僕らの日常。
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side 爆豪
文化祭当日の朝からアホ面がずっと隣でソワソワしてやがって鬱陶しい。
かと思えば俺ンとこに衣装見せに来たなまえも緊張を紛らわすためか無駄にテンション高ェ。
どいつもこいつも、今日まで自分たちの時間も返上して何遍もやって来たンだから後は殺るだけだろ。
つーかアホ面は人の女見てエロいだ可愛いだ、ンな目で見とんなよクソが。
「みょうじもああやって言ってたじゃん!?着た方がいいって!せっかくバンド隊でオソロなんだし!?着ようよかっちゃぁん!」
「うるっせェ!!」
着ねぇっつって押し戻したバンドTシャツを出しながら騒ぎ立てやがってなまえが言えば俺が何でもやると思っとんのか?
相手してても意味ねぇし、アホ面を無視して本番の準備に取りかかる。
っつってもドラムの最終確認に楽器の運び出しくらいしかねェけど。
ダンスと演出のヤツらが集まってンのを見るとなまえが真剣なツラして話を聞いとンのが見えた。
…緊張しすぎだろ。喧嘩して帰って来るような度胸あるクセにこんなんで緊張してんなよ。
「うっしゃ!」
なまえを見とったら視界が暗くなったが、アホの声で全てを把握した。
俺が油断してる隙にTシャツ着せやがって背後で喜んでやがる。
イラッとしたがなまえが見たいって言ったのを思い出して、アホにやられたンが気に食わねぇがそのまま着てやることにした。
「みょうじパワーすげー」っつー声が聞こえたがうぜぇからシカトを決め込む。
今回だけだクソ!
本番の時間が近付いてステージがある体育館に移動すると客席の方にはすでにモブ共が集まってやがる。
物音を立てねぇように準備してるヤツらン中にまた緊張してンのか深呼吸を数回してるなまえを見付けて声をかけた。
出し物が決まってから毎日時間を見付けては得意でもねぇダンスの練習してたのを見て来た。
俺が思ったンと同じで喧嘩した相手を打ち負かしてぇって思いと、それ以上にクラスの連中との思い出だ、イイもん作りてぇって思いもあんだと思う。
なんにせよ、やると決めたら手ェ抜かねぇヤツだ。
てめェの頑張りは俺が見てんだから自信持っちゃァいンだよ。
「ぶちのめすぞ」
「ふふ。おう!勝つぞ!」
どっか強ばった表情しとったなまえが吹っ切れたみてぇなツラすっから、こっちまで笑っちまう。
あのツラ見たらなんの心配もいらねぇ。あとはガチでやるだけだ。
時間になって幕が上がる。
「いくぞコラァアア」
『雄英全員 音で殺るぞ!!』
4分の演奏が終わって他のクラスの出し物が始まる中、演出で使った半分野郎の氷の処理をさせられる。
次から次に運ばれて来る氷を爆破で溶かしてると後ろの方でなまえを呼ぶ男の声が聞こえて見ると例の喧嘩したっつー普通科の2人だった。
文化祭中に殴り合いだの問題起こさねぇとは思うが、相手が男だっつっても組手も訓練しとるし、揉めても負けることはそうそうねぇだろうが相手の出方次第じゃ大事にすんのもめんどいし助け舟出した方がいいか。
「なになに爆豪。みょうじが男に声かけられて気になっちゃった?」
「あァ?」
「みょうじ顔可愛いし、さっきのでファン出来ちゃったかもなぁ!」
瀬呂と上鳴がここぞとばかりに茶化しに来やがったがてんで見当違いだボケが。
ファンどころか喧嘩相手だわ。
それをコイツらに言ったところでなまえが気まずくなるだけだろうから言うつもりもねぇ。
「仮にアイツに下心持って近付いたヤツは潰す」
「……爆豪ってほんっとみょうじのこと好きよね」
「じゃなきゃ付き合わねぇだろ」
「え、素直すぎて怖い」
「氷と一緒に片付けてやるからそこ入れや」
右手で火花を散らして見せると「ごめんてぇ!!」っつって上鳴が慌てながら騒ぐ。
アホの相手をしてまたなまえに視線を戻すと普通科2人越しに目が合う。
「勝ったよ!」
声を発さず、口だけ動かして俺だけにわかるようにそう言って嬉しそうに笑ったなまえを見て俺も口角を上げた。
俺の女が負けるわけねぇンだわ。どこまでも折れねぇンだからよ。
その結果に笑う俺を見て「付き合ってるとはいえ遠くから眺めて笑ってんのは変態っしょ」とアホのヤツが言いやがって余程死にてぇらしい。
今度は両手のひらに火花を散らしてやると上鳴のギャーギャーうるせぇ声の後ろから「爆豪っ!」って俺を呼ぶ声が聞こえて振り向くとさっきまでなまえと喋ってやがった普通科の2人が立っとった。
こういう時瀬呂は空気読んで上鳴連れて離れるからなまえの喧嘩相手だってバレねぇで済む。
「ンだよ」
「……悪かった!!」
前にすれ違った時にコイツらからは敵意を向けられた。だから喧嘩でも売ってくンのかって思っとったら勢い良く頭を下げて謝罪されて面食らった。
たしかに俺ァなまえの隣にいたが直接関係はねぇからな。
「…お前のこと暴言暴力すごくて周り見てないからヴィランに狙われるんだ、自業自得って言った」
あァ?人がいねぇとこでコイツらそんなこと言ってやがったンか。
クソ腹立つな。つーか黙ってればわかんねぇだろ、バカなんか。
「みょうじさんに怒鳴られたよ。爆豪は誰より周り見て考えてる、好きで狙われたわけじゃない、爆豪のこと何も知らないのに勝手言うな、撤回して謝れって」
「最初は俺たちが思ってることと正反対ばっかで、自分たちの都合いいように言ってるだけの頭おかしい女なんだって思った」
俺たちがヴィランに狙われたせいでコイツらと喧嘩したってのはなまえから聞いちゃいたが、コイツらの話を聞くと俺のことを悪く言ったからなまえが噛み付いたっつー言い方だ。
あぁ、そうか。だからあいつ初め歯切れ悪かったンか。
結局俺のために怒って喧嘩して帰って来て悩んでたンかよ。
あークソ…!
「でも!さっきの演奏聞いて自分たちのことばっかで周りのこと見えてないのは俺たちの方だったって気付かされた」
「だから今みょうじさんにも謝って来た。爆豪も本当にごめんっ!!!」
なまえが喧嘩した理由を考えたらコイツらが俺に謝って来たンは間違いなくなまえの勝ちだ。
…ったく、あいつはいつも自分のことより人のために動く。
守ってやりてぇって思っとんのに知らねぇ間に守られてンのは俺の方だ。クソだせぇ。
「あいつがてめェらを許したンならそりゃァあいつの勝ちだ」
「……おう、俺たちの負けだよ。ライブも楽しかった」
俺に余計なこと言って苛立たせたくなかったンだろうが、ひとりで抱え込みすぎなんだよ。
つか俺が絡んでること絶対ェ先生も知っとったろ。生徒が喧嘩したっつってその場にいて知らねぇわけがなかったわ。
…ほんっと、お前は折れねぇよな。
やっぱ俺の認めた女だわ。これで完全勝利だ。
文化祭も終わってやっと時間が増えるっつーのにクラスの連中は打ち上げだと張り切ってやがってめんどくせぇ事この上ねェが、なまえに「勝ったお祝いだから少しだけ!」と言われちまえば俺もクソ甘ェと思うが参加するだけしてさっさと部屋に戻ることにした。
うるせェくらいにはしゃぎやがる連中を横目で見ながら「終わったら俺の部屋来い」となまえに伝えて先に部屋に戻る。
そっから30分くらい経った頃に部屋の扉がノックされた。
「もう終わったんか」
「ううん、抜け出してきちゃった、えへへ」
ガキがイタズラでもしたみてぇに笑うなまえを中に入れると「勝己くんの部屋久しぶりだなぁ」なんて言いながら嬉しそうにしてやがる。
いつもみてぇにベッドの前に座ると自分の隣をトントン叩いて座れと促して来やがるから大人しくそれに従ってやると満足気だが俺の部屋だっつの。
「どうしたの?何か話したいこと?」
「よくわかってンじゃねェか」
「う、な、なに!?」
逃げらんねぇように片手で頬掴んで押さえりゃ間抜けヅラで困惑してやがる。
わざわざ俺が部屋に呼んだからクラスのヤツらの前で出来ねぇ話でもあると予想してたんだろうな。
尖らした口にキスしてぇのを抑えて頬を掴んでる指に少し力を入れると「いひゃい…!」と不満を漏らした。
「なまえてめェ。普通科のモブ共と喧嘩したの、アイツらが俺のこと悪く言ったのが原因だろ」
「なんで知って…あっ」
「やっぱそうかよ」
頬を掴んでる俺の手に自分の両手を重ねて解放させながら「違うの、ごめんね」って謝ってきやがる。
別に怒っちゃいねぇが、不安そうなツラして俺の顔を覗き見るなまえをもう少し見てぇと思って無言を貫いてやる。
「…勝己くんを苛立たせたり不快にさせたりしたくないって思って…それで黙ってたの。あ、でもね、勝己くんに話してたことも全部本当だよ!」
「……」
「黙ってたのはごめんね…。怒ってる…?」
不安そうなツラが一段と曇って来たのを見てイジメすぎたなと心ン中で呟いて「怒ってねェわ」っつーとホッとしたツラを見せた。
腕を広げて名前を呼べば素直に腕の中におさまりに来るなまえを離したくねぇと思う。
「ひとりで抱えんな、ばかなまえ」
「勝己くんがずっと隣にいてくれたよ」
「勝ったから文句ねェけどよ」
「大事な人のこと悪く言われたら負けられないもん」
「……あんがとな」
「えへへ、私もありがとう」
嬉しそうに、満足そうに笑って俺の体に回した腕の力を強めて抱きついてくるなまえの匂いが鼻をくすぐる。
ずっと隣にはいたが文化祭の準備と普段の訓練に時間を割いとったし、なまえも普通科のヤツらンことがあったから満足に触れらンなかった。
触れてェ…。そうは思うががっつくのはだせぇからその気持ちを抑えつけてなまえの髪の毛に触れると甘えるように俺の手に頬を擦り寄せてきやがる。
こういうの、素でやるからタチが悪ィ。
「勝己くんとこうしてるの久しぶりな気がする。毎日一緒にいるのに変だね」
「いろんなとこに気ィ回して余裕なかったんだろ」
「そんなつもりなかったんだけど、勝己くん充電が足りなかったかな?なんちゃって…」
なまえの顎を上げて唇に触れるだけのキスをすると柔らかくて甘くて、余計に欲しくなる。
唇を離して目が合うと頬赤らめて嬉しそうに緩んだツラが愛おしいと感じてその唇に再度キスをする。
「…勝ったご褒美もらっちゃった」
「こんなんでいいンかよ」
「じゃあワガママ聞いてくれる?」
「場合による」
「えーーー」
今まで喜んでたと思えば今度は不服そうなツラしてコロコロ表情を変えるとこ、本当飽きねぇ。
普通科のヤツらのことで俺もだが、それ以上になまえは文句言いてぇこともあったと思うがクラスの連中の士気を落とさねぇように押し殺してたはずだ。
ワガママくらい聞いてやっかと「とりあえず言ってみろ」っつーとまた嬉しそうにすっから単純なヤツだと笑っちまう。
「今日一緒に寝ていい?」
「は!?」
「んへへー!嬉しいありがとう!お布団取ってくる!」
「おいてめ!人の話聞けや!」
相変わらず人の話も聞かねぇで自分の部屋に布団取りに戻りやがった。
…ざけんなクソが!!てめェの隣で寝んのに俺がどんだけ忍耐力試されてると思ってやがんだ!手ェ出せねぇで生殺しだわ!
そう思って苛立ちもするが覚悟決めて部屋に戻ったなまえを追いかける。
あの嬉しそうなツラ見て受け入れちまう俺は心底なまえに惚れて甘ェと思うわ。
