僕らの日常。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※緑谷くん視点です
ヒロインと爆豪くん少なめです。
苦手な方はご注意ください。
Side 緑谷
僕は見てしまった。見た事を後悔した。
何故って、見た事がバレたら僕の命はない。殺される。そう断言出来る。
でも誰にも予想出来ないと思う。
まさか、あの、人の事をモブ扱いして覚えようともしない、クラスメイトからはクソを下水で煮込んだような性格と言われたかっちゃんが。
クラスメイトの女子とイチャついてるなんて誰が予想出来たんだ。
僕は学校でオールマイトと話し込んでしまっていつもより帰りが遅くなった。
この時間の電車は帰宅ラッシュが始まって満員なんだよなぁ…と思いながらそれに乗り込むために気合いを入れた。
その電車に乗らなければ…本当に後悔しかない。
人の波に押し込まれるように電車に乗りこみ、なんとか体勢を整えた。
ふと人の間から少し先の窓際が見えて、 そこに見慣れた薄い金髪の後ろ姿が目に入った。
ああ、かっちゃんもこの電車だったんだ。
でもなんでこの時間なんだ?
今日はみょうじさんと日直だったけど、かっちゃんは日直の仕事はやる事やって最後に残る日誌なんかはペアの人に押し付けて帰るような感じだったはず。
日直の仕事で帰りが遅くなることなんて…。
え。
みょうじさん…?
かっちゃんの少し下に視線をずらすとクラスメイトのみょうじさんがいた。
しかもかっちゃんと向き合って親しげに、楽しそうに。
2人が話してるところすらあまり見た事がないのに一緒に帰ってる。
思わず凝視してしまったけどこの人混みだ。気付かれないと思う。
電車がカーブに入って車両が大きく揺れると2人の距離はさらに近くなっていた。
それはもう顔と顔がくっついてしまいそうな程。
かっちゃんがさらにみょうじさんに近付いて耳元で何かを話して離れると彼女の顔はもう、見てるこっちが恥ずかしくなるほど耳まで真っ赤に染まっていた。
その後彼女から顔を逸らしたかっちゃんは見たことないくらい優しい顔をしていて。
優しい…?え?あのかっちゃんが優しい顔…?
君そんな顔出来るの!?
幼馴染だけどそんな顔見たことないよ!
これ本当に見てたことバレたら殺されるんじゃ…!?
どうかバレませんようにと何度も心の中で願いながら電車を降りるとかっちゃんはともかく、みょうじさんまで同じ駅で降りていた。
えええ…2人揃って同じ駅ってどういうこと!?
とにかく2人より先に駅を離れた方がいい、そんなこと決まってるのに何故か2人が気になってしまって距離を取りつつ後を追った。
すごく悪いことしてる気になってきた…。
「家どっちだ」
「あ、こっち!」
改札を出ると2人の声が聞こえた。
どうやらみょうじさんの家も僕たちと同じ折寺だったらしい。
だから一緒にいたのかと少し納得するけど、やっぱり距離の近さとかっちゃんの優しい顔が説明つかないよ!?
「早くしろやァ!!」
「ご、ごめん!爆豪くんもおうちこっちなの?」
「まァな」
そうやって2人は同じ方向に歩き出したけど、みょうじさんが指さしてた方向はかっちゃんちとは逆方向だ。
家の方向を嘘までついてた。
あ、そっか。送ってあげるんだ。
みょうじさんが逆方向なの気にしないように嘘までついて。
でも言い方がぶっきらぼう!
かっちゃん、優しさがわかりにくいよ!!
2人の背中を見送ってから僕も家に向かって歩いた。
そして今日。
なんでだ。なんでまた2人と電車で遭遇しちゃうんだ僕!
なんで一緒に登校してるんだ!
昨日よりは少し空いている電車の窓際で向かい合っているかっちゃんとみょうじさん。
どうかバレませんようにと昨日と同じことを心の中で繰り返す。
「あ、緑谷くんだ」
電車の中での小さな声だったけど、ハッキリと僕の耳には僕を呼ぶ声が聞こえてしまった…。
いや、今なら聞こえませんでしたでいける!
ごめんみょうじさん!!
なにもなかったかのように電車に乗り続けて、雄英の最寄り駅に着いたと同時に全速力で走った。
教室に着く頃には主に心労で朝なのに疲れ切っていた。
「デクくんおはよ!疲れてる?どしたん?大丈夫?」
「麗日さん!おはよう!なんでもないんだ!」
僕が机に突っ伏していると麗日さんが心配そうに声をかけて来てくれた。
相変わらず優しいなぁ。
慌てて喋る僕の言葉にあまり納得してなさそうだけど追求もしない優しさが染みます。
「緑谷くん!」
しばらく麗日さんと話していると教室の扉が開いてみょうじさんが入って来た。
1人で。
あれ?かっちゃんと一緒だったよね?
なんて、そんなこと聞く勇気はなかった。
「電車一緒のやつ乗ってたんだよー!見かけたんだけど気付いたらいなかった!」
「あ、そうだったの?ごめん、全然気が付かなくて」
「少し混んでたし見かけたよってだけだから大丈夫!」
「デクくんとなまえちゃん同じ電車だったんやね!」
「そうだったみたい!今まで全然気付かなかったんだけど」
ごめんなさい気付いてました。
でもかっちゃんと一緒にいる君たちに話しかけることは出来ない!
みょうじさんだけならいいけど問題はかっちゃんだ。
何度も言うけど見てたのバレたら殺される。
ガラッと勢いよく扉が開いてかっちゃんが入って来て、こちらに視線を向けたかっちゃんは少し不機嫌そうに見える。
僕の前の席に座るためにどんどん近付いて来る。
それを気にすることもなくみょうじさんと麗日さんは僕の目の前で話に花を咲かせてる。
そして目の前に来たかっちゃんは僕を睨んで「クソデク…」と呟いて席に着いた。
えーー僕なにかしましたか。見てません。決して。
電車でのことは見てません。
その後もかっちゃんとみょうじさんが高頻度で一緒に学校に行き来してるのを目撃してしまっている。
僕はバレないように、平穏に過ごすために時間をずらすようにした。
何回考えてみてもかっちゃんのあの優しい顔の答えは僕の中でいつも同じだった。
こんなこと本人に聞いたら確実に殺されるから心の中にだけ留めておくことにした。
かっちゃん、もしかしてーーーそういうこと?