僕らの日常。
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※前半轟くん、後半爆豪くん視点です。
轟→ヒロイン。
苦手な方はご注意ください。
Side 轟
「今日は暑いからあえて辛い物食べてスタミナ付けよう!」って上鳴や芦戸が言い出して、辛鍋パーティーをすることになった。
あいつらパーティー好きだな。
俺はくじ引きでみょうじと買い出し係になって商店街に向かってる。
「みょうじと2人で出かけるの初めてだな」
最近みょうじは俺の目に留まることが多くなったように思う。
みょうじはコロコロ表情を変えて見てると面白ぇ。
「そうだね!しっかし今日は買い出し多めだねぇ」
「人数も多いからな」
買い出しメモにはズラっと必要な物が書かれている。
なるべく安く済ませたいってことで精肉店、鮮魚店、八百屋さんの3グループに分かれて買い物をする。
俺とみょうじは八百屋さん担当。
売り場に着いて前を歩くみょうじがカゴを持って入れ始めたから、それを後ろから取って持つ。
「私持つよ?」
「大丈夫だ。気にすんな」
「轟くん優しいね」
優しいっつーか、この買い出しの量は女子に持たせらんねぇだろ。
買い物を続けているとみょうじの携帯が鳴る。
俺に電話だと断りを入れると通話ボタンを押して電話に出た。
「もしもし?どうしたの?……いつも使ってるやつ?わかるよ。…あれどこに売ってるの?…そこ和菓子屋さんの近くだっけ?……えー、大丈夫だよ。…はーい」
電話に出るみょうじの声は心做しか穏やかで優しく聞こえる気がする。
そういえばみょうじが怒ったところなんて入学してから一度も見たことねぇな。
通話が終わるとごめんねと笑う。
「何か追加か?」
「うん、個人的なやつなんだけどね。すぐそこなんだけどあとで寄ってもいい?」
「ああ」
必要な物を全部買い終わるとみょうじはまた重い荷物を持とうとするから俺が持つ。
私も持つと言って来たが断った。
そしてみょうじが電話で言われた追加の物を買いに来たのはスパイス専門店。
すぐ終わるから待っててと1人で店内に入って行ったので、店の外の邪魔にならねぇとこで待つことにした。
スパイス…爆豪か?
辛い物好きだしな。
そういや爆豪、この前みょうじにキレてたな。
そのあとみょうじが喋ってたって言ってたが、2人が一緒にいるとこなんてあんま見たことねぇのに電話かかって来るんだな。
爆豪と仲良いんだな。
そう思うと心臓が一瞬痛てぇ気がした。
みょうじが店から出て来て俺を見つけるとお待たせと笑った。
その顔で心臓の痛みはなくなって、今度はドクンと大きく跳ねた気がする。
これ、大丈夫なやつか…?
「…爆豪か?」
「え?あ、よくわかったね」
「あいつ辛い物好きだろ」
「うん、この前ちょっともらったんだけど辛すぎて唇腫れちゃったよ」
「唇腫れんのか、それ。危ねぇな」
「本当には腫れてないよ?」
「そうなのか?ならよかった」
爆豪とみょうじは一緒に飯食う仲なのか?
また心臓がギュッと痛む。
なんなんだこれさっきから。
ふと視線を感じて俺の隣を歩く背の低いみょうじに顔を向けると俺を見ていた。
「俺の顔に何か付いてるか?」
「あ!違うの!轟くんってモテると思うんだけど、どういう人が好きなのかなーって思って。あ、こういう話嫌だよね!?ごめんね」
「いや、自分でもよくわかんねぇんだ、わりぃ」
「謝らないで!私が変なこと聞いたんだし!」
「みょうじは好きなやついるのか? 」
「…うん、いるよ」
そう言って誰かを思い浮かべてるであろうみょうじの顔は少し頬が赤らんで、優しい顔をしていた。
なんとなく聞いたことの答えとみょうじのその顔を見ると心臓がまた痛くなる。
「…心臓が痛てぇ」
「え!?心臓!?病院行く!?個性使おうか!? 」
そう呟いた俺の言葉を逃がさず聞き取ったみょうじは慌てて個性を使うために両手を俺にかざした。
「大丈夫だ、気遣わせた、わりぃ」
「ほんとに大丈夫?個性くらい使うよ?」
「個性使うとお前が疲れるだろ 」
「心臓痛い方が一大事!もしもの時は治った轟くんに運んでもらえばいいし!手煩わせちゃうけど…」
「…みょうじの顔見てると痛くなったり治ったりする、なんでだ?」
「へ!?」
俺の言葉に素っ頓狂な声を出して、驚いた顔をしている。
またなんか変なこと言っちまったか…?
「う、うーん…それは勘違いしちゃう女の子いると思うからあまり言わない方がいいんじゃないかな…」
「どういうことだ?」
「えっと…轟くんが私の事好きなのかな…って勘違いするっていうか…」
『 そりゃあ、もっと仲良くなりたいとか、一緒にいたいとか、無意識に目で追ってるとか、触れたいとか、そんな感じかな』
突然この前瀬呂が言ってた言葉を思い出した。
なんで今このタイミングで思い出すんだ。
「轟くん?大丈夫?やっぱり個性使う?」
みょうじの声に我に返ると心配そうな顔をして俺を見あげてる。
あー…そうか。
最近みょうじが俺の目に留まってんのは俺が無意識に追いかけてたからだ。
みょうじの顔見て、頭触っちまいたくなるのも触れたいと思ってるから。
気付いちまった。
これが好きってことか。
「轟くん?なんか顔赤いけど熱!?」
「なんでもねぇ…」
「え!?なんでもないような顔してないんだけど!もう個性使うよ!使わせてね!?」
一度意識したらみょうじがいつもと違って見えた。
なんていうかすげぇ眩しい。
心配して個性を使いそうなみょうじをなんとかなだめて寮までの道を喋りながら帰った。
そんなに長くもねぇ道がもっと長けりゃいいのにと思ったのは、みょうじを好きだとわかったからなのか。
寮に戻ると他の奴らは料理の準備をしていて、俺とみょうじに気付くとおかえりと声をかけてくる。
爆豪がキッチンで怒号を飛ばしながらすげぇ勢いで野菜を切っているのが目に入る。
ほんと器用だな。
「爆豪のやつ渡さなくていいのか?」
「準備してるみたいだから後で渡すよ!私たちも手伝おー!」
そう言って手を洗うとキッチンに飛び込んで行った。
みょうじはいつも笑顔で誰とでも仲良くしちまう。
そういうところも、いいなと思ったのかもしれねぇな。
「轟~!皿並べんの手伝ってくれよ!」
切島が呼ぶ声がして手伝いに行く。
手分けしたから準備はすぐに終わり、夕食の時間。
各々適当に好きな場所に座っていく。
俺は緑谷とみょうじに挟まれて座った。
全員が取れるようにテーブルにはグツグツ煮立った辛鍋が4つ鎮座する。
いただきます、と挨拶をして食べ始める。
「なまえちゃん辛いの苦手じゃなかった?」
「このくらいなら大丈夫!最近ちょっと慣れてきて」
「みょうじさんも辛いの食べるんだね!かっちゃんみたいだ!」
「こほっこほっ!」
「おい、大丈夫か?」
「ごめん、変なとこ入った…」
隣に座る麗日に背中をさすられながらみょうじは少し涙目になっていた。
「なまえ」
低い声でみょうじを呼ぶ声に振り向いた。
俺ら4人はみんなその声の方を見てたし、一瞬寮内が静かになったからもしかしたらみんな見てたかもしれねぇが。
「頼んだやつどこだよ」
「あ!忘れてた!」
そういうとみょうじはキッチンにパタパタと走って行き、爆豪に頼まれてた激辛とうがらしの粉末が入った瓶を取りに行って渡す。
「これであってるよね?」
「覚えろや」
「だって食べてるの爆豪くんじゃん」
「…ありがとよ」
「どういたしまして!」
短い会話を終わらせると爆豪は自分の皿によそった具材に受け取った唐辛子をこれでもかとかけ始め、みょうじも俺の隣に戻ってきて、何事もなかったかのように自分の皿によそった鍋の具材を食べ始めた。
爆豪、今みょうじのこと名前で呼んだよな。
みょうじも気にしてる様子もねぇし。
あと素直にお礼言ってた。
やっぱ爆豪とみょうじは仲良いんだな。
夕食を食べ終えて後片付けをする。
みょうじは麗日と蛙水と洗い物をしている。
爆豪はソファに座っていた。
「準備してやったんだから後片付けくらいしろや」とか言ってたな。
俺は爆豪に近付いてソファの側に立った。
「爆豪」
「あ?」
爆豪は俺を見て不機嫌そうに返事をしたがいつものことだ。
「爆豪はみょうじのことどう思ってんだ」
「は?」
「俺はみょうじが好きだ。だから譲らない」
「何言ってんだァ、てめェは」
俺の言葉にわかりやすいくらいに怒りを露わにして至近距離に立ち上がった。
いつもより目が血走ってる。
だが、俺も引くつもりは無い。
「本気だ」
「てめェいい度胸してやがんなァ。ぶっ殺したるわ」
「ちょっと!何してるの!2人とも離れてよ!」
俺と爆豪の険悪な雰囲気を見たのか、声が聞こえたのか、みょうじが慌てて仲裁に来た。
ヒーロー科で鍛えてる男2人だ。
みょうじの力ではビクともしない。
「ねえってば!聞いてるの!?」
「うるせぇなまえ向こう行ってろや。俺ァ、こいつに喧嘩売られたんだからよォ」
「わりぃな、みょうじ…邪魔しないでくれ」
「話聞けッ!!!」
「ガッ!?」
「!?」
珍しく怒った顔のみょうじが俺と爆豪の頬を同時に摘んできた。
なんならちょっと引っ張られた。
「2人とも落ち着いてよ。みんな困ってるでしょ。喧嘩両成敗なんだからね」
「すっこんでろやなまえ」
「この喧嘩、私が預かるから轟くんそれでいいよね?」
「あ、ああ…」
「いい訳あるかッ!!」
「もう、勝己くん、こっち来て!!」
「てめ、離せや!」
みょうじは無理やり爆豪の腕を引っ張り外に連れ出した。
俺の方が冷静を取り戻すのが早かったから、爆豪の頭を冷やさせる為だと思う。
…なんで俺、爆豪にあんなこと言ったんだろうな。
でも譲りたくねぇって思っちまったんだ。
みょうじ、爆豪のこと勝己くんって呼んでたな…。
Side 爆豪
くっそうぜぇ半分野郎!!!
なんなんだ喧嘩売って来やがって!!
しかもなまえが好きだァ!?譲らねェ!?
冗談じゃねぇぞクソが!!!
「なんで轟くんと喧嘩してたの?」
「……言わねェ」
なまえは困ったような顔してやがる。
てめェが原因だって言えるかよクソ。
こいつは誰にでも平等に優しい。
ずっと笑ってやがるし、こいつに悪気がねぇのはわかってる。
ただ半分野郎まで惚れさせてどうすんだよ。
「そっかぁ」
俺の背中に手を回しながら顔を見上げてくる。
「轟くんと仲良くしなよー。コンビネーションいいんだからさ」
そう言いながらへらへら笑ってやがる。
この顔見るとなんも言えなくなっちまう。
惚れた弱みってやつか。
なまえの頭を俺の胸に押し付け顔を埋める。
「誰が半分野郎となんざ仲良くするかよ」
「言うと思ったぁ!」
だいぶ頭が冷えてきた。
けど俺だって譲れねぇんだよ、なまえだけは。
「…好きだ、なまえ」
「え、どうしたの急に!」
「文句あんのかよ」
「ううん。ないよ。私も勝己くんのこと大好きだもん」
半分野郎にはぜってぇ負けねぇ。
俺の腕の中にあるモン、簡単に渡してたまるかよ。
白黒はっきりさせてやらァ。