァーと行動して囮になれば噂の検証もみんなを安心させることも早く実現出来るってことですね」
「さっすが雄英生!ご名答!とは言えまだ学生っすからねぇ。今まで通りでいい。リカバリーガールとの活動もなくてはならないですし、必要な時はこっちから要請出しますんで」
私の個性は強くはないけど、それでも誰かの力になれるならその為に使いたい。そう思ってヒーローを目指して雄英に入った。
みんなが安心して笑える世の中になればそれが1番いい。
「ヒーローが暇を持て余す世の中にしたいんです」
そう笑うホークスのその言葉にとても共感した。そんな世の中はすごく平和で、みんなが笑って暮らせると思うから。
そう思ったのも束の間、エンデヴァーとホークスの雰囲気がピリッとしたことに気が付いた。
窓の外に目をやると何かがこちらに向かって飛んで来ている。間違いなく悪い気配。
そちらに意識を向けているとさっきエンデヴァーが会計だと呼んだお店の人がちょうど部屋に入って来る。
「下がってお姉さん!」
ホークスの大声と同時に敵が突っ込んで来て窓ガラスが割れる。
私は咄嗟にお店の人を庇ったけれど、そんな私ごとホークスが剛翼で包んで守ってくれた。
敵と対峙するエンデヴァーに視線を戻すと敵は頭を覆うようにしていてよく見えなかったけど、あれを見間違えるはずもない。
脳無だ。
「ホークス避難誘導を!みょうじはその補佐をしろ!」
「はいっ!」
「了解!エンデヴァーさんは!?」
エンデヴァーは素早く指示を出すと赫灼熱拳ジェットバーンを放ち建物から脳無を遠ざけて自分も空中に飛び出した。
その隙に建物内の人たちを避難させていく。
あの脳無喋った…!USJの時の脳無は喋らなかったのに!あの時よりも強い脳無ってこと…!?
一度外にいるエンデヴァーを見て、それからすぐに前を向く。
とにかく今私に出来る最善を!エンデヴァーが戦いやすいように!!
