僕らの日常。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※前半少しだけ峰田くんが出るので下ネタあります。
苦手な方はご注意ください。
「わぁ!みんな可愛いっ!!」
私は彼女たちを見て目を輝かせた。本当に可愛い。
だってね、今日は女の子みんな浴衣を着ているから。
響香ちゃんは恥ずかしそうにしてるけどすごく似合ってる。
今日はみんなが待ちに待った夏祭り!
神野での一件があって日にちが延期されていたけど、無事に出来てよかった。
もうすぐ仮免試験があるけど、その前に少しだけ息抜きしてみんなで羽を伸ばそう!
「なまえちゃんも似合ってる!着付けどうしたん?」
「勝己くんが着付けてくれたの」
「え!?爆豪!?そんなことも出来るの!?」
「わぁ!才能マンきたー!!」
着付けどうしようって思ってたら勝己くんが携帯を3分くらい眺めてからそのまま着付けをしてくれた。
この短時間でやり方覚えたの?ってびっくりした。
勝己くんはなんでも器用にこなすなぁ。
「お!女子たち浴衣!いいじゃん!」
「浴衣ァァァ!!!オイラが脱がしてやるからこっち来いやぁ!!」
「峰田さん本当にどこまでも最低ですわ」
上鳴くんと峰田くんが談話スペースに降りて来て私たちを見るなり興奮してる…。もちろん峰田くんが。
「ほら、みょうじ来いよォ…」
「や、やだよ!せっかく勝己くんがやってくれたのに!」
「あいつ着付けまで出来るのかよ…すげぇ」
峰田くんは1番手前にいた私をロックオンして来た。目が怖い、やだ。
みんな思うことは同じみたいで上鳴くんは勝己くんの着付けに感心してる。
そんなことより峰田くんを止めてよぉ!!
「浴衣脱いでおっぱい触らせろォォォ!!」
「やだやだやだやだやだ!!!!」
「おい峰田、そこら辺にしとかねぇと爆豪に殺されんぞ」
「今そこにおっぱいがあるんだぞ!!触りたくねぇのか上鳴!!」
上鳴くんはそう言われてジッと私のことを見る。
なんか胸に視線感じる気がするんだけど。
「上鳴アンタも最低だわ」
「そりゃ触れるもんなら触りたいけど、爆豪に殺されるリスク考えてみ?」
「そんなもん知るか!!おっぱいだぁぁあ!!」
「あ!爆豪くん!!! 」
お茶子ちゃんの声にパッと峰田くんと上鳴くんの後ろを確認すると勝己くんが談話スペースにちょうどよく向かって来ている。
もちろん峰田くんも彼の姿を確認したようで一気に血の気が引いていた。
私は急いで勝己くんの背後に隠れた。
「上鳴くんも峰田くんもやだ!もう!!ばかぁっ!!」
「何しとんだ」
勝己くんがそう言うと女子たちは無言で上鳴くんと主に峰田くんを指していた。
それを見て頭のいい勝己くんは状況をすぐに把握したんだろう。
私は勝己くんの後ろにいたからわからなかったけど、その時二人を睨みつける勝己くんの顔は今まで見たことがないくらい凄みがあって怖かったとみんなから後で聞いた。
そこから峰田くんは急激に大人しくなったらしい。
そのまま私は逃げるようにみんなと別れた。
どの道今日は勝己くんと2人で回る予定だ。
三奈ちゃんに「爆豪と行くからみんなの誘い断ったんだなぁ~?」とにやにやしながら言われてしまった。
そうなんだけど、あの時はまだ付き合ってなかったし、なんで勝己くんがみんなに嘘ついてまで私と行ってくれようとしたのか。
何回考えてもあの時から私のこと好きでいてくれた、って言う自惚れた答えしか出て来なかった。
「だァから見せんなっつったろ」
「最初は女の子だけで見せ合いっこしてたんだもん」
「とりあえずアホ面と特に玉はぶっ飛ばさねェとなァ」
顔怖いし、握り拳作ってぶっ飛ばす気満々だ。
けどやっぱり私が困ってる時にはいつも来てくれるんだよね。
なんかこう、勝己くんにはセンサーでもついてるのかなって時々思う。
「それに着せたンは俺だから、脱がせンのも俺だろ」
「な、何言ってるの!!」
悪い顔して、でも楽しそうにしながら、最近こういう恥ずかしいことばかり言って来るんだから。
私の心臓もたないよ…。
夏祭り。
雄英から1歩外に出れば普段では考えられないような人と活気が溢れて賑やかだ。
屋台がたくさん出ていて、遠くでは山車引く声が聞こえて、小学生たちも小さなお神輿を担いで通りを歩いている。
いつもと違う雰囲気で、まるで知らない場所みたい。
「わぁ!すごいね、勝己くん!」
「よかったな」
私は一度もここの夏祭りに来たことがなくて、地元のお祭りとは全然違う雰囲気に一気に心が踊った。
勝己くんはあまり表情を変えてなかったけれど、目を輝かせて楽しそうにする私を見て穏やかな顔をしていた。
「勝己くん、何食べる!?」
「お前の好きなモン食えよ」
「じゃあ半分こしていっぱい食べよ!」
チョコバナナ、ベビーカステラ、りんご飴、わたあめ。
幸せだぁ。
「てめェ、なまえ!さっきから全部甘ェモンばっかじゃねぇか!!」
「へへ、ごめん」
わたあめを1口サイズにちぎって口に頬張る。
口に入れた瞬間に溶けて甘さが残る。
「謝る気ねぇな…」なんて隣で言いながらも勝己くんも怒る気なんて少しもない。
「勝己くんも食べる?甘くて溶けちゃうよ」
「いらねー。甘くて溶けンならなまえがいいわ」
「~~~~っ!!!もうっ!!」
勝己くんはいつもイジワルな顔して余裕だ。
なんでこういうことサラッと言って来るんだろう。
私は恥ずかしくてわたあめを口に入れる速度を上げた。
それからどちらが多く取れるかの金魚すくい対決をした。
私は3匹すくい上げたところでポイが破けてしまったけど、勝己くんはすごい勢いですくい上げて金魚を入れておくボールが金魚でいっぱいになっていて、屋台のおじさんに「兄ちゃん勘弁してくれぇぇ!」って泣かれていた。
もちろんそんなに金魚を持って帰るつもりもなく、私も育てられる自信もないので、勝己くんが取った分は返して、私が取った分は近くにいた小さな姉弟に譲った。
クレープの屋台が目について買いに行くと勝己くんは呆れたように「また甘ェのかよ…」と言っていた。
彼はクレープの屋台の隣にあったたこ焼きを買ったようで、それをひとつ私の口に入れてくれた。
「あっ、あふ、あふいっ!」
「出来たてだからな」
「はふ、はふ、」
「間抜け面」
「イジワルだよ勝己くん!でも美味しい!」
楽しい時間ってなんであっという間に過ぎちゃうんだろう。
勝己くんが隣にいる時はいつも時間が早くなるんだ。
もうすぐ花火が始まる時間。
花火が終わればお祭りも終わる。
来た時はお昼すぎで明るかったのにいつの間にか真っ暗だ。
「足、痛くねぇんか?」
「うん、大丈夫!勝己くんが私に合わせてくれてるから」
「合わせてねぇわボケ」
「ありがとう」
私の足を気にしてくれるところ。
歩幅をいつも合わせてくれるところ。
優しいところがいっぱいなあなたを私だけが知ってると思うと嬉しい。
照れ隠しで悪態をついてくるところさえ愛おしく思う。
「ん」
「なぁに?」
「手」
「手?」
「察しろや」
「いいの?」
「嫌なんか」
「ううん、嬉しいんだよ」
差し出されて初めて繋ぐ彼の手は大きくて、ゴツゴツしてて、努力している手で、あたたかかった。
繋いだ手から全身があたたかくなるような気がした。
少し歩いたところに人がいない穴場があるみたいで、そこまで手を繋いで歩いた。
勝己くんはよく知ってるなぁ。
そこは神社の裏手。
でも木が生い茂ってるわけでもなくて、高台になっていて本当に私たちしかいない穴場だった。
まもなくして大きな音と共に空に花火が打ち上がる。
「わぁ…きれい…」
絶え間なく空に咲くきれいな色とりどりの花たち。
ドンッドンッと打ち上がる音がお腹にまで響く。
「勝己くん、今日一緒に来てくれてありがとう!」
きっと勝己くんは本当は人の多いお祭りはそんなに得意じゃないと思う。
それでも一緒に来てくれたことが私は何より嬉しかった。
「また来年も来りゃいいだろ」
「いいの?約束だよ?」
「気が向いたらな」
来年。その言葉が嬉しかった。
あなたの未来に私もいる。
「勝己くん」
私は彼の腕を引いて、背伸びをして、私よりも高い位置にある彼の唇に自分の唇を重ねた。
「…ちょっとズレちゃった」
こういう時もう少し上手に出来たらいいのに。
失敗して恥ずかしいなぁ。
「やんならちゃんとやれや」
そう言って今度は勝己くんから唇を重ねてくる。
甘い、甘い、キスだった。
勝己くんと一緒にお祭りに行けるのをずっと楽しみにしてた。
神野の一件があって、心配で、不安で、心が張り裂けそうだった。
でもちゃんと帰って来てくれた。安心した。嬉しかった。
それから勝己くんとお付き合いした。
ずっと勝己くんを見てたよ。
負けず嫌いなとこ、素直じゃないとこ、努力を惜しまないとこ、友達思いなとこ、器用だけど不器用ですごく優しいとこ。
だからね、本当は気付いてるんだよ。
勝己くんが神野から帰って来てからずっと何かに悩んでること。
弱さを人に見せたくないあなたは、私には絶対に教えてくれないと思うから。
私には解決してあげられることじゃないと思うから。
だからね、せめて少しの間だけでもあなたがその悩みから解放されて笑顔でいられるように。
私に出来るのはそれだけだから。
本当に勝己くんの悩みが晴れる時まで、私はあなたを隣で支えたい。
「帰りにお好み焼き買って帰ろうよ」
「は?まだ食うンかよ」
「うん、一緒に食べよ」
「いらねぇ」
「なんでー!?」
どうか早くその悩みが解決しますように。