僕らの日常。
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※爆豪くん視点です。
苦手な方はご注意ください。
Said 爆豪
大切にしてやりてぇ。
そう思うのに目の前にいる女は無防備に肌を晒す。
挙句、半分野郎にツラ近付けられて顔は染めるわ、半分事故とはいえ押し倒されとるわ。
コイツには隙が多すぎる。
で、俺も好きな女が他の野郎とそんなんしてんのは気分が悪ぃ。
どす黒いモンが湧いて来るような気がした。
そんでアイツを避けた。
「私のことどう思ってる…?」
寮のソファでたぬき寝入りしてるとも知らず、コイツは今までずっと俺に聞きたかったことを口にしてやがる。
てめェだけだわ、俺が大事にしてぇと思ったンは。
「だから…てめェが好きだって言っとんだ」
抱きしめたから顔は見えなかったが、耳まで真っ赤にしてやがるのは簡単に想像できた。
触れてるとこから伝わって来る心臓の音が案の定速ぇ。
俺の腕の中にすっぽり収まっちまうコイツを柄にもなく愛おしく思う。
「てめェにこういうことしていいのは俺だけなんだよ。なあ、なまえ」
「心臓もたない、です…」
なまえをソファに沈めて閉じ込めると顔を隠して恥ずかしがってる。
自制するんがきちィ…。
コイツは隙だらけで無防備すぎる。
「か、勝己くん…」
顔真っ赤にしながら少し潤んだ目でこっち見て俺の名前を呼んでくる。
コイツ…!ざけんな!てめェが今どんなツラしてんのか自覚ねェんか!?
「…大事にしてやりてぇって思ってんだから煽ってくんじゃねぇよ」
「そ、そんなつもりは…」
あー、これ以上はやべぇな。
守ってやりてぇ。大事にしてぇ。
時間かけてじっくり甘えさせてやる。
だからまだ手は出さねぇ。
無防備で隙だらけのコイツにどこまで耐えれるか。
モブ共に触れさせたらただじゃおかねぇ。
なまえの両親に言った。
「コイツがいたから俺は折れなかった。次はぜってぇ、俺が近くでコイツを守るって約束する」
これは紛れもねぇ本心だ。
神野で、ヴィランにかっ拐われた時なまえが泣いてる気がした。
実際、なまえはつれェ時ほどよく笑う。
だからきっと泣いてはいなかったはずだ。
だけど泣いてる気がした。
早く帰ってやらねぇと、って思った。
そしたら折れなかった。
なまえがいるから俺は強くなれる。
ヴィランはなまえのことも狙ってた。
アイツは逃げきれてよかったと安堵したのをよく覚えてる。
それでも心配かけて、待たせて、不安にさせちまった。
ヴィランがなまえを狙った理由はなまえの個性だ。
次またいつ狙ってくるかわからねぇ。
だから今度はぜってぇ、俺が近くで守る。
なまえの親に言ったのは言わば誓いだ。
コイツがもう泣かなくてもいいくらい大事にしてやる。
そう決めた。
21時。
クラスの連中にパーティーだとか言って捕まった。
やっと解放されて自室に戻ってベッドに身を投げて天井を見やる。
ずっと楽しそうにクラスの連中とはしゃぐなまえの顔が思い浮かぶ。
そういや半分野郎が今朝のこと謝って来やがったが、あの野郎はズレてやがってイラつく。
「今朝俺がソファ座ったこと怒ってんだよな、悪ぃ、爆豪」
「ちっげぇよ!!!そこじゃねぇんだよてめェは!!バカか!!!」
「違うのか。じゃあなんだ、教えてくれ」
「てめェで考えろや!!!」
そのやり取りを見てなまえは笑って「2人は仲良しだねぇ」なんて言ってやがったな。
どこがだ!アイツの目もどうかしてんじゃねぇのか!?
あーーー。クソ。
クラスの連中といる時はあんま喋らねぇようにしてるから、アイツの声は聞こえるが俺に向ける言葉は少ない。
「声、聞きてぇな…」
俺がこんなこと思うなんて信じらんねぇ。
自分が思ってる以上になまえに惚れてるらしい。
携帯が震えて現実に戻る。
なまえからの着信。
今ちょうど考えてたやつからの電話に笑みが零れちまう。
冷静に、いつも通り振る舞うために軽く息を吐いて通話ボタンを押す。
「あ?」
「あ、もしもし」
「んだよ」
「用はないんだけど…勝己くんの声聞きたくなって」
コイツ…!
目の前になまえがいなくてよかったわ。
やべぇな。自制出来んのか、これ。
「それだけなの!ごめんね、また明日!」
「勝手に切ろうとすんじゃねぇ」
「え?なに?」
「うっせぇな!黙ってさっさとなんか喋れや!!」
「え~…私黙ったらいいの?喋ったらいいの?」
「俺もてめェの声聞きたかったってことだろーがボケ」
今どんな顔してんだ。
また真っ赤にしてんか。
あー、そのツラ見てぇな。
「わ、わかりにくいよ…勝己くんは…。」
「てめェの理解力の問題だろ」
「…なんか、勝己くん楽しそうだね」
少し不貞腐れたような声が聞こえる。
楽しそうか。たしかにコイツと話してんのは飽きねぇ。
「そりゃな。なまえの声聞いてたら楽しいだろ」
「~~っ!なんで勝己くんはそう恥ずかしいことばっかり言うの…」
ほんとコイツはすぐに恥ずかしがんな。
そういう顔も俺にだけ向ければいい。
モブ共にはそんなツラ見せんな。
こんなに自分の独占欲が強ぇとは思わなかったわ。
「てめェの頭ン中、俺でいっぱいにするためだわ」
「~~もうっ!それだよ、それっ!」
余裕のない声。
俺のことでいっぱいいっぱいになるなまえを今すぐ抱きしめてぇと思う。
「…だいたい、もう私の頭の中は勝己くんでいっぱいだし」
前言撤回。
抱きしめてたら自制出来てねぇわ。
これを素で言ってやがるからタチが悪ぃ。
日に日に俺の中でなまえの存在がでかくなりやがる。
頭いっぱいにされてんのは俺の方だわ、クソが。
その後は1時間くらい他愛もない話をした。
電話を切ってすぐにアイツの声が聞きたくなる。
ンだこれ。
朝5時になればまた顔も見れるっつーのにな。
そしたらあの屈託のねぇ笑顔向けてくんだろうな。
もうあの笑顔は俺だけのもんだ。
誰にも渡さねぇ。
俺を惚れさせたこと後悔するくらい甘やかしたるわ。